最近読んだ本です

(’06,1〜6)  

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ゼロ時間へ 
 
アガサ・クリスティー やっぱり再読、ってことは、もう女史のミステリは読破しちゃった、ってことかしらねぇ〜〜 元妻と現妻を引き連れた男性やら、植民地から帰った右手の不自由な男、元検事、妻のボーイフレンド、自殺未遂男などが、金持ちの未亡人の家に集まってきて起こる、殺人事件〜〜、いや、男女の駆け引きがてんこ盛りですけど、山村美佐氏のようには流れないのが、女史!!この手の犯人は女史の時代には確かに精神異常者の扱いになってしまうのかも知れないけれど、今の日本にはたくさんいそうな気がして怖いです。( 6月 30日)
吸血鬼エフェメラ 
 
大原まり子
 
人間よりずっと古い地球生まれの心臓型の生物である吸血鬼と、人間、そして宇宙人が交わって、新しい生物が生まれるまでの七転八倒をば、吸血鬼側から描いた物語であります。ストーリーは大好きです。んでも、文体が全体に重くて暗くて、読み進むのは苦しかった。でも最後は「ほ〜〜、こうきたか!」と、だいぶ嬉しくなりました。( 6月 27日)
オー・マイ・ガアッ! 
 
浅田次郎
 
なんともかんとも、ラスベガスで50億以上のジャックポットを当てちゃったワケあり3人と、そのラスベガスをとりまく人たちの、一見軽薄に見えるけれど、生きるということを、深く重く説得力のある言葉で諭してくれる、小説であります。アラブの石油王から、マフィアの殺し屋まで登場して、すっごく勢いはあるけれど、ふと我に返ると実に切なかったり、そこそこ幸せだったりしたのでした。( 6月 14日)
葬儀を終えて
 
アガサ・クリスティー やはり(?)再読でした。買って読み始めてから、「あ!このシチュエーション、知ってる!」と(;^◇^A  なのに、最後までまた読んじゃったのは、犯人を忘れているからと、登場人物の個性がみな際だっていたからです。誰かが殺されなくても、これだけ独特の人格を持ち、配偶者たちとの関わりを見せてもらえれば、それで充分です。( 6月 11日)
空の魚海の鳥 
 
