最近読んだ本です

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どちらかが魔女 森博嗣
 
まとめて買った中古本を見て、あ、前に読んだヤツじゃん、と思ったけれども全部きっちり読みかえしました。内容はほぼ忘れていたし、なによりオトナになったネリナとシコちゃんに会えてると知らなかったのよ、前回には。ね、フランソワ?犀川さんはへっくんなワケだから、もしかして知ったいたのかしら?と今回は頭がグルグルだけど、両方が魔女かもしれない叔母と姪の感じや叔母の若い頃を垣間見れて、全然大感動でした。遅すぎますよねぇ(^^ゞ
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」「誰もいなくなった」「石塔の屋根飾り」「マン島の蒸気鉄道」「どちらかが魔女」「双頭の鷲の旗の下に」「いつ入れ替わった?」「刀之津診療所の怪」( 12月26日)
ビブリア古書堂の事件手帖5 〜栞子さんと繋がりの時 三上延 大輔さん、栞子さんに告白して返事を待つ♪ んでも重たい栞子さん、実に真剣に考えてるワケで、 そこいらは(´∀`*)ウフフと読めますが、やっぱり母親の存在が異彩を放ってる、といいますか・・ あと2巻読み終わったら、そんな母親にも共感が持てるのでしょうか。
志田さんの今後にも心ひかれますしね。

「プロローグ リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』」「第一話『彷書月刊』」「断章1 小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』」「 第二話手塚治虫『ブラック・ジャック』」「断章2小沼丹 『黒いハンカチ』」「第三話 寺山修司『われに五月を』」「断章3 木津豊太郎『詩集 普通の鶏』 「エピローグ  リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』」( 12月15日)
事件黄色い目をした猫の幸せ薬屋探偵妖綺談2 高里椎奈 内容は横溝さんばりの猟奇的な殺人事件で、刑事も出て来るし人情話の部分もあるのに、なんで人でないモノたちが主人公の必要が??と思いながらも魅力的な秋や座木やイベザルではあります。 あとがきを読んだら2作目ではありますが、初めて書いた作品だったそうで、文体のやちゃくちゃなさはそうだったか、と。
薬屋の3人に慣れたら、このシリーズは面白くなるかもしれませんね。( 12月13日)
シーラカンス殺人事件 内田康夫 岡部警部ものの緻密で重めの初期の頃の作品ですね。今更ですが、初めて読みました。まだ浅見光彦が存在していない、正統派の刑事もの。けっこう真摯な気持ちで読みました。( 12月10日)
絶対城先輩の妖怪学講座五 峰守ひろかず 初めての作家さんのです。妖怪のうんちくがほんとにすごい!ストーリーもきちんと作られていて説得力がありましたが、シリーズ5作目なので過去のメンバーの関係性を知らないせいか、やっぱりヒロイン・ユーレイの 心情の呟きがうるさく感じました。私がオバサンのせいですかね。
「河童」「目々連」「雪女」「多邇具久」「ひょうすべ」「雪男」。( 12月8日)
イン・ザ・ヘブン 新井素子 素子さんの短編集です。まぁ「チグリスとユーフラテス」のイメージが重なる作品が多い中、「ここを出たら」は地震で停電になったエレベーター 中に閉じ込められた15人ほどが、いつ助け出されるかわからない究極の密室でリーダーシップを発揮する男性のカッコイイこと!でも救出されたあとはその人が誰なのかわからないまま、最後のオチは強烈です(^m^)
「イン・ザ・ヘブン」「つつがなきよう」「あけみちゃん」「林檎」「ここを出たら」「ノックの音が」「絵里」「幻臭」「ゲーム」「あの懐かしい蝉の声は」「テトラポッドは暇を持て余してします 」( 11月27日)
ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔 三上延 栞子さんの母親が全面的に姿を現します。 大輔くんには好意的だけど、人間性はやっぱり一層怖さが増します、あ〜れ〜 そんな中でも二人はいい感じなのですがね・・
あのご夫婦に子供ができて両親と気持ちが通い始めたのは、とても嬉しかったけど。
 「プロローグ」「孤島の鬼」「少年探偵団」「押絵と旅する男」「エピローグ」( 11月21日)
ビブリア古書堂の事件手帖3 〜栞子さんと消えない絆 三上延 ここまではドラマで見て、とっても面白かった作品たちですよね。 昔の記憶だけで絵本を探す栞子さん、すっごくカッコイイけど、結局たんぽぽ娘は最後はどうなったの?
