最近読んだ本です

(’09 10〜 12)

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氷結の魂
〈上〉
〈下〉
菅浩江 神と人、愛の強さ、なんぞのテーマを大好きな菅さんがファンタジーの世界で描いてくれました。怠惰であるが癒しの花(火)の神と冷徹だけど行動力のある氷の神、その中で振り回される人である心の持ち主たち。すべてが吹雪吹きすさぶ凍えそうな世界での話なのに、私はそれを吹雪吹き荒れる駐車場の車の中で、エンジンも掛けないでぶるぶる震えながら読んでいたもので実に実感が沸くヘ(__ヘ)☆\(^^;)  戦いの場面が多くて、けっこうしんどくて寒かったのですが、最後は、ま、ハッピーエンドってことで(^^;ゞ ゼス王子の愛すべきキャラや、ヴェルの潔さとリアチェの一途さ、他のたくさんの登場人物たちも、それぞれに納得できて、やっぱり菅さんは好きです(^-^)( 12月 21日)
桜闇
〈建築探偵桜井京介の事件簿〉
篠田真由美 「二重螺旋」の建築物を扱った4作品をはじめ、蒼と京介のモノローグに深春や神代が色合いを加えたような10の短編集でしたが、彼らの出会いの頃や、成長した蒼の心情、京介のちょっと危な絵まで想像しちゃって(あんまりするなよ)なかなか読み応えもあり、目も回りそうな作品集でした。なんか、すっかりオトモダチの気分でいる私ですが、彼らの女友達って通り一遍ですよねぇ( 12月 8日)
鳥姫伝 バリー ヒューガート アメリカ人が描いた中国を舞台にした壮大なファンタジーでありまして、最初はかなり入り難く、大人向けの描写もあり、どんなお話しかいなと思ったら、いたいけな病気のこどもたちのため絶対君主に立ち向かう十牛と老賢者李高が宝石やら異形の怪物やら笑顔の愛くるしい役人の妻やら、と関わっているうち、最後はとんでもない規模の願いが果たされるというような話で、大喝采でありました。う==ん、でもシリーズものなのね・・あぁ、残りを手に入れたい。。。( 12月 5日)
四日間の奇蹟 浅倉卓弥 指をなくしたピアニストと脳障害障害のある少女千織がピアノ演奏をしながらあちこちを慰問してあるくのですが、山奥の病院施設での事故でスイッチがおきちゃって、施設の職員の真理子が千織りの躰を借りて、その人生や想いを語ります。そういう話だと思っていなかったので移魂にはびっくりでしたが、端からみればそれぞれ悲運な3人が、そうやって魂で繋がることで昇華し読んでいる私にも幸福感をくれました。音楽と山や太陽、夜空の星、そういうものがまた、人の心以上に大きくこの物語を包んでいて、いい小説にあたったと思いました。( 12月 2日)
月蝕の窓
〈建築探偵桜井京介の事件簿〉
篠田真由美 京介、一人で月映荘で殺人に遭遇です。 蒼がいないし、深春も後半にやっと駆けつけてくる状況だったので、桜井京介の意味深の過去と、鬱屈した性格が前半ずっと続くので、本当にこの子(??)は一人じゃ置いておけないな、と思うオバサン。茉莉の心の壊れ方綾乃神秘が、ま、謎解きで解明するようには見えますが、ちょっと心が残ったりします。それにしても京介の過去っていったいなんなんだ??というのをず==っとひっぱったまま、最後まで教えてくれないのは、後の楽しみでしょうか?( 11月 25日)
センティメンタル・ブルー 蒼の四つの冒険 篠田真由美 蒼のお話です。 まったく病的に自閉していた頃から、高校の友人達との出来事、そのあと大学での青年蒼、本名(?)も出ていますよ。京介や深春はほとんど邂逅の場面にしか出てきませんが、友達ともちゃんと仲良く遊んでいて(?)ほっとしましたです。( 11月 20日)
鍵盤帝国の劇襲 難波弘之 音楽がバックボーンの不思議な短編集7編です。一作目の「わらし’90」はギョーカイに出没する、誰もが知ってる気がするのに実在しない人物で、題名が言い得て妙で笑っちゃいました。音楽家でSF作家さんで、ちょっとホラーっぽいし、ハチャメチャだし、なかなか楽しかったです(11月9日)
魔術の殺人 アガサ・クリスティー マープルおばさん、友人の頼みで彼女の妹の家へ赴き、友人の感じた「変な雰囲気」の招待を探ろうとしているうちに殺人が起きちゃうのですが、犯罪歴のある子供達を援護している大金持ちのその家の入り組んだ人間関係とか、それぞれの個性とかがなかなか濃ゆくて、犯人はちっとばかし納得できない(伏線というのか、前半が全部それを否定していたからね)最後ではありますが、どの人もみなあっぱれ!というような性格でした。(11月5日)
疾走!千マイル急行(上下) 小川一水 小川氏の作品が読みたくて買ったのですが、イメージが違いました。自国の科学の粋を集めた豪華寝台列車に乗り込んで出発したセレブたちと4人の子供。でもそのあと国は他の国から滅ぼされ難民となり、子供達がメインとなり新しい国を立ち上げて行こう、という大変重たくて壮大なもの語りの、始まりの部分が描かれています。戦いの場面が多すぎてちょっと辟易しましたが、最後はみんなの頑張りが報われたことが嬉しくて泣きました。ジュブナルだけど、だいぶしんどいぞ==(11月1日)
