最近読んだ本です

(06’7〜 12 )

’06,1〜6                                              HOMEへ

悪魔の種子
 
内田康夫 い きなり西音馬内で殺人事件が起きてびっくり!「鬼首殺人事件」を彷彿としたけど、浅見探偵は、霞ヶ浦に浮かんだ別の遺体のことから、首をつっこむことに。遺伝子操作の野菜やホルモンで性別を替える養殖鯉の話などから、花粉症緩和米を巡る大がかりな背景が暴露されことになるのですが、センセ、遺伝子組み換え食品にに闇雲に反対!ってスタンスではなく、そのメリットデメリットをこれからも考え続けていかなくてはならない、ってあたりが、らしいです。( 12月 31日)
超・殺人事件
 ―推理作家の苦悩
 
東野圭吾 推理作家さんものんきに構えていられない?? 税務署を逃れるための作品、ゴーストライターが亡くなって、残された作品を完成させなけばならない才能のない作家、忙しすぎる作家、書評家たちに売りさばかれる「ショヒックス」・・・ いかにもありそうなだけに、ちょっと不気味でドタバタです。一番好きなのは「超・理系殺人事件」かいな。( 12月 30日)
UFO大通り
 
島田荘司 今年発売のハードカバー!なんかそれだけで(~-~;)ヾ(-_-;)オイ 御手洗の活躍を石岡が綴る、1981年頃と1993年頃の定番の二本立て。胸がわくわくです♪どちらもアナフィラキシーが題材になっていますが、どちらもあり得ない設定からその理由を探り出す痛快さが、久々で安心です。「傘を折る女」は、はっきりいって関わる女性3人の性格がかなり辛辣に描かれていますが、これまた島田さんらしいし。厚い本でしたけれど、あっという間に終わっちゃったのは、あまり考えなくてもよかったからかな?( 12月 28日)
帝都衛星軌道
 
島田荘司 今年発売のハードカバー!なんかそれだけで嬉しいな(x_x) ☆\(^^;) 「帝都衛星軌道(前)」「(後)」の間に「ジャングルの虫」という中編が入っている面白い構成です。「ジャングルの虫」はホームレスが過去の知人の死を知り、その人となりを回想しする話ですが、まさに都会はジャングル!虎でも蛇でもなく虫だった、と弱った体を抱えて悟っちゃう、なんとも哀愁な一作ですが、そのジャングルを衛星軌道で回る(?)誘拐事件の勃発から「帝都衛星軌道(前)」が始まります。山手線のすべてには電波が届き切れないはずのトランシーバーに、犯人から送られてくるメッセージ、警察は真相をつかめないまま、誘拐された子供は戻され、変わりに母親は二度と戻ってきませんでした。
それから6年後が後編です。妻が自分の意思で去ったことは分かっても、理由がまったく分からない夫は妻の過去を探し求めて、そのワケを知ることができます。
最後は泣きました。夫婦とか、親子とか、そのあたりのことは私だっていろいろ考えるけれど、とにかく国吉と紺野が互いに分かりあえたこと、美砂子の最後は充たされていたであろうこと、そしてそして・・・ そして、東京だけが碁盤目でなく円軌道の路線である理由とジャングル東京の地下道の話、これがまたとんでもなく面白く、人情と哀愁と絡んで、やっぱり島田さんだと思いました(^.^)( 12月 27日)
千の顔を持つ男
ブロッケンの妖怪
 
六道慧 喧嘩にめっぽう強い日米ハーフのカインと、頭脳明晰の摩利の超美形オトコ二人組、実は縁切りやという霊との縁を切る裏家業を請け負っているのでした。一緒に暮らしてる雰囲気が絵に描いたようで受けまくりだし、真摯さも重さも関係ない勢いに溢れる文体はあっという間に読めてしまいます。シリーズ第一作は、処女懐妊の裏に隠された金と色の男達の目的と、餌食にされた幼い少女達の話で、ちょっとどろどろですが、このシチュエーションは大好き!シリーズ全部欲しいです。( 12月 25日)
アイ・アム I am
 
菅浩江 一時間ほどで読める中編小説とは言え、内容は真摯です。看護兼介護ロボットのミキは、ホスピスでターミナルケアに携わりながら、死と人と、そして機械の体を持つ自分の魂の意味を考え続けるのですが、最後はちゃんと迷わない自分、生きていく意味を見いだします。泣きました。私だって親だもん。( 12月 24日)
黒衣の女
 
折原一 記憶喪失の女性が自分と、自分が持っていたメモに残された3人の男性を、探偵事務所に就職しながら探って行くのですが、最初は2時間ドラマのノリだったのに、だんだん時間と人間関係が入り込んできちゃって、これは文章に謎が隠されている叙述トリックとか言うのだそうですが、最後、結局真実は闇の中?それでいいの?と微妙に釈然としませんでしたな。( 12月 22日)
戦争を演じた神々たち(全)
 