鷺沢萌
 
ショートショートとでも言うべき、日常のきらめきと違和感の寓話でしょうか。嬉しいものもあり、でもやるせないものもあり、全般的には切なさの中に明るさのある、強い短編集でした。
だけど、そんなたくさんのメッセージで読むものを励ましておきながら、ご本人は辛すぎたのでしょうか?不必要にいろいろ考えてしまいます。( 6月 9日)
空中ブランコ 奥田英朗 キキキ、と笑ってしまいました(^m^) いんやぁ、大好きです、このノリ。たとえば見かけとのギャップ、たとえば親の位置、だけど何たってかんたって、患者たちの個性ですワ。う〜〜 どっかに「インザプール」が転がっていないかな??( 6月 8日)
今昔続百鬼-雲 京極夏彦 日本中の伝説を追い求める多々良先生と沼上くんの足の引っ張り合いなスッタモンダ旅行記です。4編とも京極氏の妖怪への造形の深さはよくわっかりましたが、二人の主役と相性の悪い気がする私。最後に京極堂が出てきた時は、心底嬉しくなっちゃったわん。( 6月 6日)
魔剣天翔 森博嗣 フランスからやってきたアクロバット飛行のグループと、行方の分からない時価2億とも言われる魔剣の捜索が交錯する殺人事件。単発の登場人物で性格の把握に手間取ったことやら、飛行機の講義が難しいことなんぞで、ちょっと入り込みにくかったうえ、犯人がまた・・・ 人間、なにもわざわざめんどくさい方を選んで生きる必要もない気がしますが・・( 6月 4日)
王国-その1、
   アンドロメダハイツ-
よしもとばなな 薬草茶を一緒に作っていたおばあちゃんと別れ、予言者、楓のアシスタントになった雫石の、現実からはちょっと位置がずれてはいるが、それゆえに心が際だつ作品。理屈は関係ないの。感覚的に相性がいいから。( 6月 1日)
名探偵の掟 東野圭吾 いや、東野さん、泣かせていただきましたよε=(/。\;)密室、アリバイ、首なしバラバラ、掟破り・・・ 名探偵天下一大五郎とお約束のへぼ警部のやりとり、ここまで究極に茶化してくれたら、おかしいの通り越して哀しくてさ〜〜〜 ( 6月 1日)
幻惑の死と使途 森博嗣 マジシャンの大仕掛けな脱出イリュージョンで、そのマジシャンが殺されてみつかり、葬儀の時には死体も消えてしまうのですが〜 S&Mシリーズも決して順番通りに読んでいるわけでなく、犀川先生と萌絵ちゃんの関係に、およよだった今回、Gシリーズの加部谷が中学生で出てきたことに笑っちゃいました。トリックは凝ってましたよね。実際以上に難しく考えるように伏線はってミスリードばっかりするんですもん。でも謎を萌絵ちゃんが解いて、それを違う視点で犀川先生が語る場面、いろいろ考えてしまいました。人の心はほんとに不思議です。( 5月 30日)
かたみ歌 朱川湊人 30年前ほどのアカシヤ商店街で起こる、住人の心と、あの世に行った人の心の触れ合い7編。そんなに奇抜なストーリーじゃないけれど、どれもみな優しくて泣けてしまう。今はとても殺伐としてる世の中も、心ひとつで色がつくのかもしれない、と思った。とても嬉しく、切なく、人が好きになる一冊ですが・・ この前に挑戦した「わくらば日記」は、見たくないのに見てしまう、見えてしまったことが苦しい・・感じが怖くて、途中で挫折したのでした・・( 5月 26日)
τになるまで待って 森博嗣 おおおっい!森先生!で、犯人は?動機は??Gシリーズ、が完結しないと謎は明かされないのかな??? ”超能力者”神居静哉が密室で殺されちゃって、その密室の謎だけど犀川と萌絵、それに海月が解くのではありますが、一冊の小説としてはなりたたなくても、とにかくレギュラー人の会話だけで私には充分面白いので、けっこう楽しめましたデス。(なんせ図書館から借りたので、お金出してないし〜(x_x) ☆\(^^;) )( 5月 26日)
ララピポ 奥田英朗 「ガール」とうって変わって、どっちかというと人生の底辺をお金もなくて、仕事もないようなみなさんの、究極の行き先なんぞを書いていますが、性行為と金勘定がやたら出てまいります。最初の一編を読んだ時は暗くてえっちで挫折かな?と思ったけれど、次の短編は前作の関係者〜〜という具合で、 ぐるっと一周すると、実は隣にいる人もみな関係者になったってるのね。ちょっと笑えないくらいのダメさ加減なのに、気がつくと勇気が出てる!!やっぱ、女の人は強いね!!開き直りも上手だし。なんか、奥田さんて、その実態は中年のオバサンじゃないかしら、って思ってしまうわ〜〜( 5月 25日)
