最近読んだ本です

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キウイγは時計仕掛け 森博嗣 Gシリーズ9作目です。建築学会で学長が射殺され、そばにプルトップのついたキウイがあった、ちゅうものでありますが、結局そのキウイもγの意味もテキトーに流して、加賀谷、雨宮、山吹、海月、西之園、犀川、国枝の面々がややだるめに自分の仕事をしながら事件について蘊蓄る、と。ますますみんなのキャラが立って、仕事ぶりも口調も性格出まくりで、全然ミステリじゃない、連続青春小説を読んだのでありました。(12月16日)
たまゆらり 高橋克彦 久しぶりの高橋ホラーです。私も年を取ったので、以前のようなハマり方はできなかったけれども、血や事件のない、過去の記憶がメインのホラー短編集はとても性にあっています。『声にだしてごらん』『うたがい』『あの子はだあれ』『悪魔』『たまゆらり』『ゆがみ』『とまどい』『私のたから』『幻影』『怖くない』『隠れ里』(11月21)
木洩れ日に泳ぐ魚 恩田陸 映画「蜂蜜と遠雷」があまりにも面白かったので、恩田さんの本を借りてきました。ワケアリの血縁をめぐる恋愛とか殺人とか、なかなかのシチュエーションで2時間で一気読みでしたが、終わってなんだっかな〜と(^_^;) 以前は男性の作家さんだと思っていて、微妙な違和感を感じながら読んだ記憶がありますが(チョコレートこすもす??)女流作家さんと分かってから、いかにもとなっとくできる感情表現です。たった一晩を回想を交えながら描くって、濃密だけど、明日からどうすればいいんでしょ、とかも思っていまいます。(11月15)
昨日がなければ明日もない 宮部みゆき まったくどうしようもない困ったオンナたちが周囲を散々困らせたあげく、罪まで負わせてしまうという、辛い内容の杉村三郎モノなのですが、惹きこまれてしまうんですね。読み始めたらやめられなくて、二晩で読んでしまいました。『絶対零度』『華燭』『昨日がなければ明日もない』杉村探偵は、離婚した奥さんの元にいる桃子ちゃんにとても深い愛情を持っているけど、そんな普通の感覚では信じられないような、自分勝手だったりワガママだったり頭が悪かったりする女性たちに関わる事件、そのままで終わらないのですよ。なんでか立科警部補たる人物が登場するのは、これからも探偵の仕事が終わっても、殺人に絡む事件に三郎さんは絡んでしまう、ってことなんでしょうかね。(11月13日)
羊と鋼の森 宮下奈都 映画が面白くてずっと本も読みたいと思ってやっと借りました。綺麗な文体なんですよね。文字だけなのに、山の木々のざわめきとか緑の香りとか、ピアノを知らないけど山を知っているので感じます。その描写、感情が描いているわけではないのに涙が出てきます。調律の仕事を、とてもとても素晴らしいと感じられる読後も爽やかな作品でした。(10月29日)
西巷説百物語 京極夏彦 又一の腐れ縁(!)の靄船の林蔵
が一文字屋の仲間たちと大がかりな仕掛けで、その依頼を片づけてしまうという、例のお話しの西(大阪)バージョンです。けっこう一人称のターゲットに気持ちを移していると三人称でとんでもない心得違いのヤツだと分かるので辛いけど、人情たっぷりと、その化かしっぷりのスケールの大きさにやっぱりヤンヤの拍手を送ってしまいます『桂男』『遺言幽霊 水乞幽霊』『鍛冶が嬶』『夜楽屋』『溝出』『豆狸』『野狐』豆狸なんて、ほんと泣いちゃいましたよ。幸せになって欲しいものであります。(10月20日)