大原まり子 すごいなぁ〜〜 宇宙の起源や人類の末裔たち、それに関わる時空を越えた存在、美の本当の力、愛、権力、欲望〜〜 人が神になる瞬間や、神が作る生命体の形など、平和を求めながら戦いを止めない人の理由が少しはわかった気になった、短編集で、とてもとてもとても面白かったです。私は「ハイブリットチャイルド」よりはずっと好きです。( 12月 20日)
天国にそっくりな星
 
神林長平 紫外線にあたると死んでしまう日陰病を発症し、恋人とヴァルボスという惑星に移り住んだ探偵坂北天界が、ヴァルボス人と人間に頼まれて人探しを始めるのですが、新興宗教から時空を越えた別次元の設定で、実に実に面白かった。ストーリーもさることながら、恋人が好きで好きでたまらない、っていうのがまずいい。そして天界探偵のお気楽嗜好、これが対峙する宗教家の必死な修行と対照的で、なのに敵なのにやすやすと認めてしまうその態度。ヴァルボス人の刑事との軽妙な会話。それにヴァルボスの真相と人が生きる意味なんぞ、とても説得力がありました。最初の「完璧な涙」はちょっと相性が悪かったのですが、この二冊はいいですね。やっぱりもっと読みたい人です。( 12月 16日)
狐と踊れ
 
神林長平 神林氏のデビュー短編集、になるんでしょうか?この方の発想はなかなか硬的で、表題の「狐と踊れ」は、胃がカラダから出て行くのを抑えるために人類すべてが飲んでいる薬5Uを取り巻く話など、かなりシュール。「敵は海賊」の人間と猫(!)の刑事のコンビ、とっても面白かったけれど、これは後にシリーズものになったみたいですね。読んでみたいな♪( 12月 15日)
不屈の女神
 
菅浩江 魔神封じの王家の娘で、不屈の女神の名称を持つミーサが誘拐され、助けにきた勇者一行がみなその島の4本の手と角をもつ住人たちに滅ぼされ、たった一人で国に帰るべく、島での大冒険が始まるのだけど〜 ゲームのキャラではあるらしいのですが、結果は正義、善悪、人の欲望と生き続ける意味などを問う、重量級のファンタジーでありました。でもこういう展開になるあたり、人はみな悩み行き詰まっていて、自分が生きていることを肯定してもらいたんだよな、と、なんかしみじみ感じてもしまったのでした。( 12月 13日)
まどろみ消去
 
森博嗣 萌絵も出てくる短編集ではありますが、病んだ心の少女がそのままで描かれて結果がなかったり、夫が居なくなってからの夫との親友の関わりは、どうしても納得できなかったり、はたまたたった一行の落ちで、二人の恋愛がうわ〜っと想像できてニヤニヤ笑えたり、やっぱり男女逆転だった、そう思っていたよ、だったり、不思議というか、収拾がつかないというか、妙な一冊でありました。( 12月 10日)
死にぞこないの青
 
乙一 友人に勧められた乙一、この青が最初で、そしてダメでした(ーー;)私にイジメの被害者の心情を読め、って言われても拒否反応だけです。当分は怖くて近づけそうにないですが、別の色ならまた違うのでしょうか。( 12月 8日)
化人幻戯
 
江戸川乱歩 おお、乱歩様だ!という一冊であります。明智小五郎さんが出て参りますね。美しくも妖しく、殺人の動機がたぶんに病的でありまして、なんだか今はこういう小説は女流作家さんがよく書かれる気がします。時代背景が違いますから、当時はどんな受け止められ方をしたのか、ちょっと気になりますね。( 12月 6日)
どすこい(安)
 
京極夏彦 どすこい(仮)を持っておりますのに、内容は同じでございました。(それでもほとんど忘れているのだけど。)いきなりの終わり方は、あくまで「頭ぶねり」でありまして、当時は白ご飯の上に餅を乗せた「力どんぶり」が受けておりました。
でもこんな状況の短編集を一冊まとめるって、ほんとに作家さんの苦労がしのばれます。っていうような短編もありました(^m^)( 12月 4日)
幻想運河
 
有栖川有栖 世界の放浪の旅に出ていたシナリオライターを夢見る恭司はアムステルダムで日本人の友人を作り合法ドラッグを覚える。 その友人の一人が殺されるのだが・・ 大阪とアムスの運河の流れのように、暗くて観念的で、結局真犯人も動気の決め手もないまま、日本で恋いこがれていた女性と再会した時・・ マジ、ドラッグの夢の中にいるような不思議な感覚の小説で、ミステリというより海外を行く青年の旅情エッセイのように、漂流してる気持ちになりました。( 12月 2日)
処女少女マンガ家の念力
 
大原まり子 題名もすごいけど、内容もぶっとび。 24歳のマンガ家(処女ゆえに超能力がある・・のかな?)ミャコと妹兼アシスタント兼大学生のチョコ、チョコの恋人でアシスタントで大学生の川上と猫のヤルコフスキーが住んでいる部屋に、なんだかいつもいる雰囲気の担当編集者山田くん、このキャラの普通なのに妙なあたりに、山田の姉とか母とか、ややこしいものがまとわりついて、読む手を止められず一冊一気読み!!いんやぁ、これは(何故か分からないけど)元気が出る。栄養ドリンクのようなシリーズ短編集でした。( 11月 27日)
黒猫の三角
 
