最近読んだ本です

(’04,7〜12)  

   (’04,1〜 6)                        HOMEへ

一の悲劇 法月倫太郎 びっくりした。こういう重い文体の人だったんですね・・自分の子供と間違えて誘拐された隣の子供が殺されて、身代金を運んでた「私」の苦しみが始まる・・という感じで、「私」は犯人探しまで始めちゃうんですが、それに過去が絡んでくる・・ 辛いですよ、この手の話しは。でも挫折しないで読んじゃったのは、登場人物たちが魅力的だったからかな??(1 2、 1)
ロシア紅茶の謎 有栖川有栖 火村と有栖川のコンビによる、いろいろなシチュエーションの謎解き短編集。有栖川氏の作品は馴染んではいないのだけど、とても読みやすくてするすると入ってきました。最初の「動物園の暗号」は特に馴染みの地名がたくさん出てきたので、そういう意味では大喜び。(読者なんてたわいのないものです_(^^;)ゞ )読んでて綾辻氏と混同しちゃう私は、まだまだシロートですね。(1 1、 10)
11文字の殺人 東野圭吾 クルージングの事故の後、乗り合わせていたメンバーが次々の殺されて行く。恋人を殺された女流作家と友人の編集者がその事故の秘密を探って犯人を追い求めていくはずが〜〜 これもまた、特別に悪い人、善い人の対比(もしくは被害者と加害者)というよりも、成り行きに復讐心が乗っかっちゃった、というか、普通の性格を持った人たちがなんでか連続殺人に巻き込まれて行くという感じが、なんともかえってやりきれなかったりする。だからああいう終わり方もあり!と妙に納得してしまうんだよね。(1 1、 7)
ブルータスの心臓 東野圭吾 最初は犯人側が刑事に追い詰められて行く話かと思って、そういうのは嫌いだから挫折しようかと思ってちょっと斜め読みしたら、なんとなく雰囲気が違う。誰かの子を妊娠した女性社員を身に覚えのあるものたちが、共謀してアリバイを作って殺そう、という計画から始まるんだけど、なんだかんだ止められず(これが東野氏の筆圧!)最後まで読んで、うう〜んとため息。結局被害者、加害者、どれをとっても性格に問題のある人ばかり。(きっと現実もこの程度にはみな悪人なのだろうが)ことに真犯人には、ことの他のけぞってしまいました。まさかそういうことだったとは〜〜(1 1、 3)
ペトロフ事件 鮎川哲也 旧満州で起こった大金持ちのロシア人の殺人事件を捜査する鬼貫警部の人柄、被疑者たちの人となり、そして彼らをとりまく女性たちを、まっすぐに著しています。アリバイ崩しものだけど、夫婦の愛情なども描かれていて、真犯人にはびっくり仰天でした。(その後の犯人の行動がなんとも時代を感じるけどね)ロシア語はともかく、中国語の会話もふんだんに出てくるのが、ちょっと嬉しかった。(全然解らないのだけど)(1 1、 1)
鳴風荘事件
(殺人方程式U)
綾辻行人 ふ〜ん。。なんとなく赤川作品かと思ってしまった。(かなり違うだろに明日香井夫婦とその双子の兄とのノリがね)6年前に黒髪を切られて殺されていた姉と、そっくりになっていた妹の殺害・・トリック、真犯人ともに意外性があって動機もなかなかでしたが全般的に軽いので気楽でした。(10、 25)
美しき凶器 東野圭吾 面白かった〜〜o(´^`)o  スポーツ選手になるべく医学によって改造された、人の心を持たないような娘が、過去のドーピングの記録を抹殺するため、その育ての親を殺した犯人たちを追い詰めていく、迫力満点の逸品!一応東野氏なので「推理小説」と銘打ってありますが、これはサスペンス小説です。彼女の圧倒的な強さと、ドーピングによって精神が歪んでしまった犯人の一人との対比、その中で新婚の妊婦さんの普通の感覚がとても痛々しくて、最後その娘の一言に人の心を感じて泣きました。(10、 21)
新幹線秋田こまち殺人事件 吉村達也 相変わらずロクな人間が出てこない、どの登場人物も嫌いな吉村氏の作品。(゜゜☆\(--メ)オイ なら読まなきゃいいのに、そこがほれ、この題名だもの。角館出身の美人といえば、秋田美人でもまた格が数段違う!と、常々思っておりますので、その美人と朝比奈の道行きが、田沢湖、角館、乳頭温泉、抱返渓谷・・と、その辺の読むだけでも、ま、100円の価値はありましょう。(x_x) ☆\(^^;) (10、 17)
嘘ばっか 佐野洋子 シンデレラ、かちかち山、浦島太郎、白雪姫・・おなじみの童話を違う立場から語る珠玉の短編集!!(私、めったに珠玉なんて使わないけど、この作品集はどれもこれもみな輝いていた \(^^\) )
みんな面白かったけど、底を流れている状況への諦めとか、容認とか、それがまたなんとも言えない哀愁で、切なくて悲しくもある、心洗われるような一冊でした。(なんか言ってることが矛盾してるだけど、立ち向かわないのに清清しいの。潔くて、それなのに、優しくて・・もうけもんだったよ!イラストはご本人が描かれたものでしょうか、なかなかにえっちで、これもまた珠玉であります。(10、 14)
