最近読んだ本です

(’10 7〜12 )

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終末のフール 伊坂幸太郎 隕石が落ちて人間が消滅するまで3年、発表されて5年の仙台の団地に住む人たちの連作短編集です。 まったく意識せず同時に借りたのですが、↓死を目の前に据えた短編ということで、気持的には被ってる感がありまして、もう死を常に感じながら生きる年齢になったんだな、なんて思ったりもします。現実に最後の時期を人類が知らされたらどう動くのか分かりませんが、それぞれリンクしている家族や人間関係、とても面白かったです。( 12月 25日)
天国旅行 三浦しをん 心中を描いた短編集ですが、そんなにどろどろと重くはありませんでした(ドロドロで苦手な作品も一つだけあったけれど)。 特に新盆に現れた幽霊さんの話は、とても柔らかくて嬉しくてきっちり二回読みました。比較的あっさりと楽しんで読めたし、心中というよりは前向きに生きる話のような気がして、よかったです。( 12月 20日)
リアル・シンデレラ 姫野カオルコ シンデレラ物語に納得できない筆者が、倉橋泉という一人の女性の生涯を沢山の人を取材して描くことにした、なかなか後味のすばらしい作品でありました。諏訪の小さな旅館で生まれ、虚弱で美しい妹と比べられたり、大人達にはその性格をなかなか理解されなかったり、いじけそうな境遇なのにまったくそういうこともなく、何事も善意に受け止め前向なんですよね〜〜 大人になってからも、両親や妹たちの俗物ぶりとは対照的に、周囲の思惑も気にもせず、不幸に見えながらすっごく幸せな人。やっぱり最後は泣いてしまいましたよ。身内は理解していないけれども、本当に彼女を敬愛してる人も周りにはけっこういて、その独特の魅力をもっともっと発揮して欲しかったと、魅力的だと思っている人もたくさん居たことを知って欲しかったなと。気持が綺麗になれた気がします。( 12月 8日)
聖女の救済 東野圭吾 ガリレオシリーズですが、容疑者Xは挫折したのに、こっちはどっぷりはまってしまいました。私も一応女性の端くれなので、殺された男性の周囲の女性達にはそこそこ感情移入してしまい、トリックは湯川博士ではないけれど「絶対ありえない虚無数」で、こんなんできるワケないべと思いながら理解はできるし、むしろよく頑張ったね、と犯人に感じてしまった。それも犯人側から描かれて、捕まらないでと願うパターンじゃないのに、だ。私はこの程度の恋愛小説が一番好きなのかもしれないな。( 12月 6日)
薔薇の流転

 

加藤元 昭和一桁生まれの大女優の生涯を、時代の流れに沿って淡々と描いていますが、まったくのフィクションなのにいかにもそうであったろうと納得できてしまうんですね。ファンタジーSFミステリー読みの私としては、こういうタイプの読み物をこんなに面白く一気読みするとは思いませんでした。でも清純派女優とはいえ、生まれも育ちも清純はなく、女優になったらなったで、血縁やらしがらみやら引きずってるし、なかなか楽じゃぁないもんだ、と。でもこの大女優千鶴と、腹違いの妹鈴の関係、ずっとずっと最初から最後まで独特なんですけれど、惹かれ合い、嫉妬し合い、無視し合い、でも互いの中でとてもとても大きいのです。この二人の関係があるから、単なるゴシップ本にならなかったんですよね。 ( 12月 2日)
塩の街 有川浩 相川氏のデビュー作ですね。人が塩になって死んでゆく世界での女子高校生と自衛隊員との恋と、彼らを通り過ぎる人々の想いを描いていますが、やっぱり面白いです(^^;ゞ あんまり恋愛な部分は得意ではないけれども、恋が世界を救っちゃうというかなり強引な内容も、するすると納得するし、番外編もとても楽しく読めました。このまま行くと、結局図書館戦争も全作品読んでしまうのかなぁ〜〜 う〜〜ん( 12月 1日)