 「プロローグ『王様のみみはロバのみみ』」「ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』」「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」「宮沢賢治『春と修羅』」「エピローグ 『王様のみみはロバのみみ』」( 11月19日)
ビブリア古書堂の事件手帖2 〜栞子さんと謎めく日常 三上延 マニアのオタクの極みの収集家の皆さま(^m^)それを全部解説までできる栞子さま、その萌芽が幼いころから、ってことですかね?
「プロローグ 坂口三千代『クラクラ日記』」「アントニイ・バージェス『時計仕掛けのオレンジ』」「福田定一『名言随筆 サラリーマン』」「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』」「エピローグ 坂口三千代『クラクラ日記』」( 11月14日)
心霊探偵八雲7 魂の行方 神永学 私は過去2作程度しか読んでいませんが、けっこうヤバイ状況まで来てたんですね。お祖母さまの霊と会話したり、父親の頭のホルマリン漬けを認識したり。
以前読んだ時は、孤立したハリネズミのような子だった感覚があるけど、今はあの赤い目も周囲に愛情深く理解してくれてる人たちが多くなって、それがシリーズの良さでもありますかね。( 11月12日)
カッコウの卵は誰のもの 東野圭吾 スポーツの遺伝子を調べていた研究者がスキーの期待の星の少女の父親に協力を求めてくるのですが、ワケアリがばれてしまうことを恐れて拒み続けます。そして自分でもよく分からないそのワケを探し始める父親と スポーツ医学研究者が、そして少女の周囲で起こる脅迫状や殺意の謎を追い始めると、もう潔い大人たちの意思に最後はなけてきちゃいます。普通は親子関係だと、なかなかあんなに正しくなれないから、あの強さに切なくなっちゃいましたよ。( 11月7日)
三鬼 三島変調百物語四之続        宮部みゆき おちかのもとに語りにきた四人ですが、少女だったり仕出し屋の亭主だったり、幽体離脱した老女の訪問にはおちかや友人たちが動きます。ま、この世のものではない者たちが、人だった頃の想いに囚われて、悲しく切ない想いが心を揺さぶります・・
「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」
( 11月5日)
確率捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム 神永学 “特殊取調対策班”に配属された女性刑事新妻と数学者御子柴が数学的確立で犯人を取り調べて、事件の真相を探るお話しで、ストーリーは面白いですよね。でも文体の説明がうるさ過ぎて読み進むのに突っ転んでしまいそうです。キャラを立てるのもほどほどにして、行動で読者が想像できるようにしてほしいもんですなあ、と思っちゃいました。( 10月29日)
臨床真理 柚月裕子 臨床心理士の佐久間と担当患者の声の色で感情が分かるという藤木が、恋人の死の真相を追う物語で、面白そうだなと思って読み始めましたが、ん〜〜やっぱり題材が不得意なジャンルの障害者の買春みたいな方向に行っちゃって、しょうがいないから読み終えよう的、やっつけ読書(?)になっちゃったことが残念。 重たい系の2時間サスペンスみたいで安っぽいかな?小説はドラマを上回る想像力をくれなくちゃね。( 10月27日)
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹 メジャーな村上作品ですよね。ビギナーながらに面白かったですが、多崎つくるは高校時代あれほど繋がりあっていた4人の仲間、アオ、アカ、シロ、クロから拒否され傷ついた心をずっと引きずっていて、恋人沙羅との会話で16年ぶりにその拒絶の理由を探しに昔の仲間に会いに行くのですが・・ とても共感する部分はあるけど人の心の弱さが怖いところもあって、そこが好き嫌いの別れるところなのかなぁ、と。
でもストーリー的には36歳になって、みんなに逢ってあの時のことの理由もわかり、その後のみんなの歴史や気持ちを共にして泣きたくなったりはしました。
きっとまた村上作品を手に取るんでしょうね。
( 10月25日)
希望荘 宮部みゆき 「杉村三郎シリーズ」の第4弾です。 三郎さんの離婚は前作ではすごくショックだったのですが、なんと探偵事務所を構えちゃっていましたよ!まぁ離婚後は実家に帰って、普通に血縁や嫂との軋轢があったり、臨時職員ながら地元で働いていい人間関係ができたり、探偵事務所を開くまでのいきさつが合間に出てきて、そこはほんとに杉村さんの歴史がわかって安心、納得したりね。
杉村新探偵の事件は「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身(ドッペルゲンガー)」 の4つですが、普通に真面目に働いていたのにちょっと魔がさして人を殺してしまったり、ただ性格が人でなしだったり、本気で悪魔的な人の心を持たずに生まれた人の為に自分の人生を壊されてしまったり、苦しく悔しいけれど、とても深く面白い一冊でした。
もっと杉村探偵の活躍に会うことができるのでしょうかね?
