最近読んだ本です
(’02,7〜9)
虹 | 吉本ばなな | ふ〜ん・・・・ 普通の感覚の淡々とした小説ですね。オカルトも超能力もない、静かな恋愛の話。でもタヒチの日差しや海の中はとても鮮やかで生き返る思い。普通に幸せになって欲しいものです。(02,9,29) |
リセット | 北村薫 | これって、戦争の話・・ 読み始めてからビックリしてしまった。でもそれほど暗くはないけどね、繊細な真澄の気持ちは切ない。そしたら今度は1960年代の話。これはもう体験してるからよく分かる。そして・・・ 二つの意識の巡り会いには泣いてしまった。(02,9,27) |
黒猫館の殺人 | 綾辻行人 | 中村青司の建物がまた出てきたよ。ふむ、鏡の国のアリスかいな。謎解き楽しませていただきやしたが、やっぱ、北村さんの後だと、優しさとか心の重さみたなものが、違う文体じゃない。私の求め方が間違ってるのかも知れないけど(02,9,25) |
ターン | 北村薫 | やっぱり北村さんてすんごく優しい。事故で意識を無くした真希が行ってしまった世界で心だけのやりとりをする泉さん。でも、その世界にヤナタイプの柿崎クンが出てくると、ふたりの気持ちの美しさが際だってしまう。・・でも不思議な小説。ほんとは意識を回復したあとの続きも少しは書いて欲しかったな。(02,9,20) |
箸墓幻想 | 内田康夫 | なんか浅見光彦ってヤツがだんだん怖くなってくる。そんなに人の気持ちに深く入って、自分はおかしくならないのかしら。ともかくも、今回も古代の謎に絡んで見え ながら結局は人間の誤解やねたみそねみが殺人を重ねた、っちゅうことでしたね。なんか、人って年取って過去を暴かれあたふたするような人生、送らない方がいんでしょうけど、ま、そこが人なワケで・・(02,9,19) |
堪忍箱 | 宮部みゆき | これはちょっと暗いかも。怪しの幻色江戸こよみ版、ちゅうか、割り切れない人の心と、オカルト、ですわな。それもばっちり時代物の庶民系。貧しくて辛い世の中でも、なんとか楽しいこと探しながら明日を見上げたいわん(02,9,16) |
創刊号殺人事件 | 吉村達也 | トリックも読めないし、キャラたちの個性もはっきりしていてなかなか面白かった。作者の第2作目だそうだけど、勢いがあったよ。(02,9,13) |
あかんべぇ | 宮部みゆき | これは・・・ シックスセンスの時代物版って感じだけど、親子の情やら登場人物の健気さに、最後は泣きの涙であった。うう、人の心は辛くもあり優しくもあり〜〜〜(02,9,12) |
ドリームバスター | 宮部みゆき | おお〜っと、夢の中の異次元の悪党を捕まえるドリームバスター、とんでもない設定だねぇ、といいながらシリーズものを楽しんでいたのに、終わりが近づいても謎は深まるばかり。おいおい、ほんとに終われるのか?と思ったら、最後のページに「とべこん」の文字が〜〜〜 あーーん、続き物なんだぁ なんかどんどん果てしなく深みにはまりそう〜〜(02,9,10) |
指輪物語王の帰還下 | トールキン | 指輪が溶けた瞬間には泣けてしまったね。今までのフロドとサムの死と向き合った一歩一歩があまりにも辛くて苦しくて。ほんとにその責任感の強さは、とても人間には真似のできないこと。そして、そのあとの名誉や婚礼、懐かしい友達との再会、故郷ホビット庄の再建とか、嬉しくなるラストではあるんだけど、(サムなんて、恋しい彼女と結婚して、末は12人の子持ちになるらしい)フロドがね、なんだか寂しいのよ。あれから幸せになれたの?それがけっこうな気がかりで、万々歳とはいかなかったんだわ・・(02,9,7) |
指輪物語王の帰還上 | トールキン | もうこうなるとなにがなにやらって感じになってくるね。登場人物が混同してくるし、国がどっちがどこやら分からなくなる。それでもアラゴルンがどんどん存在感を増していくのは、すんごく嬉しいけどね。ホビットたちの存在感もまた。(02,9,4) |
指輪物語二つの塔下 | トールキン | この巻はフロドとサム、そしてゴクリの3人の道行き。ボロミアの弟にあったり、ガラドラエルのプレゼントに命を助けられたり、最後はとんでも ない敵にフロドがやられたり・・・ ああ、早く続きが読みたい!!(02,9,2) |