Delta in the Darkness
 
森博嗣 最後に「しまった!」と思ったのは先に「魔剣天翔」を読んでいたもので、この人はこの作品にも出てるから、絶対に犯人ではない!と思いこんで読んじゃったこと。 そんでも、殺人者の思想っちゅうか、天才の世間との折り合いっちゅうか、いや、凡人には想像を絶します。それでも小鳥遊練無はじめ、キャラたちの名前の派手具合よ!!漢字も四文字熟語も数学でとらえる面白さよ。ま、理解はできないんですけどね。(~-~;)ヾ(-_-;)( 11月 26日)
娼年
 
石田衣良 ハタチで、人生に退屈しちゃってるリョウは、友人のホストのつながりから、男娼になって、いろ〜〜〜んな女性の方々と時間いくらでおつき合いを始めるのでありますが・・ な〜んたって、そういうおつき合いの場面が実に丁寧に書かれていますな。さすがに男性作家さん!と思ってしまいまする。でも、高値で取引されるリョウの価値がどこにあるのかといえば、それが「バランス感覚の普通さ」とか「年齢で女性を差別しない」とか、実に日常的なことなんですよね。ま、やってることは違法なワケで、そういうことでお金を稼ぐのも納得はできないけど、どんな仕事でも人間性重視ってあたりに納得しちゃったかも。( 11月 22日)
魔術はささやく
 
宮部みゆき ということで再読でありますが、やっぱり記憶の隅にも残っていませんでした(-"-;) 。 宮部さんのかなり前の作品ですね。でも面白かった。催眠術を使い恋愛商法(?)で無垢な男性を手玉にとった女たちを自殺に追い込む『魔術師』。その事件に巻き込まれ、家族である伯父が交通事故の加害者になってしまった日下守少年。彼の生い立ちや新しい家族との関係、バイト先や学校での仲間や先生など、みな凛々しくもあり、弱くもあり、とての人間的で、ほんとに面白かった。さ、もう一冊、懸案の「龍は眠る」は見つかるかな?( 11月 21日)
ハリー・ポッターと謎のプリンス(上下)
 
J・K・ローリング 図書館で見つけて一気読みです。 しっかし・・・ これって本当にほんとなの?って気持ちがいっぱい。なんたって映画「ロードオブザリング」でもランドルフが復活してるし、なんとなく信じられない。つまり、シリウス・ブラックの時は、それは逃れられない事実だということがよく分かる書き方だったけれども、今回はいろいろ含みがあるのでね。謎のプリンスの立場もまた、ハリーが思うほどの悪人には徹していないし。(私、けっこうこういうタイプが好きだし_(^^;)ゞ) 訳者さんが書いているほど暗くはないです。ティーンエイジャーの若々しい恋なんぞも書かれていて、ほほほ、と微笑ましいし。いずれ、もうこれが6巻目。残っているのは最終巻だけだすな。いつ発売されるのかな?( 11月 20日)
レベル7
 
宮部みゆき 再読なのですが、ずいぶん前で、まったく内容は覚えていませんでした。悪徳医師と、過去の傷を引きずるジャーナリスト、保険会社の電話人生相談(?)の相談員とその家族、そこに電話をかけてきていた娘の失踪、そして記憶をなくした一組の若い男女。そのあたりが微妙に絡んで、過去の殺人事件が明らかになる〜〜 も、とにもかくにも、登場人物が全員ちゃんと物事を考えているので、とっても濃い小説になっています。事件の関係者だけでなく、その母親や友人達など、ちょっとしか出てこない人も、良い悪いは別にして、しっかりした人格を持っている。大変な一冊でした。 そういや同じ頃に読んだ「龍は眠る」「魔術はささやく」あたりもすっかり忘れているので、再読をもくろんでいます。( 11月 18日)
前夜祭
 
連城三紀彦 夫の愛人を迎え撃つ中年女性の息子の嫁も、夫(彼女の息子)の浮気に気がついている。そしてその嫁の母は、余命の短い自分の夫の再婚を、病気を盾に決めて来た・・・ と、久々の連城さんに、また騙されにいきました。以前ほど共感できないのは、私が連城さんの言うところの女からすっかり足を洗ってしまったかしら。私、駆け引きも騙されるのも騙すのも、嫌なんだもん。夫婦は本音で素で、気楽に暮らしていたいだけなんだもん。やっぱり連城さんはオトコなんだと思った。すっごく女性の気持ちを分かっているってずっと思っていたけど、やっぱりカラダは男性なんだよね。私なんて、いつぞやから、男性女性の性別なんて気にならなくなって、ひたすら人間性、心だけを重視するようになっちゃったから、とても嫉妬で駆け引きだなんて思わない。(失意とか敗北感とかはちゃんとあるけど。) そう言いつつ、引きずられるように一気に読んじゃったんだけどね。( 11月 14日)
二分割幽霊奇談綺譚
 