( 10月18日)
本朝妖怪盛衰録
豆腐小僧双六道中ふりだし
 

京極夏彦

京極様も久々な気がしますが、概念であるところの妖怪たち、なかなか多岐にわたって存在理由があるんですね。へっへっへと笑いなら読ませていただきましたが、豆腐小僧は可愛いでしゅ。豆腐を落としたら自分は消えちゃうと思いながら、戸をする抜けることもできず、もちろん開けることもできないのでじっと誰かが開けてくれるのを待ってるワケですが、京極様の小理屈も屁理屈も全部受け止めながら(でもすぐ忘れちゃうけど)たっくさんの妖怪さんたちを結果救うことになった馬鹿の豆腐小僧、偉かったね。袖引き小僧も納戸婆もみんなみんなよかったね((^^)( 10月10日)
キラレ×キラレ 森博嗣
 
Xシリーズの第二弾、探偵の鷹知、小川、真鍋の3人は本当にマットウな推理小説のような動きをしますね。小川と真鍋の所長である椙田はもしかして保呂草と同一人物ではないかしら、ちょっと得体の知れない不気味さがある、と思ったりしますが。
今回は電車の中で女性が背中をキラレる被害が3回も起きて、その犯人を捜すマットウな(しつこい?)仕事で、犯人以外はそんなにヤバイ人は出てきません。そういう意味では森作品らしからぬマットウなシリーズだと思っています。( 10月2日)
玻璃の天 北村薫
 
昭和の華族のお嬢様と女性お抱え運転手のベッキーさんが日常の謎を解くシリーズの二弾めです。昭和初期は身分制度もはっきりしていたし、軍人さんも周囲にたくさんいる時代で、そんな中でのベッキーさんの存在は異彩を放っていますが、素性も垣間見える巻です。英子さんが友人のことを「あちらは公家家族なので、大名家族の私たちよりお金がない」的なことをおっしゃっていて、へぇ〜〜〜華族にはそんな種類があるんだ!とびっくり。
今回は殺人も起きてしまいますが、それに対する二人の想いや当時の現実に胸が痛くなりました。そのうち戦争が始まることを知っている我々にはまた違う感慨も湧きまして。
「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天
( 9月28日)
名短編、ここにあり 北村薫
宮部みゆき編
大好きなお二人が選んだ短篇12篇。半村良「となりの宇宙人」、黒井千次「冷たい仕事」、小松左京「むかしばなし」、城山三郎「隠し芸の男」、吉村昭「少女架刑」、吉行淳之介「あしたの夕刊」、山口瞳「穴ー考える人」、多岐川恭「網」、戸板康二「少年探偵」松本清張「誤訳」井上靖「考える人」円地文子「鬼」
巻末の対談ではベタ褒めでありまするが、私のごとき凡人には面白いより暗かったりしんどかったり。でもそんな感情を掻き立ててくれるってことはやっぱりすごい作品群なのでしょうね。
好みNO1はもち左京さん、あとは井上氏松本氏円地氏あたりで既読は半村氏左京さんあたりですかね。山口氏はわからんかっただす、すみませんm(_ _)m( 9月22日)
ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜 三上延 こっちは怪我で入院中の美貌の古書堂店主と本も読めないのに古書堂店に就職しちゃった大輔の古書に纏わるミステリー。 以前テレビドラマで見て好みだなぁと思っていた作品を小説で読むとやっぱり面白いけど、これまた千秋さんと良助ほどにはほのぼのよりもスリリングで、謎の方向が危ない性格系で、なんでも過ぎたるは・・・ という感じ?
全7巻なら全部読んで、この二人の行く末や栞子を形作った過去の日々を探ってみたい気がします。 「プロローグ」「夏目漱石『漱石全集・新書版』」「小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』」「ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』」「太宰治『晩年』」「エピローグ」( 9月19日)
覆面作家の夢の家 北村薫 こちらもラブラブな作家と編集者の千秋さんと良助。その周囲の編集者や作家仲間(?)さんが関わる交通事故やドールハウスのダイイングメッセージの謎、いないはず人間が写ってる写真の謎などを、千秋さんがいろいろな場所や衣装などで解きますよぉ〜(^m^)
そして千秋さんの豪邸ではお父様まで登場!