神去なあなあ日常 三浦しをん おんもしれぇ〜〜〜\(^\)(/^)/  「風が強く吹いている」では、んなこと絶対ないべ、と思ったし、けっこう挫折とかが好きじゃないので(あまりにも自分が経験してるので読みたくないんだよ)大丈夫かな?と思いながら手にしたれば、これは林業やら山やら畑やら田舎やら==== だって私、枝打ちも下刈りも、林の手入れしていたもん、夏の暑さも緑の匂いも、すっごく知ってるもん!!! でも全然それだけで終わらないのがこの神去の山や祭りなんだす。高校卒業と同時にこんな田舎に放り込まれた勇気クンの、林業や村の人たちや恋や祭りや・・ ま、現実ではこんなに調子よくはいかねぇべな、と思いつつも、すっごく気持がよくてアホで共感できて、嬉しくて応援したくなりました!!祭りには燃えたぜ!勇気がんばれ!直紀をヨメにもらえよ!!!( 11月 25日)
ライトジーンの遺産(下) 神林長平 文庫版の 3編からなる下巻です。 「ヤーンの声」は、声帯が崩壊して人工に代えた歌手の話ですが、ミーハーの私は歌い手とファンのそういう関わり方に胸がドキドキするほど嬉しい話だったし、最終話のコウとMJが狙われる話、けっこうキツイ。そうきたか、それにはそうきたのか、とたたみ掛けるようなどんでん返しの連続〜〜 こういう作品がもっともっと読みたいもんです。( 11月 18日)
赤朽葉家の伝説 桜庭一樹 面白いっ、びっくり(◎_◎) サンカの血を引く千里眼万葉、族のアタマで漫画家に転身した毛鞠、ニートの瞳子、旧家、赤朽葉家の三世代の女の生き方と1943年からの世の中の動きに、1955年生まれ、ど田舎育ちの私はなんとも言われない共感を感じながら、けっこう笑いながら最後は泣きました。だいぶ非現実的な話ではありまするが、ファンタジーやSFではなく、微妙にミステリーも含めた現代歴史小説であります(って断言していいのか?)。とりあえず、あまりの面白さに一気読み、ってことで。( 11月 14日)
魔性の森 柿沼瑛子 暗く深い不思議な森の側にある学生寮に残った二人の男子高校生と季節はずれの新入生。航空機事故で両親と弟を亡くしている康生は、その新入生との出会いで抑えられていた力を解放する〜〜   翻訳家さんの初の長編だそうですが、ごめん、あんまり面白いとは思えませんでした。キャラもありきたりだし、ストーリーもありがちだし。もうちっとスケールの大きなモノが希望ですぅ。

そして今日はこの更新の時に本年の4月から6月分のページを消してしまいました。索引に題名だけは残っていると思いますが、どれかは特定もできません。あ= ショックです・・( 11月 9日)
キケン 有川浩 成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」まぁ大学のサークルなワケですが、男の子ばっかりの部活ってこんなん??ってあきれ果てながらなので斜め読みです、ごめんなさいま、一話ごとの締めにあるご夫婦の会話と、最終話の現在のキケンに惹かされてなんとか読みました。私、意外と相川 さんて苦手なのかなぁ・・( 11月 2日)
 鬼九郎孤月剣 高橋克彦 やったらかっこよくストイックな鬼九郎、生みの親に逢うために仲間達と江戸から京都に向かうのですが、それを阻止しようとする乱麻などの敵、敵、敵〜 とにかくすんごいチャンバラぶりと策略と、金と男気入り乱れて、誰が敵やら味方やら・・ でも最後の何ページかの生みの親との再会では、ぶっ飛ばさせていただきました。小説だもの、これくらいじゃないとね(^m^)( 10月 29日)
死闘館 伯方雪日 旅行先のニュージーランドの森の奥にある日本式家屋初 で、格闘家の友人の家族が次々に死んでゆく〜〜 第二次世界大戦で南方の戦地で捕虜になった日本兵の過去も絡まり、格闘技やら遺産相続やら、けっこうなバイオレンスかと思ったらそれほどでもなく事件が解決いたします。城島刑事、けっこう屈託がありますが、私の趣味としては苦もなく楽もなく・・と言ったところでしょうか。( 10月 23日)
