最近読んだ本です

(07’10〜12 )

   (07’7〜 9 )                                     HOMEへ

とっぴトッピング 横田順弥 絶対に英訳できない日本語のことわざ落ちの順弥氏の15のSF短編集です。本気で留守番をしてくれる未来からの電話とか、あんまり深く考えないで流して読むには気楽な一冊。3時のおやつのノリでどうぞ。( 12月 28日)
ラブレター 岩井俊二 大好きな日本映画のノベライズですが、小説もよかったです。もう過去のことになって取り返しはつかないことだけれど、「藤井樹」の少年時代が、もうひとりの「藤井樹」のこれからの人生に、ほんわりとした暖かさを与えてくれたのではないかと思います。生きてる人は、できる範囲で幸せにならなくちゃ!(^−^)( 12月 22日)
狂桜記 栗本薫 最近の栗本作品はえっちに走るから怖いと思いながら、ま、大正時代の古い家のおどろおどろしさ、お金持ちの人種の考え方生き方なんぞがメインで、それなりに引き込まれました。結局は幸せな人が出てこなくて、不幸のさまざまな形を、栗本さんの言う大正ロマンの色合いで色づけしながら描いた・・というか。人は幸せに生きるべきだと思うのですけれど。( 11月 21日)
赤緑黒白 森博嗣 Vシリーズだというのに、これは面白かったです。殺した相手をスプレーのペンキで赤や緑に染めていく犯人。だけどやっぱり犯行そのものよりも、林を囲む二人の女性のあり方とか、保呂草の生き方とか、殺人と全然関係ないところで、なんだか人生に飽いているみたいな、ふわふわとテキトーに生きていける頭の良さみたいな、酒とたばこででできている人間たちのような、そのスタンスが好きなのですよ。いや、別に不真面目なわけではないのでしょう。だけど真剣に一心不乱に生きられない自分、という気持ちもとてもよくわかるので。( 11月 16日)
黒猫館の殺人 綾辻行人 中村青司の館もの、あらま、これってまだかも〜〜 とずっと読み続けたら、あれれ、もしかしてこれが綾辻氏との出会いの一冊だったかも、と思い出したようなそうじゃないような(^^;ゞ 記憶を無くした老人のメモを参考に、彼が管理人をしていたという別荘を探す鹿谷門たちですが、でもシリーズを読んだことで最初の印象とはずいぶんと違いました。最初はなんだか殺人という行為がやけにお手軽な意識で扱われてる気がしていたのですがね。( 12月 13日)
ショートショートの広場 16 阿刀田高編 星大先生亡くなられて、阿刀田氏が引き継いだのですね。アマチュア作家さんの短編集は、すべてに解説がついて面白かったです。小説って、書くのも十分に楽しいことですから。( 12月 10日)
8ビットの魔術師 東野司 ミルキーピアシリーズですが、これ、面白かったですよん。ネット潜りは当然ながら、そのネット環境がとんでものタイムトラベル。過去にさかのぼり小さな自分を背中に背負い、もっと過去での若い女性との出会い。それがぜ〜〜んぶ今につながっているという、ちょっとパラドックスもんでしょ、というネットの歴史満載の一冊でありました。( 12月 6日)
海のふた よしもとばなな 今は寂れてしまった避暑地の町で、二人の娘が好きなことをやり続けることや気持ちの合わない人たちとの折り合いの付け方なんかを、海と松林と砂と風と光や夜の中でじっと考えるでもなく想っている・・ 言葉や文字を超えた澄んだ空気や色合いに満ちているのは、やっぱりばななさんだからでしょうか。二人とも、きっとすてきな女性になります、それがわかる小説でした。いつも気持ちを綺麗にしてくださってありがとう。( 12月 4日)
日本列島七曲がり 筒井康隆 こりゃ、やっぱりPTAのみなさんがお怒りになって当然でありましたね。当時の私は、別におもしろけりゃいいじゃん!と思っていましたけれど。どうしてもえっちに流れるのは、当然筒井さんが若かったからでありましょう。エネルギーが満ちあふれておりました。( 12月 3日)
