最近読んだ本です

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第二ファウンデーション アイザック・アシモフ  読書が進みません。読みたい小説はたくさんあるのですが、GETに動こうとしないのであった・・・
 アシモフ氏のファウンディーションシリーズ3作目です(順番に読んでいるワケではありませんが)。過渡期のファウンデーションの世界に突然現れた「プラン」では想定外のミュータントとの闘いや、その後の世界で謎の第二ファウンディーションの探求や、とらえ方、人間の支配力や権威への嫌悪など、内容は第一、第二、ミュータント、その後釜、それぞれの立場で語られるので読み手としては翻弄されます。でもそれが宇宙(人の世の中)ってことでしょうかね。(1 2月 22日)
ペガサスと一角獣薬局 柄刀 一  フリーカメラマン南美希風の世界不思議撮影推理短編集(??)。 ドラゴンやペガサス、もしくは密室的ミステリーがたっぷりですが、なんと言っても風景の色合いが独特でね〜〜 雲のたれ込めた空、冷たく透き通った水、超自然なミステリーをこじつけくらいの強引さで解き明かしながら、でもシンと澄んだ文体が、むしろアンニュイで雰囲気たっぷりでありました。(11月 22日)
吸涙鬼
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Lovers of Tears-
市川拓司  ふ〜ん。 市川氏って恋愛小説家さんかと思っていたら、ファンタジーを書かれる方だったのですね。そういえばカの有名な「今逢いにいきます」も映画で見た時は微妙にSF入っていたし。
攻撃的ではないけれど、癒しのチカラのある時間の流れの違う少年と、遺伝的に病弱な少女の惹かれ合うのに叶わない恋。恋愛小説は嫌いなのに借りたのは、思いっきり泣きたかったせいですが、これはまた私の中では珍しくもない設定で、悲しくも切なくもなく、成長の物語のような爽やかさがありました。ちっと「ポーの一族」を思いだしながら、結婚式の場面では保護者の気持ちで暖かくなりました。( 11月 7日)
死者はバスに乗って 三輪チサ  がっつり怪談話でした。幼稚園バスの幽霊が現れて、死んだコドモが戻ってくる・・ 女子高生3人、刑事たらが3人、霊に立ち向かえる大道芸人、と、主役級が7人に幽霊さん、そしてその関係者たち== なかなかみな濃ゆいので、すっごく面白くて切なくてやりきれなかったけど、ヤチャクチャナくもありました。それでも、幽霊になるにもワケがあるわけで、その理由は辛いことばかり。人はやっぱり最後は幸福なまま逝くべきだと、つくづく思いますデス。( 10月 17日)
異端のウィルス 志茂田景樹  志茂田さんの作品は大昔に土蜘蛛だか忍者だか出てくるのを読んだ気がするだけで、ジャンルもよく知らないまま借りました。 ウィルスに感染していく最初はけっこうロビン・クックの作品や「屍鬼」「パラサイトイヴ」とか重ねて読んだけれど、DNAの塩基の配列を邦楽の音階に当てはめたり、陰陽道と呪をウィルス蔓延に重ねたり、すっごく説得力があったし、登場人物も脳死判定を巡って有罪になった元医師とその原告側の家族だったり、ウィルスの謎を解こうという医師もまた、造り酒屋の次男坊とか、なかなか面白いのだけど、文体が合わない( -_-) エロい部分も多くて、それが感染経路なのだからしょうがないのだけど、好きなジャンルだけど、微妙だったのでありました。( 10月 16日)
十津川警部の逆襲 西村京太郎  会社で読書好きの人を発見して、持ってる本を校勘しましょう、ということになりました。彼女は今はもっぱら西村さんだそうで、その時読み終わったこの本を頂きました。
これは、阿波鳴門、青森不老不死温泉、など短編3つ。不老不死のは、他のアンソロジーで読んでいましたが、西村さんの淡々としたアリバイ崩し、感情を不必要にかき乱されないのもまたいいもんです。( 9月28日)
愛の怪談 高橋克彦
(編)
駒形通り(三橋一夫) 木乃伊の恋(香山滋) 道化役(城昌幸) 玲子の箱宇宙(梶尾真治) ダイダロス(渋沢龍彦) 金襴抄(赤江瀑) はだか川心中(都筑道夫) われても末に(式貴士) ウルフなんか怖くない(戸川昌子) 妻を愛す(高橋克彦) 
この面々やいかに!内容も怪談というより、古き良き時代のファンタジーといった趣で、雰囲気ありました。戸川さんなんて独身の頃に少し読んだだけですが、あの哀愁がなんともたまりませんね。(9月20日)
SOSの猿 伊坂幸太郎  どうやったらこういう発想が出てくるんでしょうねぇ。 エクソシストもどきの遠藤二郎君と損失300億円の発注事故再発防止が仕事の五十嵐真さんが交互に出てきますが、ひきこもりの青年、暴力の善悪、DV、虐待、本当にSOSを出してるような痛々しい人たちも多く出てくるのですが、なんでかそこに孫悟空!!!終わり方もあんまりすっきりしないのですが、でも納得できる部分も結構ありまして、ヘンだけど私は好き、これも『バランス』でしょうかね。( 8月 31日)
ゆんでめて 畠中恵  しゃばけの9作目です。今回は文章が荒い気がしてちょっと読みにくかったです。読む進むほど過去になっていくし、メンバーはいつも通りなのですが、それにどんどんプラスされていってシッチャカメッチャカ〜〜 結局時間は修正されたの?屏風のぞきは元気になったのかしら。そのあたりの説明はストーリーそのものなので、ちょっと残念かも、です。( 8月 28日)
バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎  ということで引き続き伊坂氏。 5股していた星野は、借金の方かなんかで、ダークな方面へ売り渡されるべくバスに乗せられることとあいなり、繭美という監視人がつくのでありますが、とんでもない状況である星野青年、これがまたしてもとんでもなく魅力的で、倫理的には人間として不適格でも性格はこの上なく優しいのですよ。そして5股の全員に別れを告げるべく、怪獣のごとき大女で腕っ節が強く口の悪い監視人繭美を婚約者として連れながらつき合っている女達を廻るのですが、どの関係もあまりにもいい恋愛関係で、どうしましょうと思ってしまいます。そして一人を別れを告げるたびに絆が深まる(?)星野と繭美の関係も、人していいなぁと思えるようになるから面白い。犯罪者が出てこないだけでも読みやすい、いい小説だと思いました。( 8月 18日)
重力ピエロ 伊坂幸太郎  読めないかな?と思ったストーリーですが、さすがは伊坂氏、なんとかなりました。弟春と兄泉水、癌の父親と亡き超美人だった母親・・家族がみんな魅力的なのよね。落書きや放火、殺人とレイプ、まったく重たくイヤなことが出まくりだけど、この家族、よいのですよ。探偵や春のストーカーの「夏子」ちゃん、受付の英雄くん、彼らもみんな生き生きしてるし。とりあえず、正しいとか倫理とか道徳的に読んじゃうとヤバイかもしれないけど、こんな終わり方の小説があっても全然OKで、実際の春を見てみたい!心から思うのでありました。( 8月 11日)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 大沢在昌
石田衣良
今野敏
柴田よしき
逢坂剛
京極夏彦
東野圭吾
この7人が両さんを描く!!すっごい豪華でしょ?私が初めての作家さんは柴田氏と逢坂氏。新宿鮫始め、メジャーなシリーズのメンバーが両さんと絡むお話や、京極氏のぬらりひょんの正体、東野氏の乱歩賞を目指す両さんには大受け!!今は映画もあるんだよね、香取慎吾の両津さん。同僚のダンナさんが30年間のこちかめコミックスを全部持っているそうですが、なんとも歴史のある両さんになりましたねぇ( 8月 5日)
忘れられた花園(上・下) ケイト・モートン  幼い女の子が港に一人でいるのを引き取ったオーストラリアの夫婦。でも、21歳の誕生日にそのことを打ち明けたことから始まる、本当の名前探し、身元探しの話ですが〜〜 ま、オンナはこういう訳ありの過去の話って好きよね。自分の本当は御姫さまだったのではないか==と。彼女の親の時代、彼女が身元を知ってイギリスを訪ねる時代、そして彼女の死後、孫娘が細かな謎を全部解き明かす、1905年前後、1975年、2005年を行き来していますが、大きなお屋敷や、童話や、絵画や庭園や、夢たっぷりなエッセンスに溢れているのに、彼女の生家の家族って分かってくれば分かってくるほど、なんだかイヤな感じ〜〜〜〜 事情はいろいろあるだろうけど、それにしても、人の命をなんだと思っているんだ、と。花園は綺麗かもしれないけれど、ちょっと呪われた家の話みたいで、上下巻の長い作品なのに、達成感はありませんでしたねぇ ( 7月 31日)
日曜日の沈黙 石崎幸二 メフィスト賞受賞作だそうですから、本格、ってヤツですか?トリックは今までにない斬新さがあったとは思いますが、そう素直に解釈できないところが、海千山千のオバサンで、早い話がトリックよりも人のココロを読みたいわけです。亡くなったミステリー作家の究極のトリックを餌(!)にミステリーの館に招待されるモニターたち。謎解きは上手だけど、どうも好感が持てない女子高生や彼女たちに振り回される情けない主役・・ それに、最後も、あれ?それだけ?って思ったのは私だけ??ちょっと相性はよくないかも、です。( 7月 22日)
新参者 東野圭吾  東野さんに向かうときは、今回はどんな文体だろうと、けっこう恐くもあります。相性が悪くて途中で投げ出してしまうのもありますから。ところがこれはどっぷりツボでした。加賀恭一郎は、他にも読んでいるはずですが、この一つの殺人事件を巡って新しく赴任した人形町の煎餅屋さんとか時計屋さんとか、玩具屋さんとかを周りながら、人の優しさで疑問を解決してゆく・・・これも連作短編です。とっても嬉しくなれる作品で、これは東野作品の中でも、私には一番かもしれません。( 7月 15日)
チルドレン 伊坂幸太郎  常識じゃありえないでしょ、思うのにとっても潔くてかっこいい、人として外れていそうな陣内をとりまく連作短編集ですが、とっても面白いです。家裁調査官になる前の学生の時の一こま、調査官時代の子供と向き合う、また同僚に語る、上司に刃向かう(?)言葉に、感じ入っていまいますなぁ。視力障害の友人もまた、洞察が深くて、大受けですよ。小説ですもの、これくらいばかばかしくも楽しくなくっちゃね♪( 7月 5日)

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