最近読んだ本です

(’12 7〜 )

   ’12 1〜 6)         作家索引       HOME

 麒麟の翼 東野圭吾 加賀恭一郎シリーズです。 日本橋の翼のある麒麟の下でナイフを刺されてイル男性を警官が発見するのですが、ミステリーというよりも父と息子の関係や学校での部活のことなど、思春期の心情が描がれています。読後は決して明るく開放的は言えませんが、いろいろ考えさせられました。( 12月 7日)
 愛しの座敷わらし 荻原浩 田舎への転勤で、敢えて古い民家を選んだ父親に家族は大ブーイング。でもそこにいたんだよね、>ざしきわらし!
私たちが知っている通りの座敷童が、今時の家族と共存を始めることで、互いにいい関係になっていくのですが、その田舎のご近所や友人達がなんの疑いもなく座敷童の存在を受け止めるし、最後はその座敷童くんまでもとんでもない冒険をしちゃう〜〜 という、嬉しくなってほわっと笑ってしまったお話でありました(^-^)( 12月 3日)
 真夏の方程式 東野圭吾 伯母の家である海辺の旅館で夏休みを過ごすことになった恭平と、泊まり客の湯川。別の客の死や綺麗な海と海底資源。そこに従姉の出生の秘密なんかが絡むのですが、なんたって湯川が、事実を知った少年恭平のこれから生きて行くことへの心情を慮るところでしょうか。暴かれない罪があってもいい気がしてしまったりもするのですよ。( 11月 25日)
 風の中の櫻香 内田康夫 先生も高齢になられましたが、奈良、孤児院、尼寺、そして裕福なお屋敷とワケありの家族・・ 13歳の美少女の身辺にいろいろなことが起きるようになった〜〜 王道であります(^-^)V 本当の親は誰か、彼女は何を選択するのか、こういうの、オナゴは大好きですから( 11月 17日)
ハナシがちがう!笑酔亭梅寿謎解噺   田中啓文 田中氏の「銀河帝国の弘法も筆の誤り」のあとでコレを読んだら同一人物の作品とは思えないくらいです。(ま、一門の名前はさすがに田中さんである、と。)落語とミステリーが人情に彩られ、大変面白い連作短編集になっていました。「子は鎹」なんて、ほんとに嬉しくて泣けてきちゃいましたよ。「住吉籠」も新作と古典の位置がわかって納得したし。「千両みかん」は田中氏的でしたが(!??)シリーズ、たくさん出ているんですね。読みたいもんです。竜二くん、頑張れ!( 11月 1日)
ジュージュー よしもとばなな ステーキハウスジュージュー、人の心を打つハンバーグ。 大切なママを亡くしてしまった家族や、親の資質のない親を持ってしまった息子、不思議は結婚生活、そういう中で恋に落ちていく二人・・ ばななさんの小説の中ではそんなに変わった暮らしではないけれど、亡くなった人への想いとか昔の恋人との今の関わり方とか、心に沁みます。しがらみや不完全の中でほわほわと前向き、上向きに生きていこうとする感じに、また胸を打たれてしまいました。どうかもっともっと美津子や進一たちが幸福を感じる日々でありますように。( 10月 16日)
 ブラザー・サン シスター・ムーン 恩田陸 同じ高校、同じ大学に進んだ3人のそれぞれの青春=現在を、高校での一日を絡めた三章の話ですが、あれ?で結局3人はそれっきり?みたいな少し物足りない終わり方かも、です。一度接点があり、それからもほんの少し互いを認識したこともあるけど、結局はバラバラに解けて行くような関係は、現実的だけど小説的ではなかったかも〜〜 読んだ方の受け取りかたですけどね。( 10月 12日)
幻想ミッドナイト―日常を破壊する恐怖の断片    
赤川次郎 綾辻行人 飯田譲治
梓河人 
京極夏彦 鈴木光司 高橋克彦 筒井康隆 宮部みゆき 夢枕獏
 
見果てぬ夢(赤川次郎)409号室の患者(綾辻行人)破壊する男(飯田譲治梓河人)百鬼夜行第三夜目目連(京極夏彦)夢の島クルーズ(鈴木光司)ゆきどまり(高橋克彦)怪物たちの夜(筒井康隆)言わずにおいて(宮部みゆき)八千六百五十三円の女(夢枕獏)。
 綾辻さん、京極さん、高橋さん、筒井様、宮部さんは読んだことがあったと思います。
分かっていてもやっぱり怖いです。幽霊話というよりは、普通の生活の中にある理解を超えた他人の心情とか、狂気が普通だとか、そんな違和感のような怖さです。でも久しぶりの筒井さん、やっぱり大好きだと改めて思いました。

(10月 2日)