あやかし草紙
三島屋変調百物語 伍之続)
宮部みゆき 三島屋シリーズです。『第一話 開けずの間』これは悪霊の悲惨で怖い話ですが『第二話 だんまり姫これはかわいらしい地縛霊さんを救う「もんも声」の嬉しくなる話、『第三話 面の家これはどうしようもない、この世にはびこる悪という存在について、『第四話 あやかし草子これはまたとんでもない予言というか自分の運命を事前に知ってしまう話で、でもこのおかげでおちかの嫁入りが決まるという、腹の座った話でもあります。そして『第五話 金目の猫』おちかから百物語を引き継ぐ富次郎と伊一郎の子供の頃と話と、おちかと瓢箪古堂の勘一の祝言の一コマであります、めでたしめでたし〜〜
シリーズはまだまだ続くのかしらね?宮部さま、お忙しいでしょうけれど頑張って♪
(10月8日)
金糸雀が啼く夜
(薬屋探偵妖綺談)
高里椎奈 シリーズ4弾です。前作よりは少しはストーリーがまとまりましたかね?でもやっぱりとっ散らかってる気はしますが、シリーズ物って読んでしまうんですよね。薬屋3妖怪が、敵味方になっちゃって、花屋の親分と店員の為に、人間の金持ちからサファイヤを盗む、と。そしてそれは人ならば3世代にも渡る長い物語ですが、妖怪組みには当事者がそのままの姿でいたりする、とかいうお話しであります。(10月4日)
過ぎ去りし王国の城 宮部みゆき 再読でありますが、読んだ記憶がかすかにあるだけで内容はまったく覚えていません。なので初めての気分で読みましたが、やっぱり宮部氏ですね。ネグレクトの子どもを救う手立てを、絵の中の王国入り込むファンタジーで、パラレルワールドの矛盾(?)と戦う不幸な男女と普通の男子高校生が頑張っちゃう話です。 今の現実の世の中でも悲しい子供たちの話はニュースに登場するので、ほんとに悔しいです。それを小説に仕上げる宮部さんの力量にいつも泣かされています。(9月29日)
この世の春(上・下) 宮部みゆき なんとまぁ、多重人格、未成年者の性的虐待、催眠術、あげくの殺人、とんでもなく重たいことを一六年の年月を越え、御霊繰も登場しますが黄泉の国に絡まず、押し込みにあった北見家六代藩主重輿を愛する周囲の者たちが、地道な努力で最後まで現実的に解決していく時代ものでありました。よく春を迎えたものだと、ほんとに読みながらため息をつきますよ。でも上下巻、二日で読み終わったので、最近目の疲れい逃げがちの読書も、ほんとにいいもんだなと再認識して図書館通いを再開しましょうかね(^^)(9月24日)
桜ほうさら 宮部みゆき 田舎藩の古橋笙之介の父親が死に、どこまでも相性の悪い母と兄から離れ、父の死の真相をさぐりながら江戸で穏やかに暮らしていたはずが、どんどん肉親との隔たりが広がるばかりで、そこが江戸時代ですからね、武士と家、藩などでがんじがらめですよ。結局生きているのに死んだことにするしかない立場って何なんでしょう。文字の人格とか、母親と娘の関係とか、そういうのはさすがに宮部さんで、重いながらも面白かったです。
もし日本が戦争に負けて、アメリカの民主主義が入っていなかったら、今もこの国はお家とか跡目争いとか、そういう儒教的な生き方をしていたのでしょうか。(9月17日)
悪魔と詐欺師
(薬屋探偵妖綺談)
高里椎奈 シリーズ3弾だそうですが、これが一番分かり難いかも、です。病死とか変死とか6人の死が繋がっているというシャドーのタレコミに、刑事の高遠やら、夢を食べる獏の妖怪とか、女装の坊さんなどなどが、自分の関わった事件を個別に秋に言うけれど、どこに共通点があるのかを探す、みたいな。
で、その共通点は見つかったけど、他の話が全然繋がらなくて、私しゃ、狐につままれたみたいよ(-_- )(9月12日)
妖怪極楽 嬉野君 辻褄があわないというワケではないのですが、ちょいとR指定ではないかしらん?日本語教師の仕事で「歌舞伎座砦」なる妖怪の巣窟に入る花だけど、この見立てがね、なんだか生殖に絡んでいて、ちょっと違う感じ。ファンタジーかと思ったけど、やかましい妖怪たちの妊娠裏話みたい。(7月17日)