θは遊んでくれたよ 森博嗣 ってことで引き続きシリーズ2作目。飛び降り自殺したと思われる青年の額に口紅で描いたθの文字があり、2人目3人目と体の一部にそ同じ口紅のθの文字。そして5人目が飛び降りた時、海月くんが謎を解くのだけれど、今回は萌絵ちゃんと犀川先生の絡みも出てきて、より嬉しい_(^^;)ゞ なんだ、相変わらずじゃん、あんまり進んでないけど、けっこうラブラブじゃん、とか。国枝先生も濃いキャラ出してまっせ〜〜(^m^) そしてもって、結局の動機は、そこに落ち着いちゃうんですけどね〜 このあたりが森氏、妥当に普通の感覚で、かえって驚いちゃうんですけど。( 5月 24日)
φは壊れたね 森博嗣 西乃園萌絵ちゃん、登場〜〜 だけど、このシリーズ、海月くんのキャラがすべてだな(x_x) \(^^;) とにかく登場人物がみ〜んな面白い!!事件は芸大の学生がゲイジュツ的、かつ、密室で殺されて、それの謎解きなんだけれど、とにかく事件の内容よりも登場人物の動きやしゃべりがやたら引き込まれる。最後は動機がいまひとつ釈然としないんですが、シリーズものにされちゃうとおなじみのみんなに会いたいばっかりに本を探す、という読者的動機もあります〜〜( 5月 23日)
暗い宿 有栖川有栖 宿泊施設で起きる事件を集めてみましたが、そこにはいつも火村と有栖川が登場〜〜 です。ホテルラフレシアは、とくに妙な雰囲気で、明るい日差しと白い砂なのに、ちょっと非現実的な感じがなんとも言えません。( 5月 19日)
山伏地蔵坊の放浪 有栖川有栖 あの〜 これでいいんでしょうかね。ま、山伏ってなんとなく胡散臭いイメージはあるけど、我が家は隣県と言えど羽黒山には近いから〜〜 なんか実にホラっぽい、眉唾ものの、体験型事件ネタを、いつものお店でいつものメンバーに得々と語る山伏地蔵坊どの。山伏と言えど力強く寡黙ではなく、頭脳系でけっこう軽薄なお方です。( 5月 18日)
博士の愛した数式 小川洋子 これまたなんという優しくて人間らしい小説でしたでしょう。80分しか記憶が持たないのに、無制限に子供を愛してくれる博士と、奮闘する家政婦と、陰で見守る義姉。気がつくと10年以上の時をそのメンバーは共有するんですよね。暖かくて嬉しい、人の心がとても綺麗な作品でした。( 5月 16日)
ガール 奥田英朗 「空中ブランコ」が見つからないので、これが初の奥田作品なのですが、な〜んとまともに面白いのでしょう!働く女性たちの短編集ですが、子持ちバツ一、夫より収入のいい課長、オナゴは捨てない30代、青春からオトナに剥けた30代、ま、いろいろな女性たちが、仕事場で舌打ちしつつ、実に前向きに働いておりました\(^O^) 40代のおっさん(失礼)である作者に、どうしてこう微妙な機微が分かるのかあきれ返りながら、こっちもずいぶん、前向きの勇気を貰った気がします。( 5月 16日)
ジュリエットの悲鳴 有栖川有栖 なかなかな短編集でした。お馴染みさんは一切出てこないし、テーマも文体もまちまちでたくさんの作家さんのアンソロジーのようなイメージも受けましたが、硬軟混じりあって、大変おもしゅろうございました。「登竜門が多すぎる」には馬鹿ウケでありましたし、表題の「ジュリエットの悲鳴」は、なんとも言われぬ後味が残りました。う〜ん、切ないねぇ( 5月 13日)
海のある奈良に死す 有栖川有栖 むぅ・・ 火村のワトソンであるところの有栖川有栖のどんどん馴染んでくると、見かけ(?)より暗く重いタイプの人じゃない?って思うようになってきた。これは作家仲間の赤星さんが殺されて、彼の書こうとしていたミステリーを想像しながら犯人を捜していく、というお話でありますが、友人、とか、恋愛、とかいうテーマもけっこう深く洞察されていて、面白かったですよん。( 5月 12日)
王朝懶夢譚 田辺聖子 時代は平安、場所は京都・・ってことで、帝に嫁がれるはずの姫様が、天狗や妖怪(?)や、遠い場所や過去がみられる櫛なんぞを友として、恋に恋をし、最後に本当の愛を見つける話ですが、いやぁ、清清しかったですわん(^w^)  とっても素敵な終わり方だし、月冴姫さまの心意気がキュートなんだもの。センセ、そんな王朝の雅なお話だっていうのに、カタカナ用語がたくさん出てきて、とっても分かりやすくて面白かったです(*^_^*) ( 5月 8日)
朱色の研究 有栖川有栖 火村と有栖川が殺人事件の第一発見者に利用される??2年前の未解決の事件の解明を頼まれたとたん、関係者が殺されちゃって、その前の放火事件も絡んでくるわけですが、真犯人にはけっこうびっくり( 一一) 有栖川さんの描き方に、な〜んとなく惑わされちゃって、ずっと別の人だと思っていましたからね。・・動機は、ありですかね。なきにしもあらずと思いながらも、ちょっと難しいかもです・・( 5月 7日)