恋愛ということでは↓森氏も描かれていますが、どうしてこうまで温度や触感が違うのでしょうね。森氏の作品はもちろん大好きですが、北村氏の恋人同士には駆け引きも危うさもない暖かさがあって、嬉しくてたまりません(^^)( 9月17日)
恋恋蓮歩の演習 森博嗣 Vシリーズの6作目だそうです。 暫くぶりでしたが読み始めればお馴染みのみなさん。豪華客船ヒミコの中起きる男性と絵画の消失事件に仕事やら無賃乗車やらでも全員揃っちゃうんですもんねぇ。
今回は保呂草のモテモテぶりと危険さが際立っておりまして、紅子さんは紫子ちゃんのために保呂草から守ろうとしたフシもありますが、紫子と保呂草だけでなく、林警部の三角関係、保呂草の別の恋愛、恋が溢れている作品ではありました。でも保呂草の仕事にもあちこちキケンな香りが溢れすぎて紅子さんの老婆心も分かろうというものです。( 9月16日)
ソロモンの偽証1〜6 宮部みゆき
その分厚さに図書館でも借り兼ねていました。で、中古本屋さんをハシゴして6冊全巻揃えまして、じゃぁいくべか、と。
中学3年生が同級生の自殺が殺人だという告発があり、学校側、保護者たち、マスメディアなどの大人に振り回され、それなら真実はどうだったのか夏休みの課題として模擬裁判を行うことにするのですが。
春期真っただ中の中学生の話ですから、当時に想いを馳せれば自分もオトナには嫌われるタイプだったよなぁとか、保護者やメディアや先生や警察などの大人たちも迷ったり悩んだりする人間なんだなぁとか、裁判でのみんなのやりとりには感情をかき回されて動悸が起こり、おまけの『負の方程式』には怒ったりニヤついたり。
 何度か裁判の部分を読み返し、つど涙をこぼす思秋(冬?!)期でありました。面白かったです。
( 9月6日)
東京下町殺人暮色 宮部みゆき 初期の頃の宮部作品ですね。「東京殺人暮色」改題となっていますが、「刑事の子」とまた改題された文庫もありましたね。
刑事の息子である13歳の順は刑事の妻であることに疲れて離婚した母親と別れて父親と家政婦のハナさんと暮らしていますが、若い女性のバラバラ死体が発見されて、それについての噂が飛び交い刑事の家であるということで怪文書がポストに入っていたりして、友人と一緒に捜査に参加したりして、なかなかに刑事の息子なのでした。
少年犯罪がテーマの一部であるところは宮部さんらしい作品ですし、その中でのハナの存在がとても普通にゆるぎなくてありがたいです。( 8月21日)
柊の僧兵 菅浩江 面白かったです!ファンタジーだけどバリバリのスペースオペラでもあり、子供たちの成長ストーリーでもあります。
菅さんの初期の作品なので、とても視覚的に書かれていると思いました。文字を読みながら脳内変換で登場人物たちが映像のように動き回ります。SF映画を見てるようでした。
砂の惑星に住む内容は頭はいいけど軟弱な白い少年ミルンと少女アジャーナが、健剛な仲間の村人を侵略者に殺され、伝説の柊の僧兵を探して、その侵略者の正体や自分たちが生まれた意味を探っていくうちどんどん逞しく成長して行き、新な仲間と自分たちの星を守るため戦う、という、ほれ、やっぱり映画的でしょ?