十日間の不思議 エラリイ・クイーン 大学時代の友人の記憶がなくなる・・ってんで彼の家で彼を見守ることになったエラリィーですが、その家には彼の父親と叔父、継母がいましてその人間関係のなんともかんとも・・・暗いです。犯行の動機もさもありなんと思いつつも結果まったく救いようがないです。やっぱり不得意な作家さんなのかなぁ(10月25日)
最後の女 エラリイ・クイーン え〜〜 お金持ちの友人が前妻3人と弁護士のとで遺産のことで話している夜に殺されちゃいまして、またしても側にいたエラリィーですが、遺産の奪い合いのごちゃごちゃはともかく、真犯人とその動機は男性作家ならではの書き方なのかなぁ、とちょっと悲しくなりました。こんなんで殺したり、自死しなくちゃいけないなんて、人の世の中、辛いです・・(10月22日)
幻詩狩り 川又千秋 言葉が意志の疎通だけでなく時空を動かしちゃうって、だからSFなのでしょうけれど、最初はすっごく引き込まれたけど、そういう現象を高見から見てる感じがね、登場人物個人への愛情はない書き方みたいに感じて、どっちかというとタイプじゃなかったです、ごめんなさい。(10月19日)
ガニメデの優しい巨人 ジェイムズ・P・ホーガン  なかなか時間は掛かりましたが読み終えました。「星を継ぐもの」の続編です。前作は月の謎でしたが、今回は遺伝子工学ってか(;^_^A 人類より遙かに科学の進んでいるガニメアンと実際に未知との遭遇をやっちゃったんですが、ほんとに優しい種族でね、迎え撃つ地球人もひたすら歓迎ムードだったので、読んでいて幸せでした。人類の進化のメカニズムもよくもここまで大ぼらコイタ (^_^;)\('_')というか。ガニメデの宇宙船とか搭載されている超スーパーコンピューター(これもいい性格してるのよ)などゆえ、物理の講義もたっぷりでしたが、そのあたりは理解できなくても許してね(;^_^A こりゃ絶対に「巨人たちの星」も手に入れなくては・・(10月 16日)
アルゼンチンババア よしもとばなな 昼休み半分の時間で読めてしまうけれど、古くて汚いビルに住んでいるアルゼンチンババアが、妻を亡くしたみつこの父と、そして自分や従弟たちをどんどん受け入れ肯定してくれるさまが、とっても読んでいて気持よかったです。受け入れ方だって半端じゃなかったんだぞ== 墓石屋だった入り婿の父親がそのビルの屋上で作る元妻の為のイルカの墓石や、今の愛しい人の為の曼陀羅ができあがっていくさまもまたいいのですよ〜(10月11日)
ひな菊の人生 よしもとばなな ダリアとひな菊。幼い頃に別れた親友だけど、その繋がりの深さは鮮烈です。父を知らず、母の死を幼い時に目撃しているひな菊は、叔父さん叔母さんと暮らしながら、でも全然卑屈じゃないし、強がってもいないし、そういう今の家族の距離感とか、仕事に対するとらえ方とか、とっても揺るぎなくて、その合間に蘇るダリアとの思い出、普通なのに気持が綺麗になっていく気がしました。(10月10日)
進め、見習い魔術師!―マジカルランド ロバート アスプリン なんだかんだと二作目も読んでみましたが、魔術師(の卵)のスキーヴはなかなか好青年で性格もよいし、お師匠たちお馴染みの面々も嫌いではないのに、読むのが大変ε=(/。\;) 今回は宮殿のお抱え魔術師に師匠の入れ知恵でなんとかなったはよいけれど、戦いの最前線で勝たなくちゃならないのでした〜 でも流血の戦闘は一つもなくて、またしても口八丁で乗り切っちゃう。でもこれは戦争の現場での戦略や駆け引きの話みたいで、だいぶ苦手でした。( 10月 7日)
よろずお直し業 草上仁 大好きな草上氏の人情ファンジー(??) 見えない指でネジを巻き、壊れたものの時間を遡らせる直し屋の連作集です。ヒビの入った石像をなおして夫婦の仲を戻したり、壊れた酒の壺をなおして親子関係を考え直させたり・・ こってり人情ものなんですよ。特に最終編は記憶も(本当は命も)ない自分がこんな仕事をしている意味を、とても暖かく容認する内容で、読んでいて幸せになりました。( 10月 3日)
エルキュール・ポアロ
―世界の名探偵コレクション10〈4〉
アガサクリスティー ポアロ物の短編集ですが、やっぱり読んでいました(^^;ゞ イギリス首相の誘拐とか、日常の癖を人が変えることの意味とか・・ 中に後(?)に長編で読んだと思う(思う程度なんだけれど( -_-) )も作品もあり、随分たくさん読んでいて、その度に面白いとは思うものの、自分の記憶力の悪さにはうんざりかも・・(ま、だから何度再読しても面白く読めるんだけもさ)( 10月 1日)

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