カーテンコール 黒井千次 新人の舞台女優と劇作家の恋愛を軸に、演劇や彼らを取り巻く人間模様を丹念に描いているのですが、私はあんまり相性がよくないみたい。ふ〜ん、そんなもん?って、どの登場人物にも感情移入ができなかったので、読後はなんにも残らなかった・・ ハッピーエンドなら、もう少し達成感もあったかもしれないけど。( 5月 6日)
幽霊刑事 有栖川有栖 殺されて幽霊になっちゃった神崎刑事が、唯一自分が見える霊媒の素質のある早川刑事と組んで、自分を殺した犯人を捜す話ではあるけど、自分を見ることができない恋人で同僚の森刑事はじめ、登場人物すべてが生き生きしてるし、早川の神埼に対する反応や、二人の会話、それに最後の真犯人の設定や動機、どれもこれも半端じゃない!!面白いを通り越して感動しました・・( 5月 6日)
幸福荘の殺人日記
-天井裏の散歩者-
折原一 アパート幸福荘で拾ったフロッピーの中にあった、日記か小説か分からない文書の中の文書〜〜 書いてる人はどんどん入れ替わるし、ほんとなのか、作り事なのか、誰が実在してるのか想像の産物か、もうワケわっからなくなるのよ〜〜頭、しっちゃかめっちゃかになっちゃったよぉ( 5月 5日)
大統領のクリスマス・ツリー 鷺沢萌 え?とても幸せな若い夫婦の話じゃなかったの?そして、それでいいの?お嬢様はどうなっちゃうの?だめよぉ、夫婦って、そんなにあっさり諦めたらだめよぉ(/_;) とても強い二人の心を見せられて、とても嬉しかった最後に、私は納得したくありませんでした。( 5月 4日)
ハネムーン 吉本ばなな 自分が生きていてもいいのだ、ってことを、ちゃんと自信をもって信じられる人は、少ないのでしょうかね・・ 長い時間を一緒に過ごして、18の時に必然で籍まで入れちゃったまなかと裕志の若い夫婦は、裕志の肉親の死や、暮らしたことのない父親の生き方で、病的なくらい追い詰められちゃって、まなかが家族として、それを側で癒していく・・というような話だけど、なんだか言葉ひとつひとつが切なくてね。海や庭の景色や、時間や人の言葉で、私自身も生きていき続けることを肯定された気はするけど、でも意外と現実の色が薄い、ばななさんらしい、儚い小説でもありました・・ ( 5月 2日)
弓形の月 泡坂妻夫 まさに混沌の幻想〜 でありますな。ヒロイン(?)をすっかり女性だと勝手に思っていたあたりまではすっごく面白かったけど、性同一性障害や両性具有の方々を、あそこまで奉っておきながら、やっぱり特別視してる感が否めません。人であるだけで充分だと思うのですけどね。(ま、私の周囲にはいないので、自分が特別視しないかどうかは分からないけど)テーマは大きいのに、絞り込まれていなくて、登場人物のどなたにもあんまり魅力は感じないし、最後も絶対に気に入らない<(`^´)> 新しい作家さんを開拓しようと思っての泡坂氏を初めて読みましたが〜〜 う〜〜ん・・( 5月 2日)
本格推理マガジン
孤島の殺人鬼
鮎川哲也編 デビューされてる方々もいますが、建前、シロートさんの投稿作品集であります。_(^^;)ゞはっきり言って疲れました。本格はまったくいいのですけれど、やっぱり人の心も大事に描いて欲しいと思いますので。(と、そう言っちゃうのは簡単だけどもね、書くほうはそんな安易なもんじゃないでしょう〜〜)( 5月 1日)
陰陽師
 滝夜叉姫(上下)
夢枕獏 二十年前に首になった将門にまつわる、怪異の数々〜 なんてったって上下巻の長編ですからね、読み応えありあり〜〜 生に執着する意味は、恨みか支配欲か愛情か・・ 博雅が「花が花であるように、己は己、人としてまっとうするだけ・・」なんて、また胸に迫るようなことを言ってくれて、最後の場面の優しさに(いや、生き死にのすっごい修羅場でもあるんだけれど、心の確執が融けていくような、肩の力が抜けるような、優しさで・・)何度か読み返しました。今回は道満殿もいい味出していましたねぇ〜( 4月 30日)
ハゴロモ 吉本ばなな 現実のお話であるはずなんだけど、やっぱり御伽噺なのでしょう。 夢の中のことが奇跡を起こしたり、誰かの心の状態のことを、周囲の人たちが建設的に理解したり、とにかく優しくて慰められる本ですね。人が必要とされる意味合いが、なかなか本人には分かっていなかったりして、嬉しくて幸せな話ですけど、自分を振り返って悲しくなったりもしました。私も、生きてる意味を、考えたりしないままに、当然と思いたいです。(最後は独白・・)( 4月 29日)
朝霧 北村薫 「私」も大学を卒業して出版社に就職し、姉さんは結婚して子供も生まれます。円紫師匠も相変わらずの洞察力と演技の深さをみせてくれまして、穏やかながらも、心の奥底を垣間見られる一冊でありますな・・( 4月 27日)
ゴッホ殺人事件
(上下)
 