魔法使いの弟子たち 井上夢人 初めての作家さんですが、すんごいスケール(◎_◎)。 ドラゴンウィルスによる竜脳炎で生き残り、そして超能力を持っちゃった3人から話は始まるのですが、その能力を認め犯罪者扱いする警察やら、その一人が乗り移っちゃった猿やら、空を飛ぶやら完全防衛のカラダやら、と〜っても動きは大きいのですが、なんだかだんだん暗くなって収拾がつかなくなってしまうんですよね・・・ で、最後があれ。少しは救われたかな?逆だったのかな・・・( 10月 20日)
オー!ファーザー 伊坂幸太郎 4人の父親を持つ男子高校生。 それも全員同居しているのだわさ。そして我が息子が可愛くてしょうがないことだけは共通しているけど、他はみんな個性的!そこに同級生たちやらちょっと恐いオジサンやら知事選挙かんぞが絡んで、なかなかコワモテでもありましたが基本的には大笑いであります。( 10月 16日)
モルガナの鬼―千の顔を持つ男〈5〉 六道慧 毎度お馴染みの3人、今回は能楽師の御曹司に依頼されて鎌倉へ。落とした相手は安倍晴明と葛の葉ときたもんだす。ま、その裏にはもっと恐い鬼さんがいますがね。とっても面白いキャラとストーリーなんだけど、ちっとばかしお品が下って、いっそエッチ本ならそれはそれでそういう読み方をするんだけれど、いつもそこが悔しいのよね〜 縁切り屋シリーズもあるので、見つけたらまた買いますけどね(^m^)( 10月 10日)
未来視たち 大原まり子 シリーズ短編集なのですが、う〜ん、難しい。 超能力家系のシノハラと宿敵コザイの末裔たちのロミオとジュリエットみたいなもんですが、時間は飛ぶ、設定は変わる、シリーズなのに名前が変わってるから本人と気が付かない・・ けっこう難解でありました。いったい二人はなにを目指しているのでしょうか?( 10月 1日)
ZOKURANGER 森博嗣 え= なんとしましょう。大学の研究環境改善委員会には、色違いのユニフォームとフルフェイスのヘルメット、そして訓練がある(らしい)のです。5色のシリーズ短編、イエローであるところのロミ・品川の一作目には大笑いしましたが、だんだん妄想が移ってきちゃって・・・( -_-) 大学の教授さんたちは、そうやって研究費を頂くというのはなんとなく分かりましたが、う==やっぱりピンクや黄色や赤や青なんかのユニフォームは必要なんでしょうねぇ。はい、なんとなく納得されました・・( 9月 20日)
彼女について よしもとばなな 母親が双子のイトコの男女の、過去を眺める(または振り切る)数日の旅の話なんですが、信じられないくらい暗い過去を、とても柔らかく優しく、その会話や部屋や庭や食事やコーヒーの香りなどで癒していくのに、でも、最後はあんまり昇華されなかったかも、私は。由美子や叔母さんはそうじゃなかったことが分かったけどね。ばななさんの、心の底に沈んだ切なさを揺り動かす言葉はいつもの通りだったのに、あまり幸せになれなかった・・ ごめんなさいね。( 9月 18日)
パラドックス13 東野圭吾 どうでるか分からず、自分の好みには当たりハズレの多い東野氏ですが、う〜ん、これはどうだったのでしょう。宇宙からの影響で、13秒間時間がジャンプしちゃう瞬間に命を落とした者達13人が、(パラレルワールドの)人間も動物もいない災害だらけの東京で生き延びるお話ですが、パニック映画の映像を見ているようで目は離せませんでした。偶然にも警視の兄と来てしまった巡査の弟の目線で描かれてしますが、母子やら、ヤクザさんやら、会社の上司と部下やら看護婦さんやら老夫婦やら女子高生yら、この13人の目線というのが実に様々で、それはとても面白かったです。で、最後は。。うーん、私は小説の中くらいはあり得ない幸福感に満たされたいもんだといつも思って、それで読むのですけれど。( 9月 15日)