蒼い千鳥花霞に泳ぐ
(薬屋探偵妖綺談)
高里椎奈 シリーズ8弾のこの人外の魅力的なキャラが活躍する話、実は全然人間の話で、家族とか思春期とか、なかなかに重たい話になっています。シリーズの1,2、デビューほやほやの頃に読んだものよりはとてもまとまっていると思います。(6月17日)
ストーリー・セラー 有川浩 若い夫婦の片方が余命を告げられるという、究極のお話しでありますが、これって私小説?それなら有川さんのご主人、癌になってしまったの?と思わせるに十分で、読み終わってからネット検索してしまいました。でも結果は同じ感想を持った人が多かったらしく、そういう噂が流れている、真偽のほどは分からない、という記事でした。
旅猫リポートも、リアルな死に話で、ほんとは辛くて読みたくないんですがね、有川さんの書く作品が好きなばっかりに、ね・・・(5月17日)
神様のパズル 機本伸司 天才で飛び級で大学生になった穂瑞沙羅華をゼミに引っ張り出す口実に「宇宙を創る」作業を始めた綿と、ゼミの仲間たちとの成長物語であります。物理用語、恋愛、老人問題、あれこれちりばめられた青春小説でありました。私ごときにはその「簡単な物理用語」も難しかったですけど。(4月17日)
ダマシ×ダマシ 森博嗣 Xシリーズ最終話だそうです。結婚詐欺の被害者たちと、その犯人が殺害されて犯人を探すミステリーですが、最後ということでいろんなおまけがついています。小川令子が登場したての頃は危なっかしくて困った人かと思ったけれど、この回はしみじみこの人の人柄を感じたし、バイトの学生たち(真鍋や永田)の社会人としての羽ばたき、萌絵ちゃんや加賀谷(だと思う)まで絡み、胸が熱くなりまし。(4月12日)
ηなのに夢のよう 森博嗣 再読のはずですが、まったく記憶にありません。「ηなのに夢のよう」と書かれた絵馬が側にある自殺者が4人ほど出てきますが、結局それについてはなんの解決もみないで、例の4人組(加部谷たち)が自殺談義をし、萌絵ちゃんがだんだんエラクなって行きそうだったり、トーマが死んだり、四季っぽい人が出てきたり・・
でもやっぱり面白いです。死は意外と身近だと改めて感じることもできたし。
今後の展開も読んでるはずですが、ストーリーは関係ないのかな?と思える面白さです。( 3月27日)
地球は空き地でいっぱい アイザック・アシモフ 大好きなアシモフの短編集ですが、なんだかピリリとした風刺もちゃんと感じられなくて、年かなぁと痛感してしまいました。「死せる過去」なんぞは、今の時代じゃぁ刺さる問題作ですね。「死せる過去」「SF成功の要諦」「投票資格」「悪魔と密室」「子供だまし」「高価なエラー」「住宅難」「メッセージ」「お気に召すことうけあい」「地獄の火」「最後の審判」「楽しみ」「笑えぬ話」「不滅の詩人」「いつの日か」「作家の試練」「夢を売ります」( 3月10日)
サイタ×サイタ 森博嗣 Xシリーズです。いつものごとくダルクてヤバイのですが、やっぱり面白いです。「佐曾利」さんて名前も相当だけど、でも頭が良すぎる気持ちの悪いだけの人間ではなくて、最後の最後は、なんとなく気持ちも分かる気がして、そこがいつもよりはマットウに面白かった部分でしょうかね。( 3月8日)
龍の黙示録 篠田真由美
 
う〜ん、あんまり好きじゃないかな?「龍緋比古」はギリギリなんとかそういう生き物として認めるとしても、ヒロインの柚ノ木透子はカケラも魅力がないのですよ。吸血鬼だの、キリストだの、いろいろあり合わせの題材を継ぎ合わせてストーリーを作っているけど、結局は命あるものを自分の意思で死なせてしまうことに、大義名分もへったくれもない。
最後も「え?それで??」って感じです。キャラたちに共感できないのが一番問題かと思われますが。( 2月12日)

 

 

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