高橋克彦
 
面白い!ゴッホの生涯と死の謎を追いながら、方や亡くなった母親の貸し金庫の中から出てきた謎のリストに絡む殺人が、世界を股に掛けと〜んでもない規模で描かれています。はっきり言って「ダヴィンチコード」より、ずっと面白くてスケールもでかかった。これはなかなかですよぉ〜 ( 4月 26日)
かれはロボット
 
草上仁
 
シュールですな。フレドリック・ブラウンを思い出しました。前の「お喋りセッション」は、けっこうえっちなネタが多かったのですが、これは、ビジネスの心意気があふれまくりで、なんか、工場で働いている、自分の心理状態と重なるものがありまして、ちょっと身につまされすぎました。( 4月 23日)
朗合わせ鏡
 
高橋克彦
 
「おこう紅絵暦」の続編で、絵師の春朗が主人公だけど、またまた新たなキャラが二人も登場!!どのキャラもすっごく魅力的で、差し押さえたご禁制の品物を奉行所から横流しして溜め込んでいた呉服屋をさぐる「がたろ」あたりは、キャラ総動員!おんもしろくてワクワクした。あ〜 「だましゑ歌麿」読みたいなぁ〜〜。( 4月 22日)
F 落第生
 
鷺沢萌
 
決して上品な暮らしをしているわけではない、実に本音で一生懸命な女性たちの短編集。設定はそんなに明るくはないけど、力強くて、希望が見える作品ばかり。後味がよくて、読み返した作品もあります。なのに、どうして、自分から向こうを選んでしまったのだろう・・( 4月 19日)
風の盆幻想
 
内田康夫
 
センセ、ほんとにたいしたものです。SF作家になっても、全然OKだよ!20年間、世間を欺き続けた二組の夫婦と、風の盆の優雅な調べと裏にある確執〜〜 でも今回の圧巻は、踊りの美しさ(文字だけで、ほんとにどんなに美しいが想像できちゃう)と、女性心の微妙さと強さで、ウケなかった方もいらっしゃるようでしたが、私はと〜っても面白くて一気読みでした。( 4月 18日)
本格推理13
幻影の設計者たち
 
鮎川哲也編
 
シロートさんの投稿作品集、ということなのでしょうけれど、常連さんやら、以降にプロになられた方やらもいらして、なかなか圧巻でありますね。 このシリーズ、今は中古本屋くらいでしか見つからないので、見つけるとちょいと嬉しくなります。( 4月 15日)
お喋りセッション
 
草上仁
 
再読、でしたね、また買っちゃった(;^ω^A 氏の作品は、とんでもない発想なのに、じつにほのぼのとしみじみとしていて大好き!「ヒッチハイク」なんてストーリーはどうってことないけど、やっぱり「ふ〜ん」って言ってにっこり笑いたくなる。なんか嬉しくなるの。 ( 4月 13日)
陰陽師 -太極ノ巻- 夢枕獏 いい漢(オトコ)たちの定番の会話と、背景。よいなぁ〜 これぞまさに風情がある、ってヤツでしょう。事件的にはあっけないくらいの解説方法なんだけど、清明の家の縁側で、酒を酌み交わしながら見詰め合う二人を想像できるだけで充分だす。( 4月 11日)
なんくるない 吉本ばなな 沖縄を訪れたことがきっかけで、日常が開けていくような、明るい日差しを浴びたような、短編集です。吉本さんだから、あんまり力強くはないけど、生きてることがふんわりと嬉しくなりました。( 4月 9日)
アドヴェント・カレンダー
--24日間の不思議な旅
 
ヨースタイン・ゴルデル
 
本屋でアドヴェントカレンダーを買ったヨキアムは、毎日カレンダーをめくるたびに落ちてくる、不思議な小説に読み入ってしまいますが、その内容たるや、キリスト生誕に立ち会う2000年の時空を進む物語だったのでした〜〜 ところが実際に主人公の失踪事件が過去に発生していて、その彼女を愛した人が手作りしていたカレンダーだったのでありまして・・ 宗教に絡んだ対立や難民の話まで、ヨキアムの主観より、ずっと重いお話ではないでしょうか?( 4月 5日)
ダヴィンチ・コード
(上中下)
 