最後のディナー 島田荘司 御手洗シリーズなれど、石岡と里美の横浜物語、みたいな3つの作品集です。二人の友人となった老人との最後のディナー、それでもふたりがいたことで報われたのではないかしら、と思いました。社会的弱者の人たちを時代を超えて描いています。( 12月 1日)
下妻物語 嶽本野ばら 映画がやたら面白かったので、原作本を〜 と手に取ったれば、はい、映画以上でありました。桃子のうんちくにも受けるし、やばい場面も重過ぎず、ひたすら大笑いいたしました。ある意味、今の時代のつるみたがる若者たちとは違う、孤独でも自分を貫くという姿勢、とても共感しましたデス。( 11月 30日)
イルカの島 アーサー・C・クラーク これはSFというより、今も起こっていそうな、人間とイルカの交流の話です。海を漂流中にイルカに助けられ、イルカの研究所のある島につれていかれた少年が、そこで育ちながら将来をイルカや、海や、人というものを含めて考えて歩き出す、希望に満ちたお話でありました。( 11月 27日)
ウエディング・ドレスに紅いバラ 田中芳樹 初めての田中作品、柔らかめなウエディングドレスの表紙のものを〜σ(^◇^;) と選んでみましたれば、先天的吸血鬼さんたちが組織をつくり後天的で、人を襲う吸血鬼さんと戦う、というお話でありました。やたら明るくて元気で、だけど、そのメンバーたちそれぞれがなかなか味があって面白い。ほかの作品も読みたいです(∩.∩)( 11月 24日)
椿山課長の七日間 浅田次郎 デパートのバーゲン初日に過労死(?)しちゃった椿山和昭46歳は他の二人と一緒に別のカラダを貰ってやり残したことを果たすためこの世に戻ってきたのですが〜〜 ハチャメチャ人情物語で、お役所化した閻魔大王(は出てこないけど)の裁きには大笑いしたけど、小役人だったの椿山の父親の生き方、死に方、正義感と存在感には圧倒され、泣かされました。面白かったよ〜〜〜〜〜( 11月 21日)
つかのまの間奏曲
(インターミッション)
―ミルキーピア物語
東野司 ミルキーピア物語ってちょっと興味があったのですが、コンピューターの疑似世界の中へ意識だけ潜って、そこから出られなくなった別の意識体を助けるお話ですが、恋あり、仕事の悩みあり、海あり、酒あり、擬音とみかん(?)でコミックを見ているよう。ちょっと疲れてしまったかな。ごめんね、片山秀人くん。( 11月 17日)
二十四羽のつぐみ アガサ クリスティー ってことで、再読なれど本家の短編集です。続けて読むとイメージは重なるけれど、恋愛の絡み方がクリスティーならでは。やっぱり女性向けなのかも知れません。( 11月 17日)
クリスティーに捧げる殺人物語 ティム ヒールド(編) クリスティーを愛して止まないイギリスのミステリー作家たちのアンソロジー。13編、それぞれに個性的でありまして、ポワロやマープルが実名で登場するもの、暗示するもの、まったく関係ないミステリー、あげくは大どんでん返しの犯人もあって、楽しみました。(だけど、やっぱりホンマモンがいいよなぁ・・)( 11月 11日)
華胥の幽夢(十二国記) 小野不由美 シリーズでお馴染みのみなさま主演の短編集です。しっかし、↓を読んだ後では、王と麒麟の蜜月だった時代の逸話を読んでも、切なくなるばかり〜〜 新米王の陽子と大学生楽俊の文のやりとりにはちょっと嬉しくて悲しくて、頑張るべぇって想いももらったけれど。
いずれ十二国記は発売されているものは全部読んでしまったのね。題名が分かりにくいせいで、実は六冊も重複買いしてしまいました。う〜 アホです・・( 11月 10日)
黄昏の岸 暁の天
〈上下〉
(十二国記)
小野不由美 風の海 迷宮の岸」で蓬莱から戻った泰麒だったけれど、戴国から引き離され、行方不明になってしまいます。その所在を探り連れ戻すため、陽子たち始め、他の国の王と麒麟たちが協力するのですが、重いです、暗いです・・ そして泰麒が蓬莱にいた時の話が「魔性の子」なんですね。読んでいて、なかなか苦しくて、続きはまだ出ていないみたいだし、どうしてくれるのよ!この気持ち!と言ったところ〜( 11月 9日)