予告殺人 アガサ・クリスティー これはほんとに混乱して、読んでる方も難しかった。 地元新聞に殺人予告が載り、実際に人が死んでしまうのだけど、犯人に同情を感じてしまう書き方であり、お得意のラブロマンスも今ひとつで、最後、いうもの「やったー」感(?)が少ない。人で、結局誰でも殺人者に成りえちゃうんだろうか、なんて悲しかったよ。(10、 12)
砂の城 鮎川哲也 時代的に中古本屋さんで探すのが難しかった鮎川氏を思いがけず見つけて気合を入れて読みました。期待通りでした!鳥取砂丘で見つかった女性の扼殺死体から、犯人を捜し鉄則のアリバイを崩す、という王道でしたが、とにかく地道な捜査とそれぞれの刑事や被害者や犯人、そしてその周りにいる人の人間性、実に深いです。アリバイ崩しがこんなに面白いなんて思ったこと、あんまりないミステリー読みだったので、とても楽しめました。もっともっともっと手に入ると嬉しいのですが。(10、 6)
どんどん橋、落ちた 綾辻行人 読者に挑戦!犯人当ての短編集。最初の一編が、私なんとなく(あくまでなんとなうだけど)分かってしまって、やっぱり自分はSF読みかな?と思ってしまった。ただ格短編に出てくる思わせぶりな文章についていけないところが、結局綾辻ファンとまで言えない私の実態なのでしょうが。ちょっとフェイントの犯人(?)像、面白かったですよ。(10、1)
ねじれた家 アガサ・クリスティー 再読でした。(また忘れて買っちゃった(;^ω^A )毒殺された家長の老人を巡る家族たちの人間性がとても苦しい、けっこう重ための一冊ですが、とくに最後はね・・ 今の日本に突きつけられた問題でもある気がします。愛情(恋愛ではなく)って、人の生きる上で、どれだけ大切なものなのか、見えないだけに意味深いです。(9、 29)
ビロードの悪魔 ジョン・ディクスン・カー 氏の名前をよく聞くので一度は・・と思っての初挑戦かな?ごめんなさい、骨子はなんとなく分かりましたが、いかんせん宗教問題やら、西洋の中世の事情やらがまったくわかっていないので、最後の大団円(?)でもカタルシスに至りませんでした。これは男性向けではないのかな?もっと楽しんで読める小説のはずなのに、読解力が足りなくてごめんなさい。(9、 26)
年上の女 連城三紀彦 連城氏の作品が大好きで、かなりの量を読んでいると思う。(索引のページを作り始める以前もたくさん読んでいたから)短編の男女の心模様 を「ふ〜ん、そういうのもありだよな・・」と目を見開いて感動していたもんだが、なんか最近違う気がする。私はこうは生きたくない、とそう思うようになってきてしまった。私は人を信じたい。そしてストレートに自分を相手に伝えたい。裏切るのも裏切られるのもイヤ。氏はそう思いながらもそうできない、と言っているのかも知れないけど、そういうところに自分を追い込んでいく前に、自分の意思で近づかないようにしたい・・ と言いつつ「男女の幾何学」なんぞは、実に救われたような、優しい一編でした。(9、 23)
冷たい密室と博士たち 森博博嗣 犀川、萌絵のシリーズ2作目、これもまた超面白かった〜〜 \(^^   低温度実験室での密室殺人、そのトリックも動機も、まぁ説得力のあること!(普段の私は、トリックなんてどうでもいいんだけどね。)キャラたちの人間模様も深い。萌絵にも危険が及んだり、犀川との微妙な関係もアクセントだし、萌絵のリッチな暮らしぶりや、国枝助手のような存在も散りばめられているんだから、硬軟取り混ぜて面白い。・・だから、それならなんでFがダメだったのだろう、もう一度挑戦してみようか、と思ってるところです。(9、 20)
笑わない数学者 森博博嗣 面白かった!消える銅像、人間の概念を超えた建造物と地下に住む偉大な数学者、そしてその身内に起こる連続殺人・・をば、犀川先生と萌絵ちゃんのコンビが掻き回す〜 ってが_(^^;)ゞ 妙な人もい多いけど常識で分かる範囲だし、人の心の動きなんか クリスティーのミステリーみたいだったし、今回の犀川、萌絵コンビの温度差があんまりなくて、あんたらこんなに仲良しなの?ってくらい。犀川センセはもっと毅然と冷たくなくちゃいけないわ、なんて勝手に思うくらいにね。刑事さんのキャラもよかったな。今になって、森氏にぞっこん・・という大分ズレてる私です。(じゃ、あのFはなんだったんだ??)(9、 10)
総門谷 高橋克彦 経済誌の出版社やテレビ局のプロデューサーがUFOの検証に手を 結んでから始まる、時空も人という種族もぜ〜んぶ飛び越えたった超能力者あり〜の、不老不死のあり〜の、宇宙人も神もあり〜の、ぶっ飛びSF!荒唐無稽もここまで行けば大感動!といったところ(^。^;) でも、こういうのは映像でみたいね。あまりのスケールに、想像力が付いていかないのは、指輪物語の原作みたい_(^^;)ゞ(9、6)
挑戦!