ダン・ブラウン
 
どうしても読みたくて、文庫が出たのを機会に定価で買いました!(x_x) \(^^;) 宗教象徴学の大学教授のロバート・ランクドンはルーブル美術館の館長殺害の容疑を掛けられるが、被害者の孫で暗号解読官のソフィーの手助けで現場から逃げ出して、館長が残した暗号を解き始める〜〜〜 んだけど、全三巻で、たった一泊二日のお話。ん?また聖杯探し??だけじゃなくて、キリスト教のなりたち(というか、欺瞞?)をば、宗教の歴史やダヴィンチの絵画に折りこまれた暗示や、いろんな事実で説明してるし、登場人物はどれもこれも濃い一癖も二癖のある連中だし(警部してしてからがね!)最初はとにかくしんどかったけど、3巻目は胸が熱くなって、あぁ、投げ出さないで最後まで読んでよかった、って思いました。映画も楽しみ(^m^)( 4月 2日)
おこう紅絵暦
 
高橋克彦
 
柳橋の芸者から、与力の妻になったおこう、、舅たちの計らいや、過去の人脈で、どんどん事件を解決しちゃう短編集ですが、このおこう、なかなかとんでもない跳ねっかえりだったようでかわいいだけのシンデレラガールじゃなかったことが、読んでてとっても楽しい(*^_^*)  だんなさん、過去を知るたび惚れ直してくれるから、それもまた嬉しくてね・・( 3月 29日)
迷宮百年の睡魔
 
森博嗣 ミチルとローディが出会う伝説の島イル・サン・ジャックでの意味ありげな人たちと、僧侶の首なし死体〜〜 これがけっこうミチルの退廃的なモノローグに引っ張られちゃって、これは絶対にワケアリだ!と思ったら「女王の百年密室」の続編だったのね!これでミチルのいじけブリが判明するのだろうか。 それにしても、だんだん明かされていく、ココロとカラダの繋がり、カラダの複製、機械のカラダとココロ、あんぐり口開けながら、一日で読んじゃいました( 3月 27日)
孤宿の人(下)
 
宮部みゆき

☆ネタバレかも
( ̄ω ̄;)
ほうは、その無垢な気持ちで鬼であるはずの加賀様とお近づきになる。でも丸海の武士たちも庶民たちもはやり病や天災にひどく苦しみ、暴動まで起きてしまう。それをなんとか平穏な藩に戻そうとするほうの馴染みの人たち。みんな、どうしたらこの難局を乗り切れるか、その為には自分を偽ることも必要だし、よくよく考えることも必要で、この時代の武士たちの建前にのっとった生き方、庶民の人としての位置、その中でみんな働いて働いている毎日・・
ほうは加賀様から「方」という名前をいただき、これからはどこへ向かって行けば分かる名前だと言われ、でも、藩が江戸幕府から認められるための大きな仕事が終わった時、今はなき加賀様から「宝」の文字を頂く。「お前は宝だった」と。
泣いて泣いて泣きました・・ ほうは運の強い子だもの、これからもたくさんの人がほうを大事に思って、育てて行ってくれることでしょう・・( 3月 25日)
孤宿の人(上)
 
宮部みゆき 「阿呆」のほうと名づけらた、育児放棄され娘は、大人たちの身勝手で江戸から金毘羅様の近くの丸海に行くことに。でも、優しく接してくれた琴江さまが殺されて、それが江戸から流刑にされてくる加賀様が生き怨霊のせいではないかと・・ 小さいのに、とにかく健気に働くほうなのに、やっぱりどんどん居場所が変わる。大好きな人と、長く暮らせない・・ そして丸海藩もいろいろな問題が吹き出てくるし・・ もう大変なのよ、雨と雷ばっかりだし!( 3月 24日)
真夜中のユニコーン
 
栗本薫 栗本さ〜ん、伊集院物は嬉しかったけど、これ、どろどろしすぎ!!事件そのものより、青年男女が働いているテーマパークの人間模様、駆け引きやら、裏切りやらの集団じゃないの!まぁ、それでもその中に真実の愛もあるのでしょうけど、どっち向いても不倫やら、強姦やら、やなことばっかじゃないですか・・ アトムく〜ん、毒されないで、元気で帰ってね・・(栗本さんたら、私と同世代なのに、信じられないくらい、そういう若者の恋愛に精通してる。私はとても着いていけないと思ったよ・・)( 3月 23日)
鍵孔のない扉
 