新井素子 反陰陽で男性から女性になった俺が、ひょんなこと(で済むような方法でなく!!)左右半分づつの幽霊になっちゃって、モグラの女王様東くらこや吸血鬼の砂姫、中学の同級生や、同じアパートの住人で、友人の青年たちと、地中に潜り込み、モグラやヒズミや、重力の逆転や、時空の歪みや〜 とにかくシッチャカメッチャカな、お話の中で、「絶句」同様人の地上での立場とか折り合いの付け方とか、一生懸命語ってくれています。いじめ問題にも触れているし、微妙に恋愛問題も絡んでいて、子供達向けかも、と思いましたが、21歳でこういう話を書いた新井さん、今、お子さんはいらっしゃるのかしら。お母さんに向いていると思います(*^.^*)( 11月 13日)
チューイングガム
 
山田詠美 わはは(;^◇^A  照れ照れなくらい嬉しくなる「結婚小説」です。詠美さん、けっこう好きだったけど、ここまで一組のカップルのラブラブぶりを見せられたら、やっぱり笑っちゃうしかない_(^^;)ゞ いいですねぇ 恋愛と結婚は別物だとは言うけれど、こんなに好きなまま、上手に一緒に暮らす方法を披露されたら、あ〜ら、ウチだって!って自慢したくなっちゃいます。今は、私もとても、配偶者のことをそう思っているのでヾ(  ̄▽)ゞ(実はLeslie Cheungと唐鶴徳の二人の暮らしもね) 扉絵の詠美さんご夫妻の結婚式の写真がすべてを物語っているようです。お幸せにね♪( 11月 10日)
空中鬼
 
高橋克彦 あっという間に読める、陰陽師ものです。髑髏鬼や淡麻呂など仲間たちが実によいけど、実はシリーズものだそうで_(^^;)ゞ 最後、鬼の正体が分かった時は、これ、悲しいっすよ。分かっちゃいるのに、涙で老眼鏡が曇って、先が読めません。純粋な心、っちゅうのは胸に堪えますね。( 11月 10日)
完璧な涙
 
神林長平 初めての作家さんですが、結構難解で_(^^;)ゞ 感情を持たない本海宥現の生まれたのは海が砂漠に変わってしまった時代で、銀妖子という妖精のようモノが生活を支えている。自分の感情を取り戻すために、自分を狙う戦車のような生き物と、魔姫とともに過去の未来の干渉し合う時空で戦いを続けるのだが・・ 時空がごちゃごちゃってことは、脈絡がなくて、まるで悪夢の中にいるみたいで、想像がついていかない場面が多いのと、最後の落ち(?)が今ひとつ分かりきれずに達成感がない。ストーリー展開はとても好きなので、他の作品でこの作家さんをもう少し知りたいものです。( 11月 9日)
五人姉妹
 
菅浩江 めっちゃくちゃ面白いけど、難しい。成長型人工臓器を埋め込まれた臓器会社の社長の娘と、その娘のクローンである4人との面会を描いている「五人姉妹」など、題材はバーチャルなネット世界だったり、宇宙空間に隔てられた恋人どうしだったりするけれど、子供の成長、思春期の心の位置、みたいな、普遍的な主題が深くて、けっこう重かった。でも、もっともっとこの方の作品、読みたいなぁ( 11月 7日)
発狂した宇宙
 
フレドリック・ブラウン あこがれのフレドリックブラウンの小説を中古やさんでめっけ(*^.^*)おまけに解説は筒井さんでした(*^^)/ で、初期に書かれた長編のようでしたが、月ロケットの地上での事故に巻き込まれて、パラレルワールドに行っちゃった主人公が、環境になれないまま、状況を打破しようとジタバタするのではありますが、最後の達成感で、すべてOK!短編集がす〜〜っごく好きだったけど(「宇宙を僕の手の上に」と「天使と宇宙船」だっけかな?)もう、そのタイプは手に入らないのかな・・( 11月 4日)
京伝怪異帖(巻の下) 高橋克彦 京伝さん、例の遊女さんを正式にヨメさんにしたけど、なんだか何かが憑依してる〜〜 これも結局源内さんの口に負けて成仏したり、秋田の佐竹藩に源内を迎えに行って、未来を見ることのできる坊さんの本性を見極めたり〜〜 ストーリー自体よりも背景の色合いがきらびやか。けっこう絢爛な世界ですかな。(11月4日)
京伝怪異帖(巻の上) 高橋克彦 ワケあって平賀源内と昵懇になっちゃった伝蔵(山東京伝)が、天狗のどくろだの、地獄宿での死体の山だの、生き霊だの、当時の田沼、松平の世相とあいまって、なかなか反骨精神あふれた、謎話であります。美形の陰間や吉原の遊女さんも仲間として登場するし、絵師や戯作者がどんどん売れていくさまを見るのはとても華やかなんだけど、時代はだんだん重たくなってくる。だけど、源内さんの口八丁ぶりには、笑うしかないでしょうヾ(  ̄▽)ゞ( 11月2日)
同級生
 
東野圭吾 ふ〜ん・・ 恋人の事故死に関わった教師の殺人。高校生たちが犯人を探したり、疑われたり、大人と向かい合ったり・・ この年代の子供たちは、ほんとに微妙で不安定だけど、ひたむきさがとてもよく感じられる作品だったと思います。( 10月 30日)
滅びの風
 