でもとてもとても面白くて、後半はもう一度読み返しました。( 8月2日)
逃げろ光彦 内田康夫と5人のオンナたち 内田康夫 短編集なので、既読も何篇か。このテの短編作品が時々あるのよね、どえっちなのが。
まぁ二時間ドラマの原作にはちょうどいいですかね。
分かっていても、未読があれば読みたくなります、ファンとしてはね。

「埋もれ火」「飼う女」「濡れていた紐」「交歓殺人」「逃げろ光彦」
( 7月20日)
メモリアノイズの流転現象 上遠野浩平 貧乏私立探偵・早見壬敦、実は大富豪の実力者の孫〜。
生命と同価値(キャビネッセンス)のものを奪う怪盗ペイパーカットとか、サーカム保険の調査員の人間性とか、(あれ?人間だっけ?)他人の心の音が聞こえ、その時時間の流れが変わる、とか、そんなんがてんこ盛りの中、杜名賀邸の二十年前の事件を解いちゃう探偵ででありますが、みんな独特のキャラクターで面白いけど全然完結感がないぃ〜 シリーズ、多いんですかね。こんなにとんでもない登場人物が毎回出てくるんでしょうか?面白いけど不完全燃焼です。( 7月10日)
目薬αで殺菌します 森博嗣 いつも思うのよね、なんで森氏の作品にこんなに惹かれてしまうんだろうと。 今回も伏線はたくさんあるけど、それってこの中では明かされていないし、起きた事件の結果はアッサリと暗示されてる程度。事件に関係ないシリーズの皆さまの恋愛模様、ゲストの女性の二面性とか、真賀田四季の天才度とか、それも含めたアンニュイさ、これがクセモノなんでしょうかね。
テロリストの倉田(矢場)さん、うまく逃げとおせましたか?赤柳さんははどうやってパソコンを取り返したんでしょうね。
( 7月5日)
ラウンバーナの森 奥田英朗 え!これ、ジョンレノンの話しなの?って読んでから気がつく私。基本便秘と幽霊と精神科医という奥田さんの好きそうなことで進むけれど、ジョンの育ち方、ヨーコさんとの暮らし、なんとなく感じてしまって、死んだ兄が好きだったことも重なって、けっこうきちゃいましたね。( 6月28日)
チグリスとユーフラテス 新井素子 ずいぶん前に図書館から借りて読んだのですが、当時の私にはあまりにも重くて(婦人科系)斜めに読んで挫折しました。今中古屋さんで買って時間を掛けてゆっくり読むと、これがとんでもなく今の日本と重なって、目が離せないという結果に(;^_^A
人類が移住した惑星ナインでの最後の子ども、最後の人間のルナちゃん(70代)が、過去の繁栄した時代に生きてコールドスリープしている女性たちを叩き起こして現状に対する疑問と不満をぶつけるというシリーズですが、不妊やら、仕事やら、芸術やら生き甲斐やら・・すっごく共感できます。(なんせ起こすのすべて女性だし、当時の作家さんの状況もいろいろ穿ってしましますが。)でもテーマにはないかもしれない過疎問題、それがちゃんと書かれているのが、胸に迫ってしまうんです。
もう10年後に再々読したら、また感想が変わるのでしょうか。( 5月20日)
砂迷宮 内田康夫 再読であります。三浦半島のの旧家で旅と歴史取材であった老人が石川県の金沢で殺される、と。で過去を探って若かりし頃の老人やその仲間たちの学生運動(?)やら恋愛模様やらを知ることとなり、その経過で知り合った美しい女性たちに惚れられるという定番旅情ミステリーであります。ま、このマンネリ的安定感が好きでもあるんですけど。( 5月15日)
向田理髪店 奥田英朗 北海道の過疎地の町の理髪店を真ん中に、老人問題やら、町の将来性やら、とにかく過疎の問題はまったく我が町とおんなじ!子供たちに対する気持ちも一緒!!と、笑えない気持ちで読んではいたけれど、なんだかだんだん元気が出てきて、結局はすっごく面白い読後感でした。でもうちの村はこうはなれないんだべな・・と思っちゃったけれど。
「向田理髪店」「祭りのあと」「中国からの花嫁」「小さなスナック」「赤い雪」「逃亡者」
( 5月7日)
夢の樹が接げたなら 森岡浩之 星界シリーズの森岡氏の初期の頃の短編集です。20年以上も前の作品ですが、今はSFというより近未来の小説でみんな実現できそうになってることがかえって怖いですね。人造人間(好みの女性型)をどこまで人として扱うかとか、言葉を越えた新感覚の意思の疎通の仕方とか、テーマはとても斬新で面白いけど、全般的に暗くて、あんまり後味がいいとは言えないかも。私の好みからはタイプじゃなかったかもでした・・