霧笛の余韻 森村誠一 実はこのサイトを立ち上げてから初めての森村氏です。以前に何かの作品を苦しくて読み進めず、それ以来近づいていなかったのですが、町の図書館でなかなか読みたい本に出会えず、苦し紛れに(^^;ゞ 牛尾刑事はテレビで見てるので、そんなに辛いことにはならないと思ったのですが、う==ん、やっぱりこういう設定は苦手でありました。 最初から刑事が事件を追うんじゃないですもんね。それに女性観とか恋愛観にズレがって、面白かったけれど当面は読まないような気がしますごめんなさい。( 9月 10日)
死神の精度 坂幸太郎 初めての作家さんですが面白かったです。主役は死に神なのに普通に現実的な短編シリーズで、死に対する意識が思いの外重くなくて、そんなものかもしれないと改めて思ってみたり。雨男の死に神は仕事で人間の死を見届けるワケで、そのつど容貌を変えていますが当人ですよね。それが人から見ると時間を超越しちゃったりしていて、シリーズの最後にはちょっと笑顔が出たりします。みなさん、いろいろな物を書かれるんですねぇ。( 8月 30日)
ライトジーンの遺産(上) 神林長平 文庫版の上巻です。人間の手足や臓器などが壊れてしまう病気が蔓延している未来世界で、臓器会社のライトジーンがその技術で作った人造人間、菊月虹が、その移植がきっかけで起きる人間の事件を刑事と一緒に解決していく短編集なのですが、これが面白い!!いつもは上下巻まとめて感想を書くのですが、もったいなくて下巻はしまって置くので、上だけ(^^;ゞ 人造人間で、おまけにテレパシー能力のある菊月ですが、これが実に普通のハードボイルドなオッサンで、説得力はあるし、酒が大好きな設定なので、酒談義も納得できる(^m^) 同じ人造人間の兄が今はオンナで年下になっていて、関係がまた微妙なのですが、それも面白いです。下巻も楽しみ〜〜( 8月 12日)
植物図鑑 有川浩 恋愛小説としては、やっぱり苦手なくらい甘甘で見え見えなのですが、こと、決して都会の子でない私 (^_^;)\('_')、山野草を食べるのがこちらの定番となれば、採取法、料理法、お味・・を試みるラブラブな二人の行動ってのが、なんともテンションが上がりました。こういう部分がなければ、やっぱり私には恋愛小説は無理ってもんです(^^;ゞ( 7月 27日)
ハッピー・リタイアメント 浅田次郎 なんにも仕事のない天下り組織に転職となった元財務官僚と元自衛官が、ない仕事を働いて、ないはずの大金が転がり込んでくる〜〜 庶民感覚でもなかなか共感できて、もしやノンフィクションでは?と思うくらい説得力がありました。きんぴかのノリでたいそう面白おかしかったのですが、最後は、う==ん・・ でも今度は民間人となって、また元気に働けばいいだけかな?とりあえず元気は出ました(∩.∩)( 7月 22日)
教室の亡霊 内田康夫 ということで、引き続きアサミストです。これは教員採用と県の教育委員会のトップとの癒着、今時のモンスターペアレンツのことなんぞを踏まえての、殺人事件であります。今回は陽一郎さんは一度も出てこなかったな。(光彦の回想だけ) いろいろな立場のオトコたちの生き方、心情なども際だっていて、なかなかでございました。( 7月 15日)
神苦楽島〈上〉〈下〉 内田康夫 新興宗教、政治家、超能力者、殺人事件〜〜〜 秋葉原で女性の死に立ち会ってしまった光彦さん、淡路島でも兄の権威(?)をフル活用で、合同捜査でパネラーになったり、実行犯たちが神と思っている教祖様や陰の実力者である大物政治家と直接合って、同等に渡り合うあたりはムハハとこちらも高笑い。なにはともあれ、その宗教自体が悪の根元、というわけではなかったことにホッとしました。( 7月 5日)

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