鮎川哲也 鬼貫警部ものですが、これは面白かった!声楽家の愛人らしき人物が自分の部屋で殺されるのだけど、実は相手を間違えたらしい〜〜 ってあたりから始まって、夫婦、仕事、お金・・ そこいらが実に説得力を持って書かれていて、犯人は途中で分かるのだけれど、そのアリバイ崩しもまた面白い。結局は人物描写だけを読んでる気がする私なので、登場人物、ま、みなさん、それぞれの役をきちんとこなしていた、と思ったのでありました。( 3月 19日)
金魚のうろこ
 
田辺聖子 やっぱり自分は年取ったと思うよ( ̄ω ̄;) 恋愛の駆け引きなんぞは、読んでいてちっとも面白くなくなってしまった。(ごめんなさい、田辺さん)でも、人としての生き方を見据えた時、これは面白い短編集であります。「カクテルチェリーの味は」なんて、しみじみ分かりましたもんね。一人であれ、夫婦であれ、自分は自分らしくありたいし、周囲の係わり合いのある方たちも、ずっと肯定したいことです・・( 3月 17日)
堕ちていく僕たち
 
森博嗣 あの〜 で、どうしたらいいんでしょ・・(って、前のZOKUの時も書いた気が(;^◇^A インスタントラーメンで性別がスイッチしちゃうシリーズですが、たかがそれしきのことで(!!!)人の心って揺れ動くんですよね〜 ま、森氏の場合は実にフワフワゆらゆらと、シュールな動きではありますが。 ミステリ、ではないと思いますが、理屈抜きでOKです。( 3月 14日)
魔神の遊戯
 
島田荘司 久しぶりの島田さん!!(って実は先月「ハリウッド・サーティフィケイト」を図書館からの借りたけど返却日が迫っていたので、斜目読みになっちゃったので、感想まではいたらず〜)大好きなミタライと、精神分析物(??)なので、一気に読んじゃいました。う〜ん、やっぱり面白い!! 未来に起こるはずの事件を過去に思い出し、その通りの連続殺人が起きちゃう現実。その謎はどうやって解かれ決着を見るのか、わくわくしながら読み進みましたが、非常に納得のいく殺人の動機とトリック(というのかな?)で、さすがに力強いです。島田さん、好きだなぁ〜〜( 3月 9日)
月光ゲーム
 
有栖川有栖 ってことで、引き続きの有栖川。今回は火村ではなく大学の江神先輩でありますが、これが(暫定的に)デビュー作品ですよね。大学の推理サークルの仲間たちとキャンプに行き、そこで知り合った若者たちと交友を深めたり恋に落ちたりしてるうちに、なんと火山が噴火して帰れなくなり密室状態。その中で次々と仲間たちが殺されていくのでありますよ〜〜 これもまた本格のトリックものなのですが、まったくおかまいなしの私は青春小説として、それぞれが抱える感傷などを感じながら、ほんとにこの中に犯人がいるの??いないで欲しい〜〜 なんて思いながら読みました。( 3月 7日)
ダリの繭
 
有栖川有栖 ゆえに引き続き有栖川と火村コンビであります。↓以上に、二人の間柄って微妙だすな。あえて「新婚ごっご」なんて表現も使ってるし。(ただし事件の内容はまったく関係なし。)今回の事件は、ダリの熱烈なファンである宝飾店のワンマン社長が、フロートカプセルの中で殺されているのだが、読み進んでもなかなか犯人の検討がつかなくて、もうもどかしくてしょうがない。各人の恋愛観、人生観もたっぷり盛り込まれていて、またしても「本格」のトリック無視でも面白かったでした。( 3月 1日)
46番目の密室
 
有栖川有栖 推理作家が密室で殺されていて、他の作家や編集者たちと逗留していた有栖川有栖と火村が刑事さんたちと一緒に謎解きに迫るわけでありますが、有栖川さん、あんまり嵌れなかったのに、これは面白いと思いました。微妙に拗ねっ子の有栖川ワトソンと、火村の掛け合いがいやみじゃないし、登場人物たちのつながりも非常に人間的だし。犯行の動機に、あれれ?およよ、と感じる私も相変わらずだし(x_x) \(^^;) このコンビもいいかも〜(しっかし、「本格」をトリック抜きのこんな感想でいいのか?)( 2月 27日)
殺人は容易だ
 