「夢の樹が接げたなら」「普通の子ども」「スパイス」「無限のコイン」「個人的な理想郷」「代官」「ズーク」「夜明けのテロリスト」
( 4月30日)
我が心のジェニファー 浅田次郎 アメリカンのラリーが日本びいきの恋人ジェニファーに勧められて、日本旅行をする話ですが、これも最後は泣きました・・・が、そこに行くまで通りすがった女性たち、えっと、偶然にしては出来過ぎてる感もあって、でも絶対にあの状況で必然は無理でしょう、ということで、幽霊話か夢落ちか、なんて思いながら読み進めてしまいました。
ジュンコさんが急に手のひら返したように涙ぐんで丹頂の舞を見ることを勧める場面、まぁ、過去にダディに繋がる逸話があったかもしれない、とは思います。20年前の姿を見てるワケですから。ジェニファーは日本に来た時に逢ったことは間違いないですね。そしてロバタの店の人もあまりにもそっくりなので、驚きながら対応したんだもんね。

ここに
なんだかんだ並べれば、やっぱり小説だから都合がいいのかなぁ、なんて思うけど、浅田さんがアメリカ人の目で見て描いた日本、これはまたすっごく面白かったです。
小説はこれくらいでちょうどいい、劇的で面白くて、突っ込みどころを残してくれて。
いい本にめぐり合いました。
( 4月8日)
サーカスナイト よしもとばなな ばななさん、これはとてもとても面白かったよ。(確か)長く暮らしてる人と別の人の子供を産んで、そちらと結婚されたばななさんでしたよね。両方をずっと大事に思う気持ち、すっごく分かって、女性にはそういう心がみんなに備わっているんだとも思うし。(恋愛だけでなく、複数の子供たちやダンナさんを、並行して愛するのがオンナなんだよね。)
周囲のオトナたちも、みんなちゃんと個性的だけどいい人で、姑の立場の自分も省みながら、とても気持ちのいい説得力で、生き方を導いてもらいました。
( 3月29日)
自殺プロデュース 山田悠介 嫌いですなぁ、こいういう小説は。苦手を通り越しちゃった。死にたがっている人をネットで見つけて、生音楽であの世に送ってあげる(追い立てて、逝っていただく)という気持ちの悪い設定で、でも読み進めたのは、こういう女性集団の最後をどうやって作者さんは決着つけるのか、と思ったからですが、終わり方も気持ちが悪いだけ。
人はそんな簡単には死ねないよ。死んだ方が楽なのか、生き続けたらいいことあるのか、私もいくつになっても答えられないけど、人の心をモノみたいに扱う発想は同じ人間じゃない気がするし、こういう本がもてはやされる風潮が一番怖い気がします。
( 3月27日)
夢幻花 東野圭吾 こ、これはメチャクチャ面白かったです!!こういう作品に当たると、もう、大儲けと思ってしまいますね。
黄色い朝顔と殺人事件の関連を巡り、検察庁、刑事、被害者の孫、ミュージシャン、などがいろ絡むのですが、子供の頃の朝顔市や家族との壁、初恋の中学生なんてあたりから始まり、江戸時代からの因縁の家系が出てきたりすると、もうワクワクしちゃいますよね!オナゴは過去からの約束だったんだぁ〜 ただの偶然じゃなかったんだぁ〜 なんてお話しが大好きなのです(^^ゞ 
それにカッコよかったのよ。どんどん推理を進めて行動していく梨乃と蒼太も兄の要介と孝美も。最後や蒼太が感じてた家族の壁も消え去り、将来の職種も決め、梨乃も自分の道を決めて行く。もう一度読み返したいくらいです。大好きな一冊でした。
( 3月22日)
謎解きはディナーのあとで3 東川篤哉 お気楽なワンパターンはキャラもコミック的で絵が浮かぶので、箸休めとしてはちょうどいいです(^^) 最終巻なんですねぇ あの風祭警部も移動のようですし。でも作者さんはトリックを考えストーリーを作るんですよねぇ。こんな軽い読み手でごめんなさい。
「第一話 犯人に毒を与えないでください」「第二話 この川で溺れないでください」「第三話 怪盗からの挑戦状でございます」「第四話 殺人には移転者をご利用ください」「第五話 彼女は何を奪われたのでございますか」「第六話 さよならはディナーのあとで」
( 3月2 0日)