図南の 小野不由美 これは蓬山へ昇山する十二歳の少女の話です。 いいとこのお嬢様だけど、王の不在が長い恭国を憂い、家出して黄海を渡るのですが、妖魔ひんぴんの黄海ですからね。だけどちゃんとその苦難を自分のものにしていくの。鼻っ柱が強くて、頭がよくて、それぞれの立場に立って物事を考えられるそのあたりが可愛いのよねぇヾ(≧∇≦)〃 やったぜ!という一冊です(^.^)( 11月 5日)
風の万里 黎明の空〈上下〉(十二国記) 小野不由美 「月の影、影の海」で慶王になった陽子だけど、政が分かるわけでなし、宮使たちに軽んじられて、景麒とはあまり相性がよくないし、お忍びで慶国を見学にでかけたんですな。そこで出会った鈴と祥瓊という少女たちもまた、けっこうな重さを抱え込んでいたわけで、結局あれやこれやと、悪辣お代官様(って身分は慶にはないけど、お偉いさんね)をやっつけましょう〜〜 ってことになった、と書いちゃあまりに軽いか(ーー;) とにかく、陽子は逞しくなりました。まだまだ迷いの最中ですが信じられる仲間を得、王としても覇気も持ち、いい器になりつつあります。雁のペアのようにはなかなかいかない景麒との関係が少し寂しいけれど、読み応えはありましたよん。( 11月 4日)
風の海 迷宮の岸〈上下〉( 十二国記) 小野不由美 これは麒麟の誕生のお話で、蝕のため蓬莱で10歳まで育った少年が蓬山で成長し戴国の王を決めるまでの葛藤を描いているんだけど、他のように妖魔との激しい闘いとか政治的な争いとかがなくて、とても読みやすいし、とにかく泰麒がかわいいのぉ〜〜ヾ(≧∇≦)〃 下巻で王を選びながらも天啓がなかったことを悩み苦しむ泰麒を景麒といつもの(?)雁のペア(!王と麒麟なのに!)尚隆と六太が助けてくれます。あの取り澄ました固い景麒も今回はけっこう熱くて、嬉しい作品でした。( 11月 1日)
鏡の中の世界 小松左京 本棚から引っ張り出した文庫ですが、おっもしろいですよねぇ〜(^m^)ちとえっちに走る傾向の作品が多いのもまた、当時ということでしょうか。作品の内容もさることながら、左京氏、筒井氏、星氏の作品を出版されるとすぐに買い込んで読みあさっていた当時が懐かしいです。( 10月 29日)
ホロー荘の殺人 アガサ クリスティー その家のプールで死んでいた医者の夫と拳銃を持っていた妻。 たまたまその場に居合わせたポアロはその殺人だけでなく周囲の人々がどこかおかしいと感じるのです。が、これ、今までない雰囲気で意外と読みづらかったです。重いのですよ、人の心が。まるで京極さんとこの関のごとき重量級で、その重さゆえか、ポアロは知り得た犯人を告発しようとはしなかったのでした。このころの女史は、何か辛いことがあったのでしょうかね。( 10月 29日)
ベクター-媒介 ロビン・クック ソ連出身のユーリがアメリカのテロ組織と手を組んで炭疽菌とボツリヌス菌を製造し、恨み渾身のニューヨークにばらまいてやろうと、手始めに炭疽菌で殺した毛皮業者を監察医のジャックが検死することからまたややこしい追い駆けっこが始まるのでありました。テロの驚異は田舎モンの私にはピンときていないのですが、今の世界情勢、確かに侮れないことが多いのでしょうね。水際で止められた(のかな?本当は)最後、胸がすく思いがしました。( 10月 23日)
過負荷都市 神林長平 創壊士ちゅう仕事(?)がまた難しい観念なんだすワ。人間が自己を創造する世界での、中枢であるべきコンピューターが実は形のない想念の集まり・・みたいな。何かに囚われているのだけれど、個人によって皆違い、だけどなんとなくつじつまはあっているような多次元のような〜 想像力が追いつかなくて難解でありました。深く考えなければそれは勢いだけでも面白かったのですが。( 10月 18日)
斃れし者に水を 渡辺容子 いや、濃いです。不倫相手が糖尿病で入院するために、付き添い婦見習いになって病院に寝泊まりしながら、その不倫相手が犯人かもしれない殺人事件の謎を解こうという真澄ですが、病室の患者さん、付添婦さん、病院での医師や事務員であるところの友人・・ そして高級住宅街に住む人々の土地への執着ぶりなど、どなたもこなたもちょっと普通ではないですけれど、最後、ちゃんと別れられたのはよかったのでは?( 10月 17日)