 古道具屋 皆塵堂 輪渡颯介 初めての作家さん。まだ若い方かな?幽霊が見える太一郎は見えない振りで、曰く付きの古道具屋で働くことに〜 友人や雇い主など周囲の人たちと心許せるようになると、いろいろ認めたくない自分も肯定してゆくことができるという、そこそこ暖かい話ではありますが、ありがちでもストーリー自体はキライじゃないのに、登場人物がどなたもこなたもそんなに魅力的じゃないのよね。古本屋京極堂なんて、いきなりメチャクチャかっこいいでしょう。あんな強烈な魅力が欲しいな、そうしたらもう少しワクワク読めたのに、と思っちゃいました(^^;ゞ( 9月 29日)
幻想電氣館 堀川アサコ 自己紹介で「幽霊が見える」とか言ったことが原因で不登校になりゲルマ電氣館で働くことになったスミレ。 そこでもどこでも幽霊さんは見えるし、映画館の従業員やスミレの家族、クラスメートなんぞがややこしく絡んですったもんだ・・┐('~`;)┌  ちょっとレトロな雰囲気で微妙に怖くもありますが、勢いのまま読み進んじゃいました。軽さもちょうどよいです。( 9月 25日)
本日は大安なり 辻村深月 大安の日、ホテルで結婚式を挙げる予定の4組のカップルと、ウェディングプランナーたちの話です。クレーマーや、美人姉妹や、小さな甥っこや、浮気オトコなどいろいろ問題を抱えていますが、が、が、最後はほんとに幸せな気持になれましたが、3分の2くらいまでは、読み進むのがイヤになるくらいキャラが苦手なタイプだったり、こんなことファンタジーでだって起きないくらいありえなかったり、なによりこの作家さん、人間が嫌いな人ではないかしらと思えるような冷たいというか薄気味が悪いというか、そんな人間描写で、最後があんなにすっぱりといい方向にまとまるなんて想像もしませんでした。前半あってこその最後だったのかもしれませんね。( 9月 24日)
 君の館で惨劇を 獅子宮敏彦 社会派はてんでダメなくせに本格はストーリーが荒唐無稽だ、トリックなんてめんどくさいから斜め読み〜 ってとんでもない読者>自分。 それにしても乱歩、横溝、小栗・・ 金に飽かせて作ったかの名匠たちにちなんだ豪華な館や、超美貌の新妻、身元を証さない天災画家や探偵〜〜 はからずもワトソンに指名されるのが売れないミステリー作家なんて、ケレン味あふれんばかり(^m^) でも、ストーリーは荒唐無稽では済まないくらいとんでもないです。いくら「本格」でもこれは納得できる範囲を超えていたと思いますが、そういうものではないのでしょうかね。( 9月 17日)
 銀河帝国の弘法も筆の誤り 田中啓文 ( −_−)未来(人類)、宇宙(異星人)、神(宗教、神話)的SF5編ですが、う〜〜〜〜ん・・・全編にすべて違う人による、こき下ろし解説がついています。それにしてもう〜〜〜ん(/。\) -○脳光速―サイモン・ライト二世号、最後の航海○銀河帝国の弘法も筆の誤り○火星のナンシー・ゴードン○嘔吐した宇宙飛行士○銀行を駆ける呪詛―あるいは味噌汁とカレーライスについて-題名だけでどれくらい想像できるでしょうか?
ところで私はある作家さんのMLに登録しているのですが、そこに書き込まれる方々はご本人と業界の方ばかり。。と思われます。一度田中氏も書き込まれて新作の題名に触れてらしたので、びっくり行天いたしました。そういう世の中なんですね==( 9月 10日)
 スウィート・ヒアアフター よしもとばなな とてもとてもわかりにくいとは思いますが、この小説は今回の大震災をあらゆる場所で経験した人、生きている人死んだ人、全てに向けて書いたものです。”――よしもとばなな。大きな交通事故で臨死体験をした小夜子と、その時に亡くなった恋人の両親、恋人の残したアート、新しい友人・・事故以来幽霊が見えるようになってしまった小夜子の、今の生活を淡々とでも未来を肯定的に描いています。劇的な出来事のワリには比較的普通な感じでほっとしながら読みました。( 8月 23日)
 我が家の問題 奥田英郎 完璧な妻が重い夫、両親の離婚問題に気が付いた高校生の兄弟、互いの実家に里帰りしての若夫婦・・など問題山積の家庭ですが、すっごく前向きで、家族にも好意的なんですよね。一方的過ぎないし、ちょうどいい感覚の6編でした。私小説?と感じた話もありました。( 8月 17日)
 おまえさん<上・下> 宮部みゆき 「ぼんくら」「日暮らし」に引き続きいての長編第三弾、弓之助やおでこも思春期です。辻切りのような人殺しから始まる事件ですが、二十年前の犯罪やら、残された美しい女性達やら、横恋慕やら片想いやら相思相愛やら恋、恋、恋〜〜〜〜 です。今回新登場の同心・間島信之輔や弓の助の兄の淳三郎も、なかなか存在感を放っておりまして、ものすごく重くてやりきれない事件なのに、その恋の描写てんこ盛りにはそこそこ笑ってしまいまして、さすがは女流作家でありますな。(^m^) 今回は平四郎の 奥方もなかなかに語りまして、さすがは夫婦関係、さすがは弓ちゃんの叔母!コイバナは女性の方が得意ってことでしょうか?読み応えがありました。 ( 7月 31日)
進々堂世界一周  追憶のカシュガル 島田荘司 御手洗さん、久しぶり!と手に取ったのですが、ちょっと重すぎまして、斜めです。 差別や戦争などがテーマになっているので、辛すぎました。もちろんおっしゃることに異論はないのですが、どうしても目を背けて見ないふりをしてしまいたい内容で、でもちゃんとそういうことを真正面から書かれ、なおかつものすごい説得力のあるところが島田氏なのでしょうけれど。( 7月 6日)
 ヒア・カムズ・ザ・サン 有川浩 7行のあらすじから、有川氏が二つの物語を描きます。主人公の真也は物に残された人間の感情を感じることのできる能力があるのですが、恋人のカオル、その母親、同僚達の前にカオルの父親が帰ってくる話で、でも父親は大きく違う話で、私は圧倒的に最初の作品が好きでした。カオルの父親の感情の濃さ、それが残ってる手紙に触れてしまった真也の行動、親友としての友情、恋、なかなか胸に刺さりました。(一緒に「県庁おもてなし課」も借りましたが、前半がなかなかしんどくて、飛ばして後半のみ読みました。でもかなりドキュメントが入っていそう(^m^) )( 7月 3日)

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