ラプラスの魔女 東野圭吾 硫化水素による死者が続けて出て、それを追う警察や学者、もう一方若い女性の警護を頼まれた元警察官、なんぞが周囲を巡る中、脳の手術によって特殊な能力を持った男女がどうその力を使うか、なんぞ、デビュー30年、80作目のこの小説は・・ そんなに読後に爽やかさとか暖かさとか幸福感とか達成感とかもない、やや暗め、重めの作品でしょうか。すべての人は人であるだけで愛情に満ちて生まれてくるわけではなさそうです。
( 3月9日)
禁断の魔術 ガリレオ8 東野圭吾 透視す(みとおす)」「曲球る(まがる)」「念波る(おくる)」「猛射つ(うつ) 野球選手の奥さんが殺害された話はドラマで見ました。そんなことより湯川准教授の 意外とも思えるほどの情の深さ、もはや強(こわ)さですけどね。でもそんなことより、こんな物理に基づいた奇想天外なトリック、よくまぁ飽きもせず生み出せるものだと・・ いつもプロフェッショナル技を堪能させてもらっています(^^)
( 3月3日)
アイミタガイ 中条てい あぁ、素晴らしかった!この読後感!とてもとても嬉しくなれる連作(関連?)小説でした。この方「ヴァネッサの伝言」を書かれた方ですよね?あれもとっても幸せになれた記憶があるので手にしたれば、一遍,二編と読み進むうち、日常がこんなに泣ける感動できるものかと思い、登場人物が各編で繋がっていたりして、そこも身内意識でワクワクしちゃいます。
ほんとにいい本でした。私はこういうタイプの小説が読みたかったのだとつくづくめぐり合いに感謝したのでした。(I meet a guy なんて、森博嗣作品の題名みたいね、なんても(^m^))
「定刻の王」「ハートブレイク・ライダー」「幸福の実」「夏の終わり」「蔓草」

( 3月1日)
つくもがみ遊ぼうよ 畠中恵 江戸時代(?)、日用品が百年の時を越えて付喪神になり、その集団が古道具屋兼損料屋の出雲屋で、子供たちと賑やかに遊んでいるのですが、人と語っていけない付喪神たちもここの家の主たちとは家族同様で、深川での人間模様をかき回したり、謎を探ったり・・です。毎度会話がワチャワチャしてうるさいのですが、ストーリーはちゃんと面白いんですよねぇ。
拾い子がそれを知った時の葛藤とか、時代然とした人情噺集です。
「序」「つくもがみ、遊ぼうよ」「つくもがみ、探します」「つくもがみ、叶えます」「つくもがみ、家出します」「つくもがみ、がんばるぞ」「終」

( 2月28日)
ずぼら 田辺聖子 大昔、このページを作る前には田辺氏の作品は筒井康隆サマ、小松左京サマ、星新一サマの作品を漁っていた頃に箸休め的によく読んだものですが、久々に手に取って感じたことは、私が年取っちゃったなぁ、ということでしょうか。
まぁ恋愛中ではあるけれど、結婚までは煮え切らない男女、もうハラハラよりはめんどくさくて、自分の気持ちの中には疑似恋愛さえ除外したいんだな、と。
古文の犬の、重役の椅子を蹴って、奥さんの反対の中、小さな飲み屋を作っちゃう男性の気持ち、それは共感できる気がしましたが。
恋愛だけでなく中年夫婦や年頃の娘や元気すぎる姑なんぞに振り回されるオジサンたちのことなども描かれているのですが、それはそれで生々しい年齢でもあるのよね、私たち・・「ずぼら」「鬼が餅つく」「りんりん」「四人め」「ベッドと家霊」「古文の犬」

( 2月12日)
虚像の道化師 ガリレオ7 東野圭吾 「幻惑す(まどわす)」「心聴る(きこえる)」「偽装う(よそおう)」「演技る(えんじる)」 あら、全部テレビドラマで見た記憶がありました。 (録画までして見たっけ)。『きこえる』の人間模様が、トリックと関係なく面白くてほっこりしました(^^)
( 2月10日)
アンマーとぼくら 有川浩 泣きました。現場の昼休み、同僚たちがいる中でもたくさん涙を落としました。
早くに亡くなった北海道の実母、沖縄の義母、そして二人のダンナである父親、息子のリョウも時空を超えて2人存在し、折々のエピソードを交えた沖縄での3日間、家族愛が暖かくて切なくて、どんどん胸に沁み込みました。
母親たちと父親は恋人たちだったけれども、基本は恋愛小説でないので、このスタンスの小説が一番相性がいい感じでした。有川さん、ありがとう!