栗本薫 手元にずっとあったのだけど、もう中古やさんに売ろうと思って手に取ったらつい再読_(^^;)ゞ でも最初に読んだときより吹っ切れてる自分に気がつきました。人類の終焉を描いてる短編集ですが、結局地球は生き続けるのです。種としての人は、宇宙的な時の流れの中でほんの一瞬を煌めくだけ。・・それを若い頃の私、とても感じていたので、当時に戻ってリリカルな気分になりました。でもね、今の私はもう十分だから。なにも惜しくないから、自分の存在を今まで認めてくれたこの地球に感謝するくらいのものですm(_ _)m( 10月 27日)
思い通りの結末
 
佐野洋 ミステリのショートショート。ちょっと聞いたことのある話(昔話)がちょっとひねってあったり、殺人者が実は作家だったり(ネタばれにはならないよね)、あと読者に挑戦した問題もたくさん♪ 文体に時代が伺われて、自分の若い頃を彷彿としたり・・_(^^;)ゞ( 10月 28日)
だましゑ歌麿
 
高橋克彦 仙波がおこうと夫婦になるくだりが書かれているために買ったけれども、けっこう大変でした。仙波は堅物同心、庶民の心が分かるだけに反体制側、そこに妻を殺された歌麿の企み(?)、春朗(のちの北斎)の活躍・・ 日本史に詳しい人だったら、ほんとにうんうんと頷けるのだろうけど、私はとんと疎くて、ただその任侠義に口を空いていました。仙波、かっこよすぎ〜〜ヾ(≧∇≦)〃( 10月 25日)
百鬼夜行-陰
 
京極夏彦 いや、実は以前に読んだ「姑獲鳥・・」や『狂骨・・」をすっかり忘れていて、何がなにやら・・ではあったが、独立したものとして読むと、これはなかなか暗い(x_x) ☆\(^^;)  鬱鬱とした、人の心の奥の一部分であるべき気分を、一部分で抑えきれなくなるとこうなることよ、って思ってしまった。あんまりいいことじゃないよぉ( 10月 20日)
絶句(上下)
 
新井素子 まさに絶句の、新人作家新井素子のインナースペースが宇宙人の交通事故で現実に流れ出し、作品の登場人物たちが現れるワ、地上での人間支配を覆すべく動物たちが徒党を組むワ、事故を起こした宇宙人は事態を収拾すべく素子を殺しにくるワ、それを管理するもっと上の異質な『いーさん』宇宙人と戦う羽目にはなるワ、でもそんなハチャメチャなストーリーの中で、新井氏の人のこの地上での意味とか感情と理性とか、とにかく矛盾だらけのこの世を肯定する熱い小説でもあったのですね。ちょっと未整理でテーマが多き過ぎる気もしますが、この問題だらけの地球を好きになる、なかなかよい一冊でした。(ちょっと頭が痛くなりそうだったけど(x_x) ☆\(^^;) ( 10月 15日)
探偵ガリレオ
 
東野圭吾 予知夢を読んでから、ずっと読みたかった本ですが、面白かった!あっという間に読み終わって、ほんとにもったいない_(^^;)ゞ 物理学者と捜査一課の刑事ふたりの関係が実に羨ましい(~-~;)ヾ(-_-;)トリックはどうせよくわかんない上、説明がまた物理的だからますます意味不明で、そんなこともあんの?程度だけれど、二人が関わって犯人を見つけると、そのトリックがとんでもない!っちゅうだけで十分です。面白かったですよん。( 10月 11日)
本所深川ふしぎ草紙
 
宮部みゆき 再読のはずですがかなり前に読んだらしくて索引に載っていませんでした。 おまけに茂七親分の存在しか記憶になくて深川の七不思議にちなんだ珠玉の7編を読み終わりました。登場人物がそんなにいい人ばかり、ってわけでも、すべてがうまくいって大団円ってわけでもないのだけど、しみじみと心動かされるのは、みなそれぞれの立場で一生懸命に生きているからでしょうか。そしてそのことを茂七親分はちゃんと分かってくれている・・ それが読んでいて安心なのあかな? いい本です。( 10月 10日)
英国庭園の謎
 
有栖川有栖 火村、有栖川コンビの短編4作。それぞれが(いつになく(x_x) ☆\(^^;) )面白かったですけど、ちょっと精神が壊れ掛かって、自分だけの言葉で話す過去の事件の犯人が有栖川と火村に電話かけてよこして、その攻撃的な自己本位の言葉から本当の意味を見つけだし、未曾有のコンピューター犯罪を未然に防いだ「ジャバウォッキー」は、彼自身も心の底では自分を見つけて止めて貰いたがっていたことが分かって、けっこう泣けました。( 10月 4日)
の聖域
 
栗本薫 三度目です(何度買えば気が済むのでしょうか、いくら100円とは言え〜( 一一) ) でもすっかり忘れていまして、最後まで犯人が誰かわかんなかった(x_x) ☆\(^^;)  三味線の家元、安藤家の家族のそれぞれの凄まじいまでの生き方を、邦楽の深さとともに稟と書かれています。もしかして伊集院さんのデビューだったのかな?真摯で初々しい伊集院さんにまた惚れ直しでしたよん。(10月 2日)
長い長い殺人
 