「Y」の悲劇
有栖川有栖
篠田真由美
二階堂黎人
法月倫太郎
クィーンの「Yの悲劇」をモチーフにした、お歴々のアンソロジー。ダイイングメッセージの特集とでも言いますかね。 こういう作品で、新たに好きな作家を開拓したりすので侮れません。今回は篠田氏が初めてでした。女流らしい、しっとりこってりの方ですね♪( 8、24)
六道ヶ辻 
ウンター・デン・リンデンの薔薇
栗本薫 六道ヶ辻のシリーズ二作目。大正時代の大道寺家の娘の選んだ生き方を描いたものだけど、う〜ん、これは勧善懲悪とか道徳的とか言うわけにはちょっと行かないね_(^^;)ゞ こういう人が生きており、こういう終わり方を選んだ、というだけなんだけど、濃いのよ。もう彼女たちの気持ちが濃くて濃くて濃くて・・ なんとか目をつぶらずに付いて行くのが精一杯でしたかね(;^ω^A ( 8、24)
六道ヶ辻 
大道寺一族の滅亡
栗本薫 平安時代から連なる上流階級の旧家の、大正時代と現代と跨いだ殺人事件・・というか(^。^;) そこがほれ、栗本氏なわけで、超美形の異母兄弟から、衆道から、お約束がたっぷり。 シリーズものなので、もったいなくてずっと抱えて開かずにいましたが、ついに解禁( 8、18)
お父さんの会社 草上仁 いんやぁこれがPCのシュミレーションゲームと現実が重なっちゃうハチャメチャな長編でありました。サラリーマンの日常、その家族、そういうことを描きながら、人の繋がりをさりげなくまとめちゃう辺りが、この人優しさでしょうか?SFのはずが今は現実になりつつある内容も、さすがはプロのサラリーマン作家の氏ならでは!( 8、12)
ラッキー・カード 草上仁 大好きな草上氏の短編集だけれども、なんだかアンラッキーというか、シュールな作品が多くて、あれれれ・・と思ったら、かなり初期の作品を集めたもののようでした。「セルメック」は面白かった(^.^)しゃれが聞いてて、最後にりっぱなオチもあり、達成感もよかったよ♪( 8、6)
詩的私的ジャック 森博博嗣 「すべてがFになる」を読んで以降、ちょっといいかな、と思っていた森氏ですがこれは好きでした。ちょっと強引すぎる動機も無きにしも非ずだし、出てくるキャラたちも個性的で魅力的。レギュラー(?)の犀川先生と萌絵ちゃんの関係も、これくらいならい い感じよね。( 7、30)
流れ星と遊んだ頃 連城三紀彦 二人の中年男性の演技と本音の生き方、そしてその間で揺れる鈴子の心理・・ いやぁ、時間は前後するは、語り手はそれとな〜くすり替わっているは、頭はついていくのせいいっぱい。(だから肝心のところを取り違えて語り手を間違えてしまうんだ。)いかにも連城氏の作品らしい、表現しない愛を言葉でなく行動で描写していますデス。「ため息の時間」を彷彿といたしました。( 7、18)
バンドネオンの豹 高橋克彦 氏の作品でも痺れるように好きなタイプ(「私の骨」などホラー短編とか「ドールズ」のシリーズとか「写楽・・」などの重量感いっぱいの歴史ミステリ)もありますが、ん???ってのもしばしばありまして・・_(^^;)ゞ これは好みとしか言い様がないのでしょうか。えっとこれは、地底人の話であります。雰囲気はジュブナルかな? いっそ、子供向けで押し通した方がよかったかも・・(7、14)
検察側の証人 アガサクリスティー 戯曲ってのはあんまり読まないのですけどね。それなりに表情やら口調やらを想像しながら読んでみましたデス。クリスティの描く愛ってのはやっぱりこれでしょうかね・・切ない結末ですけど、予想はできていまいます。演じる方はそれゆえ、一層難しいでしょうか。( 7、12)
シタフォードの秘密 アガサクリスティー 名探偵は出てこないけど、飛び切り元気な容疑者の婚約者と新聞記者の絶妙なコンビと、降霊会のトリック、そして真犯人の動機なんぞ、まさにクリスティーならでは。最後の落ちも女性たちにはまた納得できますのよん♪( 7、10)
本格推理2 鮎川哲也編 投稿作品集でありまして当然アマチュアの方がほとんど。でも面白い!読み応えたっぷりのアンソロジーでした。中にはシリーズ物もありまして(「調香士の事件簿1」)初めての方の始めての調香士の世界、もっと読みたいと思いました。( 7、5)

   (’04,1〜 6)                        HOMEへ