( 2月9日)
幻坂 有栖川有栖 大阪にあるたくさんの坂にちなんだ怪談小説集。語り口も時代も様々で、そんなに怖くはないですが、そんなにドキドキワクワクでもなく、穏やかな短編集でした。猫に愛されちゃった少女の話が一番怖かったかな?「清水坂「愛染坂「源聖寺坂「口縄坂「真言坂「天神坂「逢坂「枯野「夕陽庵
( 2月1日)
星籠の海 上下 島田荘司 ひょえ〜 幕末の瀬戸内海の黒船対地元の海賊、そんな歴史の中の武器と思われる「星籠」、それを探す准教授たちや瀬戸内海の島に流れ着くたくさんの死体、そしてもう一方は新興宗教に引っ張れていく人々・・
やっぱり御手洗の行動や蘊蓄の場面は心躍るのですが、事件当事者たちのエピソードの部分は、重たくて、どんどん運の悪さが重なっていくしんどいパターン。
子供は親に死なれ、いじめられ、(2011311前の設定だけど)福島の海で泳いでいたせいか病気になり・・・
ねぇ、一般庶民、我々小市民はどうやって生きたらいいの?( 1月30日)
陰陽師 螢火ノ巻 夢枕獏 立て続けに陰陽師です。夢枕氏は優しいだけの作家さんではないと思いますが、このシリーズだけはほんとに切なさも優しい。
桜の散るさまに時の流れや世の断りをしみじみ感じる清明と博雅の会話はいいですね。お互いを褒め合っては照れてしまうあたり、こっちまで嬉しくなってしまいます。
「双子針」「仰ぎ中納言」「山神の贄」「筏往生」「度南国往来」「むばら目中納言」「花の下に立つ女」「屏風道士」「産養の磐」
( 1月19日)
女のいない男たち 村上春樹 村上ビギナーなので、まだまだ短編集です。「ドライブ・マイ・カー」これは面白かった(^^)「イエスタデイ」このあたりもまだまだ共感できますが、「独立器官」「シェラザード」「木野」「女のいない男たち」と、う==ん、どっちかというと男性向きの小説家さんかな?なんて思い始めています。死が近くにあったり、心の隙間が空虚があったりするのは小説的には好みなはずなのに、怖いんですよ。そばにいる人の心が見えなくなって。
具体的な生活苦とか失恋の辛さとかではなくて、人の根源の恐怖なんでしょうか。
こういう感覚、私はそんなには好きじゃないかもです。
( 1月18日)
花のベッドでひるねして よしもとばなな 拾われっこの幹ですが、血のつながっていない家族たちとの深い信頼があり、亡くなった祖父の作った小さな宿の跡を継ぎながら、海の近くの小高い丘の村で暮らしています。
祖父の魅力や不思議な力がたくさん出てきますが、自然の大きな力よりも、もういない人の魂とか闇とかに影響されちゃって、夢で現実を知るのはちっとヤバイかな?という気がします。夢はそんなに人を越えちゃいけないべ、と。
でもやっぱりばななさんの小説が好きですね。側にいる人を大事に思う方法とかが説かれている気がして。( 1月13日)
陰陽師 蒼猴ノ巻 夢枕獏 久しぶりにシリーズの一冊を手に取りました。清明の呪への深さ、博雅の葉二の音色と、季節の花々や、人より自然や魑魅魍魎が勝っていた時代の風景に、気持ちが落ち着いて清々しくなるようです。死人や人でない者の気持ちを汲む清明が嬉しいですね。蘆屋道満が解決する話(仙桃奇談)もありましたが、事が終われば終わりっぱなし的文体も好きです。
「鬼市」「役君の橋」「からくり道士」「蛇の道行」「月の路」「蝦蟇念仏」「仙桃奇談」「安達原」「首をかたむける女」「舟」
( 1月12日)
屋上の道化たち 島田荘司 御手洗潔シリーズ50作目だそうです。屋上から飛び降りた3人は絶対に自殺するはずがなく、閑古鳥のラーメン屋と仏具店がロールスロイスを買い、あれやこれやの謎に御手洗は大喜びで立ち向かいまして、その件はとっても面白くて大うけして読みましたが、フォントの違う関係者たちの場面が、いやぁ、暗いんですよ。
生き方が少し下手なだけなのに、どんどん仕事もお金も無くなって、ただの小市民なはずなのに、こんなに生活がひどくならなくちゃならないのかなぁ、こんなに未来が絶望的なのかなぁ・・なんて。
偶然がたくさん集まったとんでもない事件を御手洗さんは鮮やかに解きますが、他の暗示的な表現や行き遅れ的女子銀行員を同僚たちが評論する言葉の辛辣さは、これが島田氏だとまた思い知らされた感じですかね(;^ω^) 
( 1月8日)
悲嘆の門(上・下) 宮部みゆき うう・・ 感情というものは厄介なものだのう、と思いつつ読みました。
実家住まいのコウダッシュ(孝太郎)はネットサイバーのバイト先でバイト仲間の森永が失踪したことから、元刑事の都築は町内会の集まりから、連続殺人事件を追いはじめるのですが、怪物の目撃者が多数見つかり、崇拝している社長が殺されて一層深みにはまっていきまして・・重いだす。「英雄の書」の世界なので、まぁ灯りが乏しい、夜中に悶々と胸の内を見返しながら苦しんでる感じ。
まぁ、ギリギリいい場所に戻って踏ん張ってるので、ヨシとしましょう。
概念の業が咎の無限で、輪が言葉です(??)から。( 1月6日)

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