宮部みゆき 中古本屋さんで見つけて、再読だと思っていたのに初めてでした。たくさんの財布が、持ち主のことを話してくれるのですが、それが刑事だったり、被害者だったり、そして犯人だったり・・・ 一つの事件をいろいろな立場から見る、という状況になるのでした。財布のモノローグってのはあまり好みではなかったけど、この動機というのはけっこう衝撃的で、今の時代ではアリなだけに怖くもありました。  (9月 2 8日)
不知火海
 
内田康夫 浅見光彦が、光彦らしいと久々に思いました。いつの作品だっけ?って見直したくらい。熊本、八代の不知火、大牟田の三池炭坑跡、そして代官山のツタの絡まったあのアパートが舞台で、逃避行したカップルを探しながら過去の悲惨な大事故と密輸事件へと、だんだんことが大げさになっていくあたり、実にセンセらしい(??)最後はもう少し達成感が欲しかったけれど、夢中で読みましたよん♪  (9月 26日)
そして二人
だけになった
 
森博嗣 だ、なんて言えばいいんだ??超天才(?)超美形の盲目の科学者勅使河原潤とアシスタントの森島有香・・のたがいの偽物の弟と妹が本人達になりすまして、科学の遂を尽くした世間には内緒の海中シェルターの中で他の科学者たちと過ごすことになったのだが、その中で一人、また一人と殺されて行って、なんとかそこから逃げ出した二人だったけど・・ 最後まで読んでも、どれが真実かよく分からないよ。いくら考えてもたぶんわかんない、それが森作品ってことかいな?でも面白かったです。( 9月 24日)
御手洗潔のメロディー
 
島田荘司 たぶん3度目か4度目。何度見ても新鮮で、最初の頃から比べたら、島田作品をずいぶん読んでからの再読になったので、別の感慨がたっくさんありました。でないと、レオナなんて、これだけ読んだらレオナなんてなんじゃらほい?だもんね。( 9月 22日)
龍神の女
 
内田康夫 内田センセの名探偵、和泉教授、浅見ちゃん、千晶ちゃん、フグ原警部に、ゼニガタ、総出演!全部読んだことのある短編だけれど、これらを一気に読めるのはかなり受けます。( 9月 21日)
ハーメルンに哭く笛
 
藤木稟 戦前の東京。軍人が闊歩し、浅草六区では得体の知れない見せ物がはばかり、その中で30人の子供がさらわれて殺される〜 そのしてそんな世相でハーメルンの魔神があちこちで目撃され〜 って、濃ゆい濃ゆい(*´ο`*)=3  美貌で盲目の弁護士さんはかっこよいけど、トリックといい、社会情勢といい、重たいです。でも、今の私たちは確かに過去の朝鮮や中国の人たちの扱いを知らなかった!かなり空想的な話だけど、きっとそれは本当なんだと思ったら、辛かったよ。( 9月 19日)
ブラジル蝶の謎
 
有栖川有栖 国名シリーズ」第三弾の、火村と有栖川の短編集です。菅氏から引き続きですと、ちょっと人の心が浅くないかい?って思っちゃいますが、そういうことでは軽くていいではないですか。(って、褒めています??読者ってワガママですよねぇ。)ちゃんと面白かったですよ(*^.^*)V( 9月 15日)
雨の檻
 
菅浩江 ゆえに引き続き菅氏の作品を・・・ と、こちらはデビュー作も含めた初期の短編集で、登場人物たちの鋭敏過ぎる感覚が、悲しくもあり、切なくもあり・・ いかにも女流作家で、芸術的感覚もたいしたものですね。「そばかすのフィギュア」はむろん、「カトレアの真実」なども、すごすぎる心理描写でした。今度も氏の作品、読みあさります。( 9月 12日)
永遠の森 
  博物館惑星
 
菅浩江 きゃ〜 なんて面白い!!これだけの作品に久々に出会いました。それも初めての作家さんで、こんなに大ヒットとは!!巨大博物館“アフロディーテ”で働く学芸員田代孝弘や仲間たちの、芸術や、人の心に携わる大奮闘(というには頭痛がしそうなくらい、仕事に追われる日々だけど)、そして妻美和子の感性〜〜 なんたって、連作9編でできあがっていますが、シビアでありながらとんでもなくロマンティックで、ほんとに幸せになりました・・( 9月 11日)
夏のレプリカ
 
森博嗣 S・Mシリーズ もまだまだ未読が多いのですが、この作品はかなり人間的な動機で、萌絵の友人社萌がメインなので、別の作品の雰囲気で読めました。最後の場面にはけっこう救われたしね。( 9月 9日)
妊娠カレンダー
 
小川洋子 妊娠した姉とその夫と暮らす「私」の、姉の妊娠日記。なんだか特別激しくはないけれど、微妙に常軌を逸してる感じが怖いよ。「密やかな結晶」もそうだったけれど、私とはあまり相性はよくないかも。「博士の愛した数式」はとても面白かったけどね・・( 9月 1日)
語り女たち
 