指輪物語二つの塔上 | トールキン | フロドとサムがいなくなって、さらわれたピピンとメリーを追うアラゴルン、レゴラス、ギムリ。新たな仲間と、ガンダルフ、ピピンとメリーとの再会は、最初は重たくて重たくて読み進むのも辛かったけど、再会の時はヤッホーってなもんよ。(02,8,31) |
ゆきずりの唇 | 連城三紀彦 | いやぁ、連城さん、しんどいよ、この小説も。微妙に変わる人の想いってのは、思いの他ついて行くのが大変で、また結婚25年の48歳の主婦がそのターゲットだったりすると、まったくやってられない感じ。はっきり言って私は今更ゼロからやり直す気はないし、新しいオトコはもっとたくさんだから重なりはしないけど、男性作家でありながら、ここまで女性心理を描かれると、なんか説得力さえ持ってくるから不思議。でも短編の方がより好きかもね。(02,8,27) |
あやし〜怪〜 | 宮部みゆき | ちょっとオカルトっぽいところのある時代短編。安達の鬼、女の首、などは特に終わり方の嬉しい小説で何度か読み返したしまった。貧しいけどその分人の人情が深い時代の、人や人でないものたちが織りなす人間模様、でしょうか。なかなか切ない読み物でしたね。(02,8,24) |
ぼんくら | 宮部みゆき | 怠け者を自称する同心が、懸命に生きる庶民の中でなんやかやと事件を解きほぐしていく話だけど、周りを取り巻くキャラがなかなかユニーク。録音機能のある茂七親分(!)のところのおでこや、天才計り屋で超美形の甥、若いがマメな差配人や、長屋の主のお徳とか。ぼんくらな同心が、かえって人の心を暖かくする感じ。続きが読めるのかしら。(02,8,20) |
夜明けのロボット | アイザックアシモフ | うう〜ん、これだものぉ 確か再読のはずなのに、まったくストーリーを忘れているワタシって・・ でもイライジャやR・ダニール、そしてグレディアのおなじみさんに、今回はジスカルドという見かけと違うなかなかのロボットが登場して、最後のどんでん返しには涙が出たよ。中に「アンドリュー」という長い間にヒューマノイドになったロボットの逸話もあって、ロビンウィリアム演じるところの映画を思い出したりしたのだけど、いっつもアシモフおじさまの小説を読むと、ロボットの話なのに夫婦の在り方とか人種差別とか、とても現実的な想いを突きつけられた感じになる。今回もいろいろやってくれてるよ。(以前読んでたはずなのに)イライジャとグレディアがあないなことになるとも思わなかったし・・・ 老眼鏡をかけながら、1日で読んでしまいました。ああ、面白かった。(02.8,17) |
火星人の方法 | アイザックアシモフ | ふにゃ、期待したほどではなかったかも。割と日常的な発想に終始した、っちゅうか。アシモフ氏は言葉のあやとか小理屈屁理屈的に、会話を押し進めるところがけっこう好きなんだよね。原語で読めたら、その辺、どうなっているんだろう。「まぬけの餌」のマークくん、他の事件での活躍もみたいね。なかなかのキャラだったんだよねん。(02,8,13) |
『源氏物語』の男たち ミスター・ゲンジの生活と意見 |
田辺聖子 | 源氏物語の光源氏、その息子夕霧氏の解説書ではあるが、現代のオトコの見方にも多いに感じ入るところがある。それにその対照的なオトコ二人の対比をとってもわかりやすく書かれてるので、と〜〜っても面白く読めました。まったく目からウロコよん(02,8,9) |
指輪物語旅の仲間T,U | トールキン | ロードオブザリングにどっぷりはまっての、やっと手に入れた第一部2冊(今は3冊になってるよね) あの映画は原作に忠実だったんだね、と思うも、映画見てなきゃかなり難航したと思うほど緻密で想像を絶する冒険の数々だよぉ。映画でサムがなかなか痩せないと思ったけど、さいしょっから小太りキャラだったのね。それにつけても2部も3部も読みたい〜 BOOK OFFは期待薄だし、なかなか高額だし、どうすんべか〜 でも、絶対映画の前に見たいんだよぉ(02,8,6) |
踊る手長なが猿 | 島田荘司 | ほんとにこの人の女性心理の描写ってのは、どうなってだべと思うよ。辛辣で女性に阿ってない表現てのは、読んでて辛くなるくらい。「暗闇団子」という短編はなんと時代物!(島田さんのは初めてかも)花魁と田舎侍の恋の行き先なんだけど、なんだかしみじみしてね・・・ ほんと、幸せってなんでしょね(02,7,22) |