アガサ・クリスティー これがなかなか犯人像が想像できないのですよ。ポアロでもマープルでもなく、単発の方だし。ただ、最初からルークが求めてる犯像は思い込みがあるぞ!って感じていました。そのためプロローグを読み返し確認もしたし。でも、そのためにはルークがとっても辛い想いをするのではないか?って、それを心配しながら読み進んでいきましたが、最後は溜飲が下がる想いですっきりです_(^^;)ゞ かわいそうなお金持ちが残されちゃったけど、ふたりにはきっと普通の幸せな家庭を持ち続けることでしょう。( 2月 24日)
六道ヶ辻
大道寺竜介の青春
 
栗本薫 六道ヶ辻シリーズの第三弾であります。栗本さんだワ、この手の話だワ、っていかにも好みっぽかったのですが、さすがに私も年か?華族の若様たちの濃ゆすぎる心の動きには一気に読み通すということができなくて、けっこう時間が掛かってしまいました。幼少の頃からのお友達の竜介、清顕、忍の3人が、青年の手前で自分たちの方向性に悩み傷つき、それでも友情を持ち続けようと熱い思いをぶつけ合う・・というような、でも友情だけで済まないのがまた栗本さんだし(x_x) \(^^;) 忍の人生、決してないがしろにはしない二人でしょう。( 2月19 日)
ルーガルー
(忌避すべき狼)
京極夏彦 う〜、おねいちゃんたちが表紙の分厚いこの本、なんて言ったらいいのかいな。 時は未来、人間同士のコミュニケーションが不毛な街で起こる連続殺人事件・・ 設定の把握にやや時間が掛かり、被害者たちの殺されるべき理由がまたよくわかんないけど、でもやっと色合いに馴染んだ頃に連続殺人事件を装った別の連続殺人の犯人のとんでもない動機が出てきて、最後はまったく昇華せず〜〜 でも引っ張り込まれちゃうのよね。背景はまるで違うんだけど、「鉄鼠の檻」や「魍魎の匣」のノリを感じました。登場人物はまったく毛色が違うんだけども。( 2月 4日)
生首に聞いてみろ 法月綸太郎 題名はおどろおどろしいけど、事件は緻密で現実的。ヒロインが殺されちゃうのはあんまりないパターンだけど、肩入れしていた分周囲がみんな怪しく見えてしょうがなかったです。そして最後のどんでん返しには、う〜む、そうきたか、そうだったのかと、ひどく納得させられまして(もっと後味の悪い犯人像を想像していたもんで)それはけっこうなカタルシスではありましたが、くれぐれも被害者のことが無念でありますね。大変読み応えがありました。 (1月 28日)
放課後 東野圭吾 これ、東野さんのデビュー作ですよね。 女子高校の男性教師の連続殺人の動機、トリック、周囲の人間の使い方、みんなすっごく計算されてて納得できます、さすがです!! それでもね、東野さんは文体をほんとに自由に使い分けるので、場合によっては挫折する作品もあるので、手に取るのが怖かったりします。う〜 (1月 17日)
心の鏡 ダニエル・キィス 7編からなる人の心の短編集でした。最初の「エルモにおまかせ」は思わずアシモフおじさんの作品かと思っちゃいましたが、なんだかだんだんシリアスになってきました。(「アルジャーノンに花束を」の短編バージョンも含む)心は不思議です。でも、みんな前向きに生きようと試行錯誤を重ねているんですよね。(1月 17日)
デッドエンドの思い出 吉本ばなな ご本人が「これを書けたので小説家になってよかった」という短編集です。あとがきほど、私は重くも暗くもなく、とてもスムーズに共感できました。淡々と生きていても、人との出会いには輝きや悲しみがつきまといます。静かな表情と深い心が読んでいても分かる、優しい小説たちでした。(1月 15日)
流さるる石のごとく 渡辺容子 アルコールと盗癖、大富豪の一人娘で医師の妻、殺されるのではないかという被害妄想・・が一転して誘拐事件の発生で夫婦、親子、そして友人たちの関係を見据えることなっていくのですが・・ 途中で、これテレビドラマで見たことがある、って気がついたのですけど、ドラマの100倍は面白いのが小説ですね!なんとなくストーリーは思い出せたけど、人として感じること、行動することの意味づけが、やっぱりドラマじゃ描けないないもの。相変わらず重厚で、丹念な渡辺氏、特に最後、事件後の主人公がとってもよかったです。(1月 10日)

(’05,1〜 7)                         HOMEへ