北村薫 不思議な日常を語る、17人の女性たち。おかしな色合いについ引き込まれてしまうけど、オチはないです。不思議もそのままです。(8月 30日)
曳かれ者
 
小杉健治 MLの紹介で読んだけれど、社会派ってヤツですか?連続殺人事件を追う刑事の出生の秘密にも関わる、過去の出来事、そして今生きている人、殺された人、場所もあちこち飛んで、濃いです、重いです・・・ 結局は過去のえん罪のため、真実を公表することを拒む警察機構との戦いでもあって、う〜ん、けっこう辛いかな。( 8月 29日)
εに誓って
 
森博嗣 テロリストにジャックされた高速バスに乗り込んでいた山吹と加賀谷だけど、そこから携帯で萌絵たちに実況が届く。そのバスは「イプシロンに誓って」という集団自殺願望者が乗っていた〜 ってんで、おなじみの登場人物は相変わらずだけど、トリックが説明されてもよくわからない_(^^;)ゞ このシリーズ、オチがないので、最後がすっきりしないのですけどね〜〜(8月 28日)
イルカ
 
よしもとばなな ばななさん!お子さん生まれたのね。以前に読んだ作品(王国だったか?)の後書きに、妊娠中て書いてありました。結婚も子供を産むこともしない、と決めていたキミコさんの生い立ちや妹の関係、自分以外にもパートナーがいる吾郎さんとの恋いのあり方、駆け込み寺で賄いをやったり、友人の別荘の掃除をしたりしながら、妊娠と出産を経験したらば〜〜 なんちゅうか、前半と後半の力強さが全然違う!!子供ってほんとに大きな存在で人に勇気や感謝や励ましをくれるんだな〜と今さらながら思いました。読みながら、すっごくよく分かるのに、人の間に新しい魂が生まれてくるということをとてもこうは周囲に説明できないけど、こういうことなんだって分かりました。んでも、吾郎さんのパートナー、ユキコさんへの感情、かっこ良すぎる。ちゃんと納得できるように書いてあるけど、やっぱりもっと主観に走っちゃうもんだと思う、たぶん、人であるなら・・(8月 27日)
イン・ザ・プール
 
奥田英朗 ↓から一転、空中ブランコの前作、伊良部医師の登場〜〜〜 プール依存症、携帯中毒、被害妄想、持続勃起症!!! ほんとにこれでいいのかよぉ、と思いつつ、微妙に思い当たり、でも自分は大丈夫だろう、くらいの説得力はあります。伊良部センセの描写がちょっとひどすぎるのでは?と思っちゃいましたよ、あんまり患者さんたちに感謝されてないもの、少しは治療の結果が出てるのにね。(8月 27日)
密やかな結晶
 
小川洋子 小川さんて純文学の方だよね。でもさ、これって、なんだか悲しみの度合いに凄みがありすぎて、救いようがない感じよね・・ ある日突然消えてしまうものがある島に住んでいる「わたし」の周りで、フェリーや鳥や、いろんなモノがなくなって、でもそうなるとそのものに対する記憶も執着も忘れてしまう。だけど島の中にはその記憶をなくさない人たちもいて、彼らを秘密警察が狩る。怖いのよ、それらを淡々と受け止める住人たちも・・ きっと明るい未来で終わるはずって信じているのに、読み進みに連れ、辛さが増すばかりでした。(8月 26日)
くますけと一緒に
 
新井素子 ぬいぐるみのくますけが両親よりも大事で片時も離すことができない4年生の成美。両親を事故で失ったあと、母親の友人が引き取ってくれるのだが、なんちゅうか、ぶっちゃけ両親が嫌いだったのに、そう思ってはいけない、そんなジレンマで怖い夢を見るんだわさ。このあたり、十分にホラーだけど、最後は、ま、大好きな人と暮らせるようになって、成美を分かってくれててよかった。けど、その最期の最後に、ぬいぐるみたちの会話があるのん、それがまた怖い〜〜〜(8月 21日)
時生
 
東野圭吾  友人に貰った本だけど、いっきに読んでしまいました。遺伝病を持つ我が子をあえて生んだ夫婦に、過去にその子が会いに来ていた、生まれてきたことへの感謝を伝えていた・・・ というような綺麗なだけの話じゃなくて、その父親の若い頃のとんでもない駄目人間ぶりと 奮闘ぶり、母親が思い出した、同じトキオとの出会い・・ 友人が「泣いたよ」って言っていて、ずっと「どこによぉ」って思っていたのに、最後の最後は大泣きしました。東野さんて、ほんとに不思議な書き手です。(8月 18日)
今はもういないあたしへ・・ 
 
新井素子 ある未来のある場所で、恋する3人の男女と、時間のトンネルを越えてきたカンブリア紀の生物との4画関係、そして時間学者たちを、それぞれの視点から語る「ネプチューン」。すっごいとんでもない設定なのに、心は真摯で、切ない恋物語でもあります。が、表題作の「今はもういないあたしへ・・」これはきっついっす。クローンと本体の脳の交換で、その違和感に苦しむあたしの話で、最後なんて暗い終わり方ですよぉ 若くないと書けない内容だと思います。(8月 17日)
一人で歩いていった猫 
 