北斎の罪 | 高橋克彦 | 短編集なんだけど、怖いよ。主人公だろうがなんだろうがバッサリ。表題の「北斎の罪」は、贋作かどうかを見極める話だけど、その講釈がやったら穿ってて納得しちゃう。まさに北斎の罪!!宇宙人にしろ、鬼にしろ、高橋さんに掛かるとまったく真実のごとく頷いてしまう私は、いつかすっかり高橋フリークなのだろうか?(02,7,23) |
新 私本 源氏物語 春のめざめは紫の巻 |
田辺聖子 | どわははは。こりゃ面白い。大笑いだわさ。私本源氏物語も充分に笑わせて貰ったけど、これは明石から戻った後の、中年光源氏の話。源氏の愛人(ばかりでもないが)8人8様のオンナぶりと、このオンナ達にいいようにあしらわれるオトナ源氏とそれを取りなすヒゲの伴男、女房達の心の綾。みなしたたかで、活き活きとして、おもしろ おすえぇ(02,7,21) |
不倫は家庭の常備薬 | 田辺聖子 | いつもいつも田辺センセの中年表現にはまったくまったくと頷くばかりではありますが、私は今更どんなオトコともえっちなんぞしたくはないわね。たくさんしゃべったり、たくさん飲んだり、たくさんドライヴなんてはいいけどもさ。お聖さん、マジそんな風に思っているんだべか。(02,7,19) |
震える岩 | 宮部みゆき | おや、読んだと思っていたけど初めてでしたね。それにしても同じ超能力物でも、クロスファイアとはずいぶん違う扱いですね、お初ちゃん。周りの人に認めて貰え、助けられながら力を使えるっていうのは、どんなにありがたいことでしょうか。向こうの方はあまりに終わり方が辛くて・・ 死人憑きから子供殺しから、赤穂浪士から親子問題から、まるで3題話のように収まってしまう不思議。それから家族の心、相変わらず好き。(02,7,17) |
ドールズ闇から覗く顔 | 高橋克彦 | これはメッチャクチャ面白いよぉ 怜に住んでる目吉の犯人を諭す優しさはほんとに人の心がわかる人だ。犯行の動機も十分に理解できるし、それを自首に持ち込む目吉の深さ。そして彼と怜を取り巻く恒一郎や香雪などの人間もようもね。もっとこのシリーズは出ないのかしら・・(02,7,15) |
修善寺温泉殺人事件 | 吉村達也 | ふ〜む、動機が甘いよな。人情が足りないよ。もちろんああいうことがあれば人は悩むし苦しむし、関係者を恨みもするけど、多分殺人の動機にはならないと思うんだけどな。どうだべ。(02,7,10) |
白骨温泉殺人事件 | 吉村達也 | トリックは面白かったけど、最後まで救われない感じ。殺人の裏側である、人の心の優しさも対比として描いて欲しかったな。(02,7,8) |
トワイライトエクスプレスの惨劇 | 吉村達也 | ふ〜む、これはあんまり好みじゃないかも。中年二人の区別が付きにくいで、それぞれの配偶者もまた混同しがち。(それぞれが重要な役割を持っているんだけど。)それに5人も殺していながら、殺意がなんとなく成り行き程度で甘い感じなのよ。だから、被害者にも加害者にも同情とか義憤とか、あんまり心の動きがなかった感じ。やっぱ、いくらミステリーとはいえ、読後は何か残らないとねぇ(02,7,6) |
OL捜査網 | 吉村達也 | 面白かった。初期の作品だと思うけど、変に推理小説じゃなくて、普通の会社でのちょっとありがちな人間関係。イヤミ(?)な編集者はまぁ愛嬌として、わざとらしくないし、犯人の動機ってのが妙に納得できて、最後もちょっと嬉しかったし、よかったよぉ(02,7,3) |
「一身上の都合により殺人」 | 吉村達也 | これが日常の殺人を扱った短編集なんだけど、怖かったよぉ。普通の人の狂気、っちゅうか、誰でも成り行きでそうならないとも限らない怖さ・・・ あまりにも怖くて斜めによんじまった作品もあるのさ!好きな人は好きだろうねぇ、こういうの・・(02,7,3) |
犬張子の謎 (御宿かわせみ21) |
平岩弓枝 | 久々のるいと東吾の夫婦と彼らを取り巻く人々、小さな(あるいは大きな)事件とその結末。人情深い江戸の下町はなかなか泣かせます。面白かったよ。テレビの時代物はどうも苦手なんだけど、小説はいいですよね。特にこの設定は身分が極端に上でもしたでもない、庶民たちの活き活きとした生き方がいいですよね。(02,7,1) |