夏、19歳の肖像 島田荘司 バイク事故で入院した19歳の少年が、その病室の窓から眺めていた家族に引込まれることから始まる一夏の恋愛物語・・ でありまして、いかにも男の人の書く感傷いっぱいの恋の話、少し照れながら、でも、この一途さが若さよね〜 なんて思いながら読みました。(島田さん、こんなんも書くんだねぇ〜)( 10月 16日)
夜聖の少年 浅暮三文 暴力的な気持ちを抑制する遺伝子を移植された光の都市の住民とそれを拒み地下に逃げ込んだ土竜と呼ばれる少年達。その土竜の中の一人カオルが炎人に追われて逃げ込んだ地下で見つけた巨人の謎を解き明かすため、仲間のマリアと旅に出るのですが、少年から男に成長する物語のようでもあります。最後、もう少し達成感があればよかったのだけれど、前半のぶっとび方から比べると、妥当過ぎて、これで終わりかいな、と思ってしまったりもしたのですが。( 10月 16日)
陰摩羅鬼の瑕 京極夏彦 いや、犯人のあまりにも大いなる勘違いに、珍しく泣けました。関口の鬱ぶり、榎木津の非常識ぶりに久々に出会った感もあるし、京極堂の語る仏教と儒教のこと、煙に巻かれているようでも、実際私達は墓を造り葬式や法事をしているわけで妙に納得がいきました。5度目の花嫁も亡くしてしまった伯爵の人間像ってのは、なんか最初から分かっていたようで、でもやっぱり京極堂の説明でやっと分かったようで。。だけど、こんなに純粋に悲しいと思えた京極作品、初めてだったかも。( 10月 15日)
おれは非情勤 東野圭吾 小学校の非常勤講師が行く先々の学校で、なんでかいろいろな事件に巻き込まれ、決して熱血教師じゃなく(それどころかかなり冷淡なのに)なんでか一生懸命事件を解決してしまう短編集です。短い期間しか同じ子供達とは付き合わないけれど、事件解決の時その子たちに言う言葉が的を射ていてぐさっとくるんですよね。きっと子供達も印象に残ることでしょう。立て続けに読破すると、その非情ぶりがむしろ熱血に思えてくるんですよ(^.^) おまけに小学生の探偵モノもあります。けっこうな落ちがついていますけれど_(^^;)ゞ( 10月 10日)
イマジン・ノート 槇村さとる びっくり!!槇村さんの自叙伝のエッセーなのだけれど、同じ年代で「りぼん」を愛読(?)していた私、「愛のアランフェス」も、夢中で読んだ覚えがあります。この軽いタッチの文体にすっかりごまかされましたが、ほんとに重い少女時代だったのですね、驚くくらいに。(読む進むうちに、どんどん実感できるしかけになっています。)これを書かれた勇気に感謝します。私は槇村さんに比べたらとてもとても些細な少女時代だったけれど、だから「分かるわ〜」なんて、大きな声では言えないけれど、本当はとても共感します。自分を知っていく過程があまりにも分かって、だけどその重さは、私なんて比じゃないくらい濃かったでしょうけれど、今、ちゃんと私達が人間として生きていることを肯定できている、嬉しいことです。また改めて槇村さんのコミックを見てみたくなりました。( 10月 8日)
屍鬼(一〜五) 小野不由美 うわぁ〜 五冊一気に読破!とんでもないよ、ほんと。ホラーホラーと叫ばれるワリには私は恐くはないです。(ロビンクックの犯行を知って犯人側に追われる科学者たちの方がよっぽど怖い) 最初は村という組織を我が村を念頭に置きながら読んで、やたら多い登場人物にも次第に馴染んでいって、そして始まる屍鬼の攻撃やそれに抵抗す尾形医院の面々、医師の敏和と村で一番高い位置にある副住職で作家の静信との会話と、二人の意識のずれ・・そして屍鬼たちの意思、神に見放された生き物たちの孤独〜〜 気持ちがあるから、行為そのものが目を覆うばかりでも、ホラーという気はしませんでした。なんか、夢にまで出てきそうにはまって読みましたよん。 (それに、なんてったって私は「ポーの一族」世代。最後の一場面に、エドガーとアランを蘇らせずにいられなかったのでした・・・)( 10月 6日)

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