大原まり子  大原さんのデビュー作品をめっけ♪猫の姿で背中に天使の羽を飼っている、天使猫の居場所と生きていく(死んでいく)意味が、遙かな未来に繋がって行く〜〜 シリーズものの短編だけれど、時間と場所が交錯してて、ちょっとイメージ作りが難しいし、意外と残酷な表現も多かったりするけど、色合いっていうのはよく分かったし、共感できました。(8月 16日)
今夜は眠れない 
 
宮部みゆき  母親に過去に小さな縁のあった人から5億円が遺産として転がり込んできて、周囲のやっかみやマスコミ攻勢で、家族がグチャグチャ〜〜 「ブレイブストーリー」家族か??って思ったけれども、雅男と親友の島崎は真相を探り始め、それからまたとんでもない事件が起こり、その真相が警察と、捕まらなかった真犯人によって知らされた時、遺産相続の理由は本当は別にあった、って、もうとんでもない七転び八起き小説、最後の大団円の幸せ感!!(^_^)v子供と大人の中間の雅男と島崎の人間観、なかなかだよん。(8月 11日)
女王の百年密室 
 
森博嗣  「迷宮百年の睡魔」の基本編、どうしても読みたかったので、定価で買っちゃいました。「サエバミチル」「クジアキラ」そしてローディの関係はなんとか分かったと思います。 う〜ん、だけど、決して正義ではないし、明るくもないなぁ・・ 誰が間違ってるとか悪いとかじゃないけれど、たぶん心をもった人という種の生き方の実験過程の一つなんでしょうけど、ちょっと閉塞的な感じ。好きなんだけどね。心と体のそなわった人って、もっと、強烈な気がするのです。(8月 4日)
月の砂漠をさばさばと 
 
北村薫 お。お〜〜〜〜〜い!北村センセ、もう一時間で読み終わっちゃうよ、あんまり面白くて!!! 乱暴モノのクマが新井さんちに養子になって、洗濯ばかりしてる、(あらいぐま)なんてのはある意味横順落ちですが、違います。作家の母親と小学校の娘の二人きりの生活の中での、しみじみとほのぼのと、嬉しくもあり切なくもある日常の切れ端なのです。でもそれがみ〜んな輝いているんだな!!( 8月 1日)
暗黒館の殺人(上下) 
 
綾辻行人 館シリーズ7作目だそうですが(って、もちろん全部読んでるけど) こっちの方が↓よりもずっと「幻想」です。江南に惑わされ、日付に惑わされ、記憶喪失者はてんこ盛りだし、最後はあの中村清司の出発点まで出てきて、思想的にはちょっと怖い(でもありそうな設定)けれど、この幻想ぶりと鬱ぶりがとんでもない長さも気にせず読ませてくれました。読み手の心理状態いかんでは、ちょっとしんどい長さと内容かもしれません。( 7月 30日)
龍臥亭幻想(上下) 
 
島田荘司 8年ぶりの龍臥亭。石岡の脆さは撓り強さに代っていたけど、あの独特の雰囲気ととんでもない真相に、御手洗は海外から電話だけ、吉敷は通子さんといちゃいちゃ、でもとっても嬉しかった。でもこの本で島田氏を初めて手に取った方は、どんな風に感じるのかな?やっぱり「異邦の騎士」ありき の今作なのでしょうか。( 7月 25日)
夢の櫂こぎ
  どんぶらこ 
田辺聖子 ちょっと柔らかいエッセーで、もしかすっと物足りなかったかも。田辺さんには超風刺が似合うのに、家にいるたくさんのぬいぐるみさんたちのキャラ、けっこう妥当です。( 7月 12日)
マドンナ 
 
奥田英朗 こっちは中間管理職的なオトコたちの、完璧な女性の上司や、ダンサーになりたい高校生の息子や、新しく配属された心惹かれる女性部下なんぞに振り回される短編集。これもまた(おいおいおいおい、どうすんだ?)なんて思ってるうちに、なんとか収拾できて、希望もわいてくるという不思議な日常ではありますが、なんでかおっさんの方に感情移入してる自分がなんだっかな〜( 7月 10日)
東京物語 
 
奥田英朗
 
名古屋から上京した久雄の、大学、仕事、友情、恋模様を、断片的につづった10年間ほどの短編集ですが、すっごく日常的で身につまされたり当時を思い出したり・・そして最後は、ほっとする落ちがあって、生きてることってそんなに悪いわけでもないよな、っていう感じです。みんな一生懸命頑張って生きてるんですよね。( 7月 5日)
きんぴか 
 
浅田次郎
 
「オー・マイ・ガァッ!」を読んだら、また読みたくなって、図書館から借りました。最初に読んだのは、まだPCがなかった頃のようですね。ピス健、広橋、軍曹の3人の強がりと人情に、泣いたり笑ったりでとにかく元気が出ます。浅田さんは、それほど相性のいい作家さんではないですけど、これにはパワーをもらえますね、このノリと勢い、大好きです。( 7月 3日)

’06,1〜6